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パルプンテ

ブクマ評価感想ありがとうございます!!!

「魔王様! 永久指名解除なんて作戦に無かったですよね⁉ そもそも解除できないのが永久指名ではっ⁉」


「さっき思い付いたからルフランとヴァンに念話した! 代表権限発動だ! ははは!」


 そうだった! 魔王様は簡単に王命を出すようなお人だった……ッ!




「カリンちゃんどうする?」


 ヴァンさんがしんみり話してる姿は初めて見た……。 永久指名解除というワードにキラキラさん達もカリンさんとヴァンさんの話をじっと聞いている。


「……もう私はいらないってコト?」


「そうじゃないよ。 客として来なくていいって事だよ」


「でもルフラン念話すらしてくれないし! どうしたらいいのっ⁉」


「……指名解除するかどうかはカリンちゃんが決めていい事だよ。 ゆっくり考えてみたら?」


「…………今日は帰る……チェックして」




 ラウンツさんが少し悲しそうな顔をしてバックヤードへやって来た。


「コーディちゃん」


「はい、カリンさんお会計ですね」


 そしてカリンさんはラウンツさんにエスコートされトボトボと帰って行った。


 ラウンツさんがバックヤードへ戻ってきた。 さすがに魔王様に何か言うのかな?


「魔王様っ! 見事な演出よぉ! アタシ思わず感情移入しちゃったわっ! アアン! 切ない恋はイイわネッ☆」


「だろ⁉ カリンはプライドへし折られたの初めてだろーなー! 青春だぜ!」


「青春ネッ☆ じゃあアタシは戻るわっ!」


 ……ちょ! 心優しいラウンツさんは同情してると思ってたのにぃ! カリンさんの恋模様にノリノリだよぅ!




 そしてその日の営業が終わりまた次の日……。


「カリンちゃん一人で来てるよ!」


「えっ……仲直りしたのかな?」


「まだまだだ! 仲直りイベントだぞ⁉ そう簡単に仲直りさせるか!」


 魔王様が魔王様すぎるっ!


 その日もルフランさんはカリンさんの席に着かずに終わった。 カリンさんが永久指名を解除していないからまだ実質ルフランさん指名のままだ。




 さらに次の日……。


「カリンちゃん……生霊(いきりょう)みたいだね」


「う、うん……」


 (はかな)げな顔をしてフラフラと席まで歩き、大人しくソファにじっと座っている様子はまるでゴーストのようだ。


「ミアでも投入するか!」


「えぇっ! ミアさんは計算できないですよぅ!」


 実はミアさんは天然すぎるのでカリンさん作戦の実行部隊にはカウントされていない。 カリンさんもミアさんも予測不可能な行動をするので何が起きるかわからないからだ。


「だからこそだ!」


 ああっ! 魔王様が念話したのかミアさんがカリンさんの席へっ! 混ぜるな危険だよぅ!


「カリン毎日来てるニャ! さすがに名前を覚えたニャ! あ、はじめましてニャ! ミアですニャ」


「……ミア……はは……私迷惑……かな?」


「なんでニャ? いつも来てくれて担当は嬉しいはずニャ! 僕のアンナは毎日来れないニャ!」


「喜んでないよ……。 アンナちゃんて、お客さん?」


「そうニャ! 初めて永久指名をしてくれたニャ! 飾りボトルも入れててカッコイイニャ! 僕がナンバーワンになるのが僕とアンナの夢ニャ!」


「は? ミアがナンバーワンになるのがアンナちゃんの夢?」


「そうニャ! 二人でナンバーワンを目指してるニャ! 僕たちナイトの負けられない戦いなのニャ!」


「二人で……?」


「応援してくれるお客様がいないと勝てないからニャ! そういえばカリンは誰を指名してるニャ? 毎日来てるから僕のライバルニャ!」


 カリンさんがポカンとした。 ミアさんっ! ルフランさんだよぅ! 作戦会議何回もしたのにっ! 何で覚えてないのぉおおお!


「あはははは! ルフランに決まってるでしょ! 知らなかったの⁉」


「すぐ忘れちゃうニャ……お客様の名前を頑張って覚えたら他の事は忘れたニャ!」


「バカだねー! それでよくナイトやっていけるね!」


「アンナのおかげニャ!」


「……さっきからアンナアンナって言ってるけど、好きなの?」


「大好きニャ!」


 うん、ミアさんは一度仲良くなった人なら全員大好きだよ!


「……どういうところが好きなの?」


「えっとニャ、いっぱい僕に会いに来て応援してくれるニャ! ダンスしたりシャンパンコールも楽しいニャ! あと、僕をナンバーワンにするのはアンナがやるって言ってたニャ! アンナだけでどうやるニャ?」


「お金をいっぱい使うんだよ……」


「アンナ一人でニャ⁉ すごいニャ! それが出来たらアンナは最高にカッコイイニャ!」


「ねぇ……アンナちゃんは何でお金使うの? お金の関係なんて嘘じゃん」


「ニャ? アンナは僕をナンバーワンにして、その僕の1番になるのが楽しみらしいニャ! よくわかんニャいニャ!」


「……アンナちゃん、楽しんでるの?」


「いつも楽しそうニャ! 『()しの幸せが私の幸せ!』ってよく言ってるニャ、何のことニャ?」


「……ミアを好きだから、ミアが幸せならアンナちゃんも幸せって事だよ」


()しって好きって意味ニャ? やっとわかったニャ! カリンは色んなことを知ってるニャ!」


「はぁ……ミアと話してると疲れるよ……」


「よく言われるニャ! 疲れた時は僕の毛並みをなでると癒されるらしいニャ! 頭ならなでてもいいニャ、尻尾はダメだけどニャ!」


「……すごい天然だね……。 いいよ、アンナちゃんに悪いからやめとく」


「そうニャ? 大サービスだったのにニャ……カリンは悲しい匂いがするニャ、元気出すニャ!」


「私みじめだね……」


「みじめ……ニャ? 知らない言葉ニャ。 シャンパンコールしたら元気になるニャ!」


「そんな気分じゃないよ……。 みじめってのは、私はずっと担当に無視されてて笑い者って事だよ」


「無視されてるニャ? 指名してるの誰だっけニャ?」


「……ルフランだよ……」


 ミアさんっ! 聞くの2回目ぇ! カリンさんも死んだ魚の目をしてるよ!


「シャンパン入れてルフラン呼ぶニャ! モエリ白でいいかニャ?」


 ミアさんまたサラッと天然で(あお)ってるぅ!


「えっ? ルフラン来るの⁉」


 カリンさんが驚きと戸惑いでバッ! と顔をミアさんへ向けた。


「そうニャ! カリン嬉しそうだニャ? じゃあモエリ白オナシャスニャ!」


 ひぃ! ミアさん、カリンさんがルフランさんを呼び戻したいと勝手に勘違いしてるよぅ!


「ちょっ! 待っ────」


「「「アーリガッサーーーイ!」」」




「魔王様! ミアさんを止めてください!」


「いや、行くぞ! もうナイト全員に念話した! ナイスだミア!」


「コールだね! いっくよー!」


 ああああああああ! 誰か止めてぇぇぇえええええ!




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[良い点] タイトルからヤバい匂いがプンプンしました! さすがミアさん、カオスをカオスにして良い感じに持っていった!
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