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ニーニャ、アレンに悶える

ブクマ評価ありがとうございます嬉しいです!

 ヴァンさんによってキラキラミミマカリンさんの席はワイワイしだしたけど、カリンさんの表情は暗い。


「カリンさんとは初めましてですね、アレンです。 ルフランとは子供の頃から仲がいいんですよ」


 アレンさんが一般席のヘルプに着くことは少ない。 指名席と初回回りに加えて、貴族ウケがいいのでVIPのヘルプ優先で付け回し、つまり内勤から指示されるためだ。


「ルフランと……?」


 沈んでいたカリンさんの顔に希望が(とも)った感じがした。


「ええ、ルフランの事なら何でも知っていますよ。 それこそホクロの位置まで。 なんてね」


「ふふっ……。 ……あのさ、ルフランが怒るのって珍しいの?」


「……そうですね、大人になってからは珍しいですね。 最後に怒ったのは……僕が無茶な仕事をして倒れた時かな。 嬉しかったな」


「倒れたの?」


「はい、僕の両親は死んだので僕が弟と妹達を養わなければいけないんです」


「えっ……。 アレンも親がいないんだ」


「カリンさんも?」


「うん……。 クソオヤジが女といなくなってお母さんが私を育ててくれたんだけど、突然死んだよ。 原因はわからない。

 家も追い出されていきなり一人になって、14歳の私が思い付いた仕事なんて一つしかなかったよね。 つまりお母さんの仕事……想像の通りだよ」


「…………」


 カリンさんにそんな過去が……。


「ってかアレン! 兄弟の親代わりってコト⁉ 倒れたらその子たちが路頭に迷うじゃん! そりゃルフランが怒って当然!」


「あはは、反省してます。 ルフランが怒るって事は僕は間違ってたんだなって……」


「間違ってた……? ねぇ、ルフランに怒られた私は間違ってるの?」


「間違っていたというのは……訂正します。 正確には、常識にとらわれ過ぎていたという事ですね。

 僕は稼ぐなら肉体労働しかないと思い込んでいました。 別の方法で稼ぐ事を考えようとしなかった」


「……常識……」


「常識というのは、大勢の共通認識というだけです。 正解は自分の中にすでにあるそうですよ。 ルフランが言ってました」


「……アレンの正解って何だったの?」


「自分を犠牲にするのはただの自己満足だ! 貧乏でもお前が楽しく生きてればチビ達も楽しいんだ! ……です。 これ、ルフランに言われて気付いたんですけどね、あはは」


「……アレンの話は難しくてよくわかんないけど、アレンがルフランの大事な友達だってことはわかった」


「はい。 ルフランが怒るのは僕にだけです」


「……まさかルフランとアレン、デキてないよね?」


「あはははは! さぁどうでしょう?」


「ぷっ! アレン飲めー! ルフランは私のだからね! 敵は潰す!」


 アレンさんはお酒をイッキさせられたけどカリンさんに笑顔が戻った……。




「くっ……アレンさんの引き際が絶妙すぎます!」


「くぅ~! あと一押しなのに! 言っちゃえばいいのに! 『ルフランに怒られたカリンちゃんもルフランの大事な人だよ』って!」


「そう! その一言が欲しかったよねアーニャ! でもあえてそこまで言わずに匂わせる……ッ! おかげでアレンさんが完全にカリンさんに信頼されてるよぅ! 計算なのかなっ⁉」


「ははは! お前らにも()たって事はカリンにもじわじわ効いてるはずだ! さすがアレンだな、うん!」


 くっ……目が合わなくてもアレンさんに妊娠させられそうだ! 危ないっ!


「あ、アレンくんフトリゼッタさんの席に戻っちゃった!」


「アーニャ、太客って意味……?」


「そうだよ! ケチリゼッタさんって言ったのは撤回するよ!」


「失礼なのは変わってないよぅ……。 ところでルフランさんまだ戻らないのかな? ずっと初回回りしてるね」


「今日は戻るなって俺がルフランに念話した!」


 何でっ⁉


「えっ? 指名なのに戻らなくていいのー?」


「追加作戦だ! 戻らない事で本気で怒ってるアピールをする! 『ケンカして仲直りイベント』の演出だ!」


 また仕込みをっ!


「さらにしばらく連絡を無視する!」


「ええっ! そんなぁ! カリンさんに放置はマズイですよぉ!」


「まぁ見てろって」


 一日と私の胃が持たないよぅ!




「素敵な姫よりX.O(エックスオー)頂きましたァ!」


「「「アーザーッス‼」」」


 ぎゃぴっ! アレンさん一仕事終えたばかりなのにクラリゼッタさんにX.Oを入れてもらってるよぉ! 30万!


「コールだね! フトリゼッタさんさすが!」




「「「『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! っあーいやそれ!』 『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! ワンツーいやほい!』 た・の・し・いナイトの遊び方ァ!『ハウトゥー!』 す・て・き・なお酒を(おろ)してよ! 『ギヴミー!』 愛・情・表・現飲めるならァ! 『OK!』 いくぜーディメンション! 『集合ー!』」」」


「相変わらずけたたましいですこと……」


「たまには(ぞく)な余興も楽しんでみてはいかがでしょう?」


「仕方ないですわね……」


「「「ナイト! 全員! 集まったーところで! 『トゥナイ!』 飲めやー騒げや今宵(こよい)(うたげ)は! 『宴は!』 王子と姫の独壇場(どくだんじょう)! 『独壇場!』 今すぐ君にー会えるなら! 『ッエイ!』 騒ぎ出す! 胸騒ぎ! 『ハイハイハーイ! ハイハイハーイ!』 踊れー騒げー最高の夜に! 『ハイハイハイ!』 X.O! 『X.O! いただっきゃす!』」」」


「クラリゼッタ様ありがとうございます」


「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」


「感謝なさい」


「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 姫様! 『姫様!』 ありがとうございます! 『ありがとうございます!』 うーソレソレ! 『ワンツーいやほい!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 王子が! 『王子が!』 目指すは! 『目指すは!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 ディメンション全員パーリーピーポー! 『今夜もフロアはお酒の戦場!』 酒をー浴びるぜ! 『ごっつぁんです!』」」」


「これで貴方もお酒の味を勉強なさい?」


「はい! ありがとうございます! 本当に勉強させて頂けるなんて思ってもいませんでした、さすがクラリゼッタ様です! 味わって大切に頂きますね!」


「オホホ……」




「アレンさん……クラリゼッタさんのマウンティングを上手く利用してるね」


「勉強させてください! ってよく言ってるもんね!」




 そしてルフランさんがカリンさんの席に戻らないまま、カリンさん達は仕事へ行くため帰って行った。


 仲直りイベントかぁ……ルフランさんホントに念話無視するのかな? また放置でカリンさんが暴れないか心配だよぅ!




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