表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/285

アレンとルフラン 後編

ブクマ評価ありがとうございます!!!

「ルフラン遅い!」


「ごめんごめん、シャンパン入るなんて思ってなくてさー戻れなかったよ!」


 ルフランさんがカリンさんの肩を抱いて座ったら急にカリンさんに笑顔が戻った……。


「いきなり放置されて私怒ってるんだからね!」


 ヘルプの3人はカリンさんの笑いながらプンプンするという器用な様子を見て、そっと挨拶しながら席を抜けていった。


「昨日いっぱい一緒にいたじゃん!」


「……そうだね。 ふふっ……」


 枕してないよねっ⁉


「あ、ネックレス着けてくれてるんだね……」


「当たり前だろー、俺は他の客の前でもカリンと一緒だぜ! でさー、あのオバサンの相手キツイからさ! カリン永久指名入れてよー! 戻りたくないー」


「えー……じゃあ私を待たせた罰としてシェッガ一気したら永久指名入れてあげる!」


「よっしゃ!」


 ルフランさんはシェッガをイッキしてついにカリンさんの永久指名をもらった。


「これで私が1番だからねっ⁉」


「そうだな! ありがと! 次何飲む?」


 カリンさんは満足したようだ。 嫉妬させて永久指名をもらう作戦だったのかな……? とにかくちゃんとルフランさんが結果を出して良かったよぅ。




「ははは! カリンは同業(どうぎょう)だから簡単には(だま)されないな! 呼び戻しのシャンパンが入らなかったから、まずは金のかからない永久指名で取り込む作戦に変えたか」


 あ、お母さんの言ってた、シャンパン合戦を起こさせようとしてたんだ……。


「なるほどですね。 ところで魔王様、同業って何ですか?」


「ああ、同業者の略だ。 要するにミミマカリンもナイトと同じような仕事だろ? もらう金額で客への対応が変わる。 売るのが体か接客かの違いだけで、やってることは一緒だ」


「は、はぁ……」


「カリンちゃんは自分も同じようなことをやってるから、ルフランくんが本気なのか疑ってるんだね!」


「そうだ、そこをうまくやるのがナイトだ! 金だけの関係ってわかってホイホイ来てくれる物わかりのいい客はさほど金を使わないからな。 貴族だって恋物語ごっこや飾り集めに飽きたらカリンみたいな客が出てくるぞ」


 ええ……。 お母さんは大丈夫だよね⁉ 父さんの事大好きだし……。


「そ、そういえば魔王様、魔界のディメンションはどうなんですか?」


「あっちは家賃が無いからそこまで儲けなくていいんだ、色恋は無いから安心しろ。 俺は人界に力を入れる!」


 ハッ! そうだ! 魔界より人界征服の方が重要だった!


「魔王様! 人界でガッポリ儲けましょう! 頑張ります!」


「ナイトくんとお客さんの駆け引きが楽しいね! 私も頑張るよ!」


 アーニャは今のところお客様にあだ名を付けるのを頑張ってるだけなんだけど?




 そうしてこの日はなんとか営業が終わった。 ……アレンさんがまたVSで死んでるけどミーティング開始だ。


「アレン大丈夫かー?」


「ルフラン……ありがとう……ブランデーの席はキツイよ、はは……」


「まだ亜空間魔法難しいか?」


「うーん、口の中に展開するのはまだ難しいね」


「俺も練習頑張ろー。 あ! ヴァン達悪かったな! カリンを放置したらあそこまで態度変わるなんて思ってなかったよ、マジゴメン!」


 ルフランさんがヴァンさんアッシュさんネフィスさんに謝ってる。 カリンさん予想外に暴れたもんね。


「水かけられたのはビックリしたけどニーナちゃんに乾かしてもらったから平気だぜ! 水も(したた)るいい男の運命だな、うん。 あ! 今度から自分で水(かぶ)ろっかな⁉」


 ヴァンさんの、全てを笑いに変える精神はバカを通り越して尊敬します。


「しかしよぉ、俺が言ってもカリン永久指名入れなかったのに、ルフランが戻ったらすぐだったな」


「ネフィスありがとなー。 カリンなー、俺の言う事は聞くのにヘルプだとなんであんななんだ……」


「カリンちゃんルフランの事大好きなんだよ! ルフランも好きなんでしょ? よかったね!」


 アッシュさん、天然で店ぐるみしてたんだね!


「……アッシュはピュアなままでいてな……」


「? 童貞のままでいてってこと? ひどいよ! 僕だってきっとマリンちゃんと!」


「ちげぇよ……」


 アッシュさんだけは枕してもいいと思うのはなぜだろう……。


「放置でイライラするのはカリンがルフランにハマッた証拠だ! カリンみたいに担当……指名したナイトのことな? 担当にハマると担当以外と一言もしゃべらない客とかもいるぞー。 これからもみんなで頑張れ! ルフランはヘルプのためにカリンに枝を連れて来させろよ?」


 偉そうに座っていた魔王様がルフランさんを指差して言った。


「はい、チームワークですね!」


「そうだ!」




「ハイド様……お客様の名前が覚えられないニャ……怒られたニャ……」


「ははは! 獣人は短い名前が多いからな! 内勤とニーナが全員覚えてるから念話して聞けよ!」


「……! そうだったニャ!」


 ミアさんは永久指名をもらったアンナさん以外のお客様の事をよく覚えてないんだよね……。

 初回のお客様は沢山来るから、2回目来た時に名前を覚えていないナイトさんは多い。 でもミアさんはストレートに「誰だったっけニャ?」とか言っちゃうんだよぅ!


「あとミアはもっと他のナイトみたいに『友達からはなんて呼ばれてる?』とか遠回しに聞くことを覚えろ。 てかその前に、客の名前と特徴、その日話した事は毎日紙に書いて記録しておけ!」


「なるほどニャ……ハイド様ありがとうニャ!」


「よし! 今日もサクッとミーティング終わりだ! お疲れ!」




──────────────


 たまの悪魔来襲も何とか乗り切り、オープンから2週目は終わった。

 けれど3週目が始まったその日、またカリンさんが暴れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ