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カリン緊急対策本部設置!

 3週目初日、事件は起きた。


「はぁぁぁあああああ⁉ ルフランどういう事っ⁉ なんでマリンは良くて私はダメなワケッ⁉」


 カリンさんがグラスを床へ投げつけたっ!




──────────────


 時は営業開始前の準備時間に戻る。

 ナイトさん達はフロア全体のお掃除を、私と内勤さんはテーブルでいつも通りおしぼりを作っていた。


「アッシュ、何でラウンツさんみたいにクネクネしてるんだ?」


「あ! ネフィス! どうしよっかなー、言おっかなー!」


「ああ、マリンとヤッたのか、おめでと」


「⁉ なんでわかったの⁉」


 今日はなんだかアッシュさんがフワフワしているなと思ったら、どうやら無事マリンさんに童貞を奪われたらしい。


「誰でも通る道だからな。 ……マリンにはちゃんと口止めしたか?」


「うん! 大丈夫だよ!」


「……どこでヤッた?」


「それも大丈夫! ミミリンちゃんとカリンちゃんがいない時にマリンちゃんの部屋に行ったよ! いい匂いがしたなぁ……」


 ネフィスさんがヒュッ! と息を吸った。


「バカ! 他の女も店に住んでんだろ⁉ おいっ! ルフラン! ヴァン! ヤベェ!」


 なんだなんだと駆け寄ってきた二人にネフィスさんが事情を話した。


「嘘だろ……」


 ルフランさんが震えながらつぶやき、ソファに崩れ落ちるように座ってガックリと下を向いた……。

 これはルフランさんが枕してないことを意味する……。 疑ってごめんなさい!


「アッシュやっちまったなー! ミミリンは俺に笑いしか求めてないからいいけど、カリンはヤベェぞ!」


「ヴァン……カリンちゃんはいなかったよ?」


「はぁ……じゃぁ他の女の子もいないのは確認したか?」


 ヴァンさんはすでに諦めモードだ。 だんだん私もヤバさがわかってきた……。 カリンさんがこの事を知ったら絶対ルフランさんに枕を求めることになる。


「他の子はディメンションに来てないでしょ?」


「カリンに他の女も連れて来いって言ってあるんだよ……先週のミーティングもう忘れたのか?」


 ルフランさんがゴゴゴ……と彫刻のように生気のない目をした顔を上げて言った……。 ひぃ! 怖いよぅ!


「お、覚えてるよ! でもマリンちゃんと絶対誰にも言わないって約束で!」


「マリンが言わなくても、部屋から声と音が漏れてたら誰かにバレるだろ……場所がマズイんだよ……」


「あ……。 どどど! どうしよう! ルフランごめんね!」


「……俺がもっとちゃんとアッシュに言っとけば良かったな。 いいよ……考える……」


 ルフランさんはこれからの事を考えて怒る気すら起こらないみたいだ……。


「緊急ミーティングだ! 代表ー! オナシャス!」


「あん? なんだなんだ」


 ヴァンさんに呼ばれた魔王様が事情を聞いてる。


「ははは! ナイトと内勤、コーディは集合しろー! 他のやつは開店準備!」


 魔王様による緊急ミーティングが始まった。 とりあえず私はおしぼりを完成させよう……。





「アッシュ卒業おめでとう! ついにこの時が来たな! 対策を教えるぞ!」


 魔王様は何で楽しそうなのっ⁉


「まず、アッシュに娼婦の客で童貞卒業しろって言ったのは俺だ。 アッシュを責めるなよ? むしろ俺の計画に巻き込まれただけだ」


 どういう事っ⁉ みんなも訳が分からない顔をしているけど、魔王様の計画通りという言葉で少し落ち着いたようだ……。


「まず枕そのものについてだけど、別に枕は悪い事じゃない。 ここぞという時だけに使って、お前らが嫌じゃなければ別にいいんだ。

 次に、女はいくら口止めしても絶対周りに言う生き物だからそこは諦めろ。 枕したやつを責めるのはナイトの仕事じゃない、枕を知った女を上手くかわすのがナイトの仕事だ! そこを間違えるなよ?」


 みんな神妙(しんみょう)面持(おもも)ちで魔王様のお話を聞いている。 あ、私もだ! おしぼりおしぼり……。 


「これは俺がお前らに()す試練だ! じゃあ具体的な作戦を立てるぞ!」


「「「はいっ!」」」


 緊急ミーティングは思ったより早く終わった。


 今回の件はトラブルではなく、魔王様が消極的に仕組んだ試練だったって事でナイトさん達は気持ちを切り替えられたみたいだ。

 ルフランさんアッシュさんは特に気合いを入れて今日の営業に(のぞ)む様子。


 ……ホントに大丈夫かなぁ? たぶん私の胃が一番キリキリしてるよぅ!




──────────────


 ミミマカリンさんは2人の初回のお客様を連れ、一番乗りで来店した。


 待って⁉ いきなり作戦1が白紙になったよぅ!


「あはは! ヤバいねニーナ!」


 いつも通りバックヤードにいるアーニャが満面の笑みで話しかけてきた。


「アーニャ、ウキウキした顔で言わないで! 作戦2か3で行くことになるよぉ!」


 アーニャとルルさんメイリアさんはお掃除で動き回ってたから作戦の全部は知らない。 私はホールでずっとおしぼりをクルクルしてたから知ってるけど。


「作戦が3まであるの? じゃあ大丈夫じゃん! さすが魔王様!」


「ははは! 面白くなってきたな!」


 魔王様までっ!




「カリン会いたかったー! 今日はカリンしか呼んでないからな? ずっと一緒にいような!」


 ルフランさんの先制攻撃! まずはカリンさんの気分を良くするために他のお客様はキャンセルしてある。


「うん! 仕事が無かったらもっと一緒にいられるのに……」


 よかった、カリンさんはまだ知らないみたいだ。


「カリンは人気だからしょうがないよ、さすがこの街一番の美人だな! あ、女の子連れてきてくれてありがと! 名前は?」


 初回のお客様はキキさんララさんというらしい。 この2人が未知だから怖いよぅ!




「キラキラミミマカリンに進化したね!」


 一緒にカーテンからチラ見してたアーニャが言った。


「アーニャまた遊んでる! 私の気も知らないで!」


「だってなるようにしかならないよ! カリンちゃんが暴れるの楽しいし!」


「まさに対岸の火事だね……」


 アーニャはダメだっ! ナイトさん達のチームワークに期待しよう!


 今のところキラキラミミマカリンさんの席はワイワイ楽しそうだ。


 指名されているルフランさんヴァンさんアッシュさんの他に、初回の2人に着いているのは先発隊としてネフィスさんとセシルさん。

 セシルさんは水色の髪に薄い顔のイケメンで、頭がキレるから選ばれた。 アレンさんは予備要員として温存。


 どうかこのまま終わりますように……。




「あ、マリンが昨日食べたのこの人でしょ!」


 はいっ! 早速キキさんによって終了ーーー!




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― 新着の感想 ―
[良い点] つ ら い www 第3作作戦まで突破される予感しかしないですねw
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