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試練、バーサーク・カリン

「あ、マリンが昨日食べたのこの人でしょ!」


 キキさんがアッシュさんを指差すと、ナイトさん達は笑顔のまま固まった。

 作戦開始だ!


「僕? なんの話?」


「キキ……違うよ」


 アッシュさんはちゃんとマリンさんを口止め出来てる、良かった!


「キキ、どういう事……?」


 ひぃ! カリンさんからゴゴゴゴゴ……と黒いオーラが出はじめたよぅ!


「マリンの部屋から声がしたからさ! この人が前に言ってたお気に入りの童貞くんでしょ⁉」


「やだなー、僕、残念ながらマリンちゃんとは何もないよー!」


「キキ、人違いじゃない?」


 ララさんが焦った様子でキキさんに言った。 ララさんは出来る子だ! カリンさんの事をよくわかってる!


「帰る時見たし! グレーの髪は珍しいからバッチリわかったよ!」


 はいっ! 再び終了!


「はぁぁぁあああああ⁉ ルフランどういう事っ⁉ なんでマリンは良くて私はダメなワケッ⁉」


 カリンさんがグラスを床へ投げつけたっ!


 ガシャーーーン‼ という音がホールへ響き渡り、お客様全員の視線が集まる。

 内勤の中で一番近くにいたお兄ちゃんが風魔法でササッと片付けた。


「うちの店はそういうの禁止だよ、カリン落ち着いて?」


「禁止も何も実際ヤッてるじゃん! やっぱり私のコト客としてしか見てないんでしょっ⁉」


「店にバレるとマズイから声を抑えて! アッシュ、なんで決まりを破った? 説明できるんだろうな?」


 ルフランさんがアッシュさんを問い詰める。 という演技をする。


「ご、ごめんなさい……どうしても卒業したくて……」


「気持ちはわかるけど、代表にバレたらどうすんだよ……」


 むしろ魔王様の計画です!


「お願い! みんな内緒にして!」


 アッシュさんが手を合わせてゴメンのポーズをし、カリンさんを見ながら懇願(こんがん)する。


「う、うん! 内緒にするから安心して! カリンも落ち着こ?」


 ミミリンさんがそう言うと、キキさんもさすがに事態を理解してきたのかうんうんと(うなず)いた。


「納得いかない! ルフラン! 私ともして!」


 アッシュさんの役目は終わった。 次はルフランさん……。


「カリン……俺もしたいけどさ、もっと大事にしたいんだよカリンの事」


 カリンさん、(しず)まってください!


「そうやっていつもごまかす! 店にバレないようになんていくらでもできるじゃん!」


「ごまかしてないって……。 俺だってカリンの客と同じように体目当てだって思われたくない。 だから俺がどれだけ我慢できるかカリンが俺を試してよ? それで俺の本気を伝えたいんだ」


「本気なら態度で示して!」


「だからそれじゃカリンの客と一緒だろ……」


「私がいいって言ってるんだからいいの!」


「あーーー! そうかよ! カリンに俺の気持ちは伝わらないんだな! 一生お前の体に(むら)がる男だけを相手にしてろ!」


 ルフランさんはお酒を飲み干して「ご馳走様!」と席を立ってしまった……。 という演技。


 次はヘルプの出番! 作戦も佳境だ! 後はヘルプにかかってるよ頑張って!




「あれ? ルフランくん怒っちゃったけどいいの?」


「作戦通りだ!」


 魔王様がアーニャにフンス! と言った。

 確かに作戦通りだけどぉ……そもそもこの作戦で大丈夫なのっ? 心配だよぅ!




「あのルフランが怒った……カリンちゃん、これマジだって……」


 ネフィスさんにより第3フェーズへ移行!


「そうだよ! ルフラン、カリンちゃんの事大好きだもん!」


 アッシュさんは今回は天然じゃない。 ああ……アッシュさんがついに店ぐるみを覚えてしまった。


「ちょっと……なんでルフランが怒るのよ? 怒ってるのは私なんだけど⁉」


「気持ちがすれ違ってますね」


 セシルさん投入! お願いします!


「どういうコト? 好きならヤるもんでしょ⁉」


「カリンさんのお仕事によって逆になってるんです」


「逆?」


「さっきルフランも言ってましたけど、カリンさんには嫌というほど体目当ての男が言い寄って来るでしょう? ルフランはそういう男達と一緒にされたくないんです」


「だからルフランならいいんだってば!」


「ルフランは良くないんです。 ルフランにもナイトになる前から嫌というほど女が寄ってきました。 だからルフランの中では、体の関係が無くても付き合っていける女性がルフランの彼女になる条件なんです」


「私もそこら辺の女と一緒の事を言ってたってワケ……?」


 セシルさんっ! カリンさんをうまく誘導してる! すごい!


「そういう事になりますね。 それはカリンさんのプライドも許さないのでは?」


「私を他の女と一緒にしないで! この街で一番高い女なんだからね!」


「……落ち着いたらまずはゆっくりルフランと話をしてみるのがいいかと」


「…………」


「よし! 飲みなおそうぜ! ルフランも頭が冷えたら戻って来るだろ! あ、ミミリンちゃん俺の新しい魔法見る?」


 ヴァンさんがグラスの水を(かぶ)って「イケメン魔法! 水も(したた)るいい男!」とか言い始めた。


「キャハハハハ! 魔法使ってないじゃん! てかそもそもいい男じゃないし!」


「ヒデェ!」


 ヴァンさんミミリンさんによって場の空気は明るくなった。

 アレンさんもカリンさんのヘルプに着いたからこれで任務完了だ! チームワークはバッチリ! だけど……。




「作戦成功かな⁉ 面白かったー!」


「うん、一応成功したよアーニャ。 ……魔王様ぁ、ルフランさんセカンドミッション発生ですよぉ?」


「せっかくの試練だからな! 『ケンカして仲直りイベント』も経験できるしよかったな! ははは!」


 そんなイベント発生させたくなかったよぅ!




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― 新着の感想 ―
[良い点] いやー、凄いー、店ぐるみ凄い!! これを思いつくツーちゃんさんも凄い!! 作戦通りだったみたいで良かったです
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