2号店初の決戦日 開始!
40話の地図を完成させました。
今日はついに決戦日だ。 はぁ、ドキドキする!
ちなみにお父さん達は部下と入れ替わりで魔界へ帰ったらしい。 「またすぐ来るから待ってろ!」って念話が来たけどすぐ来なくていいよぅ!
いつも通りおしぼりをクルクルしながら営業準備をしていたら、お兄ちゃんがシャンパンタワーのグラスに洗浄魔法をかけて綺麗にしていた。
「お兄ちゃん……もしかしてタワーの予約が入ったの……?」
「いや? でも何があるかわからないからな」
「そ、そっか……そういえばタワーっていくらなの?」
「客が入れる酒と段数によるぞ、小計100万から受付だってさ。
プラス、サービス料があるから、実質の最低料金はモエリ白10本の5段、総計130万だ。
この6段だとシャンパン15本使うから、モエリ白でやるなら150万、ジュエル白でやるなら225万にプラス30パーセントだ!」
「ひぃ! シャンパンは消え物だから一瞬で終わるのにっ⁉」
「おう、でも多分スゲー盛り上がるぜ? 一晩で消えるタワーを派手にやるのがホストクラブの遊び方だってさ!」
「その無駄な事にお金を使うのが粋って考え方は魔王様の罠だね……。 もしジュエルブラックでやったら750万……」
「10段なら70本必要だからジュエルブラックで3500万だ!」
「ぎゃぴっ! 狂ってるよぅ! お酒と段数によって青天井じゃん!」
「あはは! 高級ブランデーでやったら1億いくな!」
「もうやめてぇ! 気がおかしくなりそう!」
「あっはっは! さすがに店に70本も在庫無いから今日は無いよ。 だからタワーは予約が必要なんだ。 今日急にやる客がいても6段までだよ」
「それを聞いてちょっと安心したよ……」
シャンパンタワーの秘められた罠にクラクラしたまま、魔王様による営業前のプチミーティングが始まった。
「今日で初めてのナンバーが決まるな! 売り上げの途中経過をコーディ達に聞くのはアリだが、ラストオーダーで誰が何を入れたか聞くのは禁止だ! 収拾がつかなくなるからな! 以上、頑張れ!」
「「「はいっ!」」」
「あれ? ルルさんなんでバックヤードに?」
「今日は決戦日だから他のお客様に席を譲るためよ」
「そうなんですね」
「なるほどね! あ、今日の一番乗りはカリンちゃんに賭けるよ!」
「じゃあクラリゼッタさんが一番乗りだね」
「ニーナヒドイ! ナンバーワンを予想するよ⁉」
「それだけはやめてっ!」
「お前ら相変わらず楽しそうだな……」
魔王様が呆れたところでドアホンが鳴った。
あ、あれ? キラキラカリンさん……アーニャの予想が初めて当たった!
「やったー! 勝った!」
こ、これは……波乱の予感!
「カリン! 一番乗り気合入ってるな!」
「当たり前だよ! 今日はオーラスでルフランがナンバーワンになる一部始終を見届けるからね!」
「楽しみだな!」
カリンさん、オープンからラストまでいるみたいだ。 つ、疲れないのかな?
「ネフィスくんのために私も頑張るよー」
「キキ、サンキュー! ナンバー3になれたらお仕置きしてやるぞ?」
「は、はいっ……」
ねぇ! なんでナンバー3になれたらお仕置きするのっ⁉ なんでキキさんは喜んでるのっ⁉
現在6位のセシルさんとララさんは、来月以降ナンバー順位を上げる作戦会議を開いていた。 現在ナンバー5のネフィスさんがナンバー3を狙って売り上げを上げるだろうから、今月はナンバー5入りもちょっと難しいもんね。
「来月以降もナンバー3に二つ名がもらえると睨んでいますので、ララさんには来月期待させてもらいます。 それまでに僕はお客様を増やしておきますね」
「そうだね、来月のために貯めておくよ! 今日はカリンの戦いをツマミに飲もう!」
その後も続々とお客様が来店。 ……クラリゼッタさんとアルディナさんは後半戦に来るのかな?
「じゃあとりあえず一発目シャンパン入れよっか! モエリ白!」
「「「アッザース!」」」
カリンさんによりシャンパンコールが始まった!
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「決戦日にシャンパン入れないやつは帰れー!」
ぎゃぴっ! カリンさんが周りのお客様を煽ってるよぅ!
「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」
「アレン! 敵は潰す!」
「あはは! 前も言われましたね、頂きます!」
「「「ご指名! 『ご指名!』 アレン! 『アレン!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」
アレンさんは余裕でビンダ! その顔は涼しい。
その後は他の席でも続々とシャンパンが入った。
「ま、魔王様ぁ……カリンさんのせいでみんなシャンパン入れてるんですかねぇ?」
「それもあるが、元々みんなシャンパン入れる気で来てるだろ。 カリンのノリに乗っかってやったんだな。 いいぞー! もっと盛り上げろカリン!」
「カリンちゃん今日いくら持ってきたのかな⁉」
「クラリゼッタさんがライバルなのは知ってるだろうからね……。 二人がいくら使うか怖いよぅ!」
フロアもだけどキッチンもシャンパンラッシュで戦場だ。 お手伝いしたいけどジルさん一人で出来るようにならないといけないからお手伝い出来ない。 メイリアさんもギリギリまで見てるだけだ。
内勤さんの4人が次々と飲み終わったシャンパンペールとグラスを運んでくる。 そしてすぐさま入れ違いでシャンパンが出ていく……。
ピポン!
あ、ルフランさんを永久指名したセリーヌさんだ! カリンさんの次に太いお客様が来た!
「カリンゴメン! 今日は卓被り多いから勘弁な!」
「わかってるよ! 行っておいで!」
おお……カリンさんが頼もしい。 ちょっと前ならヘルプに当たり散らしてたのに……。
「セリーヌさん! 来て下さってありがとうございます! 絶対ナンバーワン取ります!」
「あらあら楽しみね! 今売り上げはどんな感じかしら?」
セリーヌさんはさすが商家のご婦人なだけあって数字に敏感なようだ。 ルフランさんと作戦会議をしてる……。
「そうね……まずは私が踏み台になりましょう。 最初に差を付ければ諦めるパターンもあるかもしれないわ。 その後はあの子にお任せね」
最終兵器カリンさんの事だ!
「素敵な素敵な姫からダルフィン頂きましたァ!」
「「「アッザース!」」」
ぎゃぴっ! 78万追加!
「高額出たね! コールいっくよー!」




