推しの幸せが私の幸せ!
アンナさんのためのシャンコが始まった。
「「「いーよいしょ! 『いよいしょ!』 始まりました! 『始まりました!』 素敵な! 『素敵な!』 シャンパン! 『シャンパン!』 ぶち込んで! 『ぶち込んで!』 くれたのは! 『くれたのは!』 こちら! 『こちら!』 素敵な! 『素敵な!』 姫と! 『姫と!』 王子の! 『王子の!』 お席に! 『お席に!』 なんと! 『なんと!』 なんと! 『なんと!』 なーんと素敵な! 『なーんと素敵な!』 シャンパン一発頂ました! 『ありがとうございます!』 ディメンション全員集合! 『集合ー!』」」」
「待って⁉ 全員でファンサ⁉」
「くっ……私達だけのために……っ⁉」
「「「さーディメンションのナイト全員集まったところで! 『オイ!』 乾杯の! 『オイ!』 準備! 『オイ!』 できた! 『オイ!』 ところで! 『オイ!』 コールいきまっしょーい! 『オーイ!』
素敵な 『素敵な!』 思い出を! 『思い出を!』 姫様! 『姫様!』 ありがっとーーーい! 『ソレソレソレソレ!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『イェイ!』 シャンパン! 『イェイイェイ!』 みんなで! 『みんなで!』 頂きます! 『ハイッ!』 『スリー、トゥー、ワン、GO! かんぱーーーい!』」」」
ポンッ!
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「推しの幸せが私の幸せ!」
おお……その台詞、肉声で初めて聞いた。 お友達がいるから恥ずかしくなくなったのかな?
「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」
「ミアくん!」
「「「ご指名! 『ご指名!』 ミア! 『ミア!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」
「フッ……こんなの水だニャ!」
ミアさん魔王様の真似してる……。
「ミアくんカッコイイ!」
「そうニャ? カッコイイならいくらでもビンダするニャ!」
「待って⁉ 死んでいい⁉」
「くっ……苦しい! 推しごとさせてぇ!」
「2人とも落ち着いてー。 決戦日に思う存分推しごと出来るから!」
「アンナ、決戦日って?」
「うんあのね……」
アンナさんのお話を聞いた2人の顔がキラキラしてる……。
そして2人のダンスを見たルナさんディアナさんがまた瀕死になってたけど、2時間後、3人は何かボソボソとつぶやきながら帰って行った。
……また何か起きる気がするのは私だけじゃないと思う……。
「ははは! アンナはすでに推しがいたか! だから出来上がってたんだな!」
「魔王様、推しってイマイチよくわかんないんだけど!」
アーニャと同じで私もよく分かってない。 でもルナさんとディアナさんの熱量がすごい事だけは分かる……。
「自分が熱狂的に応援してるアイドルの事だ。 アルテミスっていう役者がこの街では人気みたいだな!」
「ああ~! あの3人の中では、アイドルを応援するのがすでに当たり前になってるんだね!」
「そうだ。 ミアを独り占めしないで友達に布教したアンナはさすがだな! 最初から『貢がせてください!』っていうスタンスの客がミアに出来たぞ!」
「ええっ⁉ 『貢がせてください』なんておかしいですよぉ!」
「ニーナ考えてみろよ、役者相手ならせいぜい最前席で見るかよくて握手できるくらいだろ?
それがウチの店ではお話とダンスができる上にモフれる! そしてコールでは全員集合、さらにミアと毎日念話できるんだぞ⁉
アイツらからしたら『お金で解決するならお願いします!』って感じだろ」
「う……そう言われると確かに……でも何かおかしいですよぉ!」
「カリンちゃんにお金を使わせるのにあれだけ大変な思いをしたのにね! ミアちゃんすごい!」
「ミアは運が強いなー。 俺もミアのアイドル化計画を考えてたけど、アンナが勝手にやってくれそうだな! ははは!」
魔王様の計画は予想の斜め上をいくからやめてっ! そして魔王様から先手を取るなんてアンナさん恐ろしい子っ!
「……貴方を屋敷へ招待しても良くってよ」
ぎゃぴっ! クラリゼッタさん! まだ諦めてなかった!
「サカリゼッタさん懲りないね! アレンくん永久指名だから逃げられないよ?」
「ははは! アレンならどうにかするだろ。 ヤバければ俺が出るから安心しろ」
魔王様また永久指名解除宣言出さないよねっ⁉
「光栄なお誘いです。 しかし僕は貴族言葉が分からないので、それがどういう意味かまだ分かりません。 教えていただけますか?」
「……決戦日のために売り上げを増やしたいのでしょう?」
サカリゼッタさん復活⁉ 怖いよぅ!
「そうれはもちろんそうですね。 でもご招待と売り上げがどう繋がるのでしょうか?」
「……貴方は平民だからここまで言わないとわからないのね────」
ひぃ! 聞きたくないよぅ!
「────お茶会に招待するということよ」
「ああ! お友達をご紹介いただけるということですか?」
「……そういうことよ」
なんだ……それなら最初からお茶会って言ってよぅ! お貴族様って遠回りにしかしゃべっちゃいけないルールでもあるの⁉
「さすがクラリゼッタ様です! たくさんお友達がいらっしゃるんでしょうね。 行きたいなぁ……」
アレンさんの顔はしょんぼりしている。 多分演技かな?
「あら、なぜ喜ばなくって?」
「ぜひお邪魔したいのですが、僕とクラリゼッタ様では身分が違いすぎます。 僕はこの城でしか騎士にはなれないですから」
「主人がいない時なら屋敷の者も目をつむるわ」
「そこまでしてご紹介いただけるなんて……ありがとうございます! でもお店の決まりで、お客様とは外でお会いしてはいけないんですよ。 残念です……」
「……またこの店のルールとやらね。 何とかならなくって? わざわざわたくしがお友達をここまで案内しろとでも言うのかしら? 平民の貴方のためにここまでして差しあげると言っているのですわよ?」
「うーん、僕も板挟みで困ってしまいます。 代表に相談しに行ってもいいでしょうか?」
「お行きなさい」
「なーんだ! サカリゼッタさんじゃなかったのかな⁉ ネフィスくんの早とちり?」
よかった……クラリゼッタさんはサカリゼッタさんじゃなかった!
カリンさんイベントの後だからか、クラリゼッタさんのワガママが可愛く思える……。
「いや、わかんねーぞアーニャ。 友達を紹介する気はなくて連れ込む目的の可能性はまだある」
「「えー!」」
アーニャとシンクロしたところでアレンさんがバックヤードへ来た。
「代表……」




