アレンとルフラン 前編
クラリゼッタさんアレンさんを気に入ったのかな。 いつか永久指名しちゃうのかな……。
「うわぁ、サカリゼッタさんまたアレンくんだね!」
「そうだね。 アレンさんは貴族ウケがいいからね」
「あっ! カリンちゃん一人で来たよ! 先週から3連ちゃんだね! ルフランくんやるぅ!」
「ホントだ……」
「あれ? あのプレオープンに来てた商人の奥さんもルフランくん指名してなかったっけ?」
「セリーヌさんだね。 あ、ルフランさんが隣に座ったからやっぱりそうだ。 被りだよぅ!」
あああ! 早速この2人が気になる! でもいつまでもカーテンから覗いてるわけにもいかないから、いつも通りアーニャと集音魔法だけでお仕事お仕事……。
「クラリゼッタ様、またご指名頂けて嬉しいです。 ありがとうございます」
「オホホ……貴方は平民の割には礼儀をわきまえているからそばに置いただけですわ」
「公爵夫人にそう言って頂けるなんて光栄です。 今日も勉強させてください。 やはり社交は大変でいらっしゃるので?」
「ふぅ……そうね、公爵夫人という立場があるから周りに気を使って大変だわ。 貴方に貴族の内情はお話しできないけれど、色々とね……」
気を使って大変なのは周りの貴族の方じゃないかな⁉
「貴族の女性はお一人で悩みを抱えがちとお聞きしたことがあります。 僕がクラリゼッタ様の憩いの場になれればいいのですが……ダンスはお好きですか?」
えっ! アレンさん永久指名を取りに行くつもり⁉
「もちろん好きですわ。 でもわたくしのような高貴な者には中々声をかけられない紳士が多くってよ。 貴方はわかっているわね」
クラリゼッタさん、社交界でも避けられてるんじゃ……。
「サカリゼッタさん社交界でも嫌われてるんだね!」
「アーニャ失礼だよぅ!」
私もそう思ったけど! だって毎日ディメンションに来てるし! ……寂しいのかな?
「素敵な姫から永久指名頂きましたーーー!」
「「「……アーザーッス!」」」
ひぇ! アーニャとしゃべってる間にアレンさんにサクッと永久指名が!
ナイトさん達は一瞬、間をおいてアザスって言った……その顔はきっとホッとしていると思う。
「ははは! アレン根性あるな!」
「でもケチリゼッタさんだから割に合わないんじゃないかな⁉」
アーニャ、また新しいあだ名を……。
「バカだなアーニャ、ケチリゼッタでも月に最低20日は来ると計算してみろ」
私は魔王様の言っている意味が即座に分かった。
「えー? えっと、いつもVS入れるから4万に30パーセント足してー」
「100万超えるよ、アーニャ」
「えっ⁉」
「魔王様が言ってた、チリも積もればキャラリアだよ……。 V.S.O.Pも入ったり、20日以上通ったら200万行くかもよ?」
「ぇえっ⁉ ケチリゼッタさん、実は太客⁉」
「そうだ! 常連は侮れないぞ! アレンは本気でナンバー目指してるな! いいぞー!」
……アダマンタイトメンタルのアレンさんしかクラリゼッタさんの対処はできないと思うから結果的によかったのかな? そして他のナイトさんは命拾いしたな……。
「素敵な姫からモエリ白頂きましたーーー!」
「「「アーザーッス!」」」
ぎゃぴっ⁉ 今度は誰っ⁉
「ルフランくんがおばさんからシャンパンもらったよ!」
「セリーヌさんだってばぁ。 やっぱりこの2人は人気があるね」
ルフランさんの席でシャンコが終わった後、アレンさんとクラリゼッタさんはホールでダンスを始めた。
「ねぇ! ルフランさぁ! 最初挨拶に来ただけで全然戻ってこないんだけど⁉ 何あのババア!」
ひぇ! カリンさんが怒ってるよぅ! そんな人だったっけ⁉ 思わずチラ見! ヘルプのヴァンさんがなだめてる……。
「カリンちゃんまぁまぁ、シャンパン入っちゃったからしょうがないよ……。 俺と飲も!」
「うるさい! あたしが1番なの!」
ぎゃぴっ! カリンさんがヴァンさんにグラスのお水をぶちまけた!
「……はは、カリンちゃんが1番なのは俺らも聞いたって! カリンちゃんもシャンパン入れようよ!」
ヴァンさん! 頑張ってる!
「2番はイヤーーー!」
「ちょ、ちょっと呼び戻してくるから待ってて! おーいアッシュ! こっち来て!」
何事かと駆け付けたアッシュさんと入れ違いでヴァンさんが席を抜けてバックヤードに来た! とりあえず濡れたヴァンさんに洗浄魔法をかけて乾かしてあげる。
「代表! ちょっとラウンツさんにお願いしてください!」
「何をだ?」
「とりあえずルフラン呼ぶしかないっすよ!」
そうだね! アッシュさんじゃ間が持たないよぅ!
「ニーナ、最適解を導き出してみろ」
えっ⁉ 私⁉ ……魔王様に試されてる! いざという時に私が役に立つ番だ! 必死に頭を回転させる。
「……ルフランさんがおとなしいセリーヌさんの席へ最初に着いたのは違和感があります。 内勤も指示してるはずなのにこの順番なのには何か理由があるはずです。 まずはヘルプを何人も追加してごまかしながらルフランさんが戻るのを待ちます。 あとはルフランさんが計算で動いていることを信じます」
「ニーナの言う通りやってみろ!」
「……余ってるやつと行ってきます!」
ヴァンさんはネフィスさんを引っ張りながらカリンさんの席へ戻って行った。
「カリンちゃんおまたせ! ルフラン呼んどいたからそれまで俺ら3人と飲も?」
「…………」
カリンさんが腕を組んでヴァンさんを睨んでる……。
「カリンちゃんさ、シャンパンが入ったらしばらくその席から抜けられないのはしょうがないよ。 でも他で1番になればいいじゃん?」
「ネフィス、どういう事?」
「ルフラン、永久指名はまだ入ってないよ?」
「……私が最初に永久指名を入れろってワケ?」
ひぃ……カリンさん怖いよぅ! ネフィスさんがちょっとやそっとじゃビビらないオラ営ナイトでよかった!
「永久指名なら一番になれるっしょ?」
「そしたらもう指名変えられないじゃん」
「でもルフラン以外指名する気あるの? てかさ、あっちの席よりいい酒を入れたらルフランすぐ戻って来るぜ?」
「金次第ってコト? 私達の商売と一緒だね」
ネフィスさんは苦笑いしてる……。 カリンさんのお財布のひもは意外と固いな。
「えっ? でもルフランはカリンちゃんとデートしたんでしょ? お金じゃないよきっと!」
やっぱり昨日デートしたんだ! そしてアッシュさんは計算なの? 天然なのっ?
「…………」
「カリンーーー! ごめんなー! おまたせっ!」
ルフランさんっ! やっと戻ってきた! ちゃんと理由があるんだよねっ⁉ 頼みますよ!
明日はお休みするかもしれません
(〃・д・) -д-))ペコリン




