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【まおホス!】魔王様のホストクラブ作り!……に振り回されて大変です!【表紙挿絵有】  作者: つーちゃん
第一章 ちょっとホストクラブ作ろうぜ
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新規オープン

 ついに新規オープンの日だ!

 おやつをもぐもぐしてローブを羽織り、お兄ちゃんと共にお母さんへ挨拶する。


「お母さん行ってくるね。新しいドレス楽しみにしてるよ」


「任せて、装備はバッチリよ!」


 やっぱりお母さんの中では戦いらしい。


「母さん、魔王様はただ楽しんで欲しいって言ってたから程々にな」


 お兄ちゃんが呆れながらそう言った。


「……そうね、少し力を抜くわ。ところで9人で行けばいいのよね?」


「うん、ルルさんはいつも来るものだと思って、一回に入るのは9人までにした方がいいね。じゃぁ行ってきます」


「わかったわ、行ってらっしゃい」




 お兄ちゃんと店内に入ると、ナイトさん達はもうお掃除していた。


「「「おざまーす!」」」


 おざますとは、どうやらおはようございますと言っているらしい事が最近わかった。


「「おはようございます」」


 ナイトさん達と店内のお掃除をして、私は伝票の用意をする。

 すると魔王様が入口から入って来た。珍しい、と思ったら三人のイケメンさんを連れていた。


「あ! 新人さんだね! 魔王様おはようございます!」


 アーニャは知ってるみたい。スカウトしたのかな?


「おう、今日から働くから皆よろしくな」


 魔王様の声で三人が自己紹介した。アーニャがバックヤード内の更衣室などを案内するみたい。


 メイリアさんはキッチンが忙しいからお手伝いしようかな、と思ったら話しかけられた。


「……ニーナ……一点物出来た……」


「えっ! ホント? ありがとう!」


 ボトル棚を見ると、キラキラ輝く小さな宝石が存分に散りばめられたペガサスが頂点にいた。……これはやばい。


「メ、メイリアさん……すごすぎるよ……ダイヤをビンにくっ付けたの?」


「……やりすぎた……でもあれはダイヤじゃない……硝子(ガラス)……ラインストーンっていう……」


「そうなんだね、でも本物みたいにキラキラしてるよすごいね!」


「……魔王様のアイデア……製法にビックリした……ちなみに500万ルイン……」


「ひぃ! うち、破産しないかな⁉」


「……魔王様が、しばらくは飾るだけって……大丈夫……」


「な、ならよかったよ……」


「……一点物はラインストーン付きだけにするって……」


「そうなんだね……なんか金銭感覚が麻痺しそうだよ。あれ、ボトル棚が増えてるね」


「……お客様が入れたボトルを保管しておく棚……」


「ふーん」


 その後ルルさんがみんなの髪をセットして、その間に魔王様達が新人さんにテーブルマナーを教えていた。




 そろそろオープン時間だ!

 私は外観をライティングする魔道具に魔力をぎゅぎゅっと込める。キャッシャーにあるこの魔道具が外の全てのライトに繋がっている、一度魔力を込めればあとは放置だ。もちろんルルさん作。


 そしてキャッシャーで魔力感知をしながら待つ。お客様が到着したら扉を開けるのだ。

 ルルさんは先にお客様席にスタンバイ。他のお客様からよく見える席だ。


「そろそろお客様が到着します!」


 ナイトさんと内勤の二人が入口に並ぶ。魔王様、私、メイリアさんとアーニャはバックヤードへ。


 来た。扉を開けて、カーテンの隙間からチラ見する。


「「「おかえりなさいませプリンセス‼」」」


 ラウンツさんとお兄ちゃんがお客様を席へ案内して、一人のナイトさんはルルさんの向かいへ座った。


 お母さんは若草色のドレスだ、フローラさんはピンク。

 二人とも早速ペガサスを見つけて扇子を持つ手がブルブル震えていた。わかる、わかるよぅ……。


 〈影移動〉で耳だけお母さんのテーブルへ……ごめんなさい、聞きたくないけど聞いてないのも怖いんだもん!


「ご指名はございますか?」


「そうね、私はアスティを指名してみようかしら」


「私はルイスでお願いするわ!」


 お母さんはアスティさん、フローラさんはルイスさんかぁ。


 ラウンツさんが念話したのか、アスティさんとルイスさんが来てお母さん達の前で(ひざまづ)いた。


「ご指名ありがとうございますプリンセス。お隣へ失礼しても?」


「え、えぇ……よくてよ」


 その間に内勤の二人からドンドン念話が入って来た。わざわざキャッシャーに来る暇が無いみたい!


『3番アスティとルイス指名! ピエリコ赤!』 『1番にピエリコ白を』 『5番シャールとセイバーとルシエル指名! アルパリ赤!』


 ぎゃぴ! 待ってぇ今書くから!

 私が復唱してメイリアさんに伝える。お酒はどれも1万ルインのワインだ。3番はお母さん達、1番がルルさん、5番は前回来て下さったお客様だろうな。


『2番にピエリコ白と4番にピエリコ赤を』


 ご新規さんの席だ、ルルさんを見て真似したみたい。


 お兄ちゃんとラウンツさんがワインを取りに来た。前回の教訓を活かしてグラスは既に開店前から亜空間へ準備してあるらしい。


「素敵な姫からピエリコ頂きましたー!」

「「「アザース!」」」


 というような声が全てのテーブルから聞こえてきた。ふぅ、ひと休憩。




「ペガサスのボトルが増えているわね、ダイヤモンドかしら?」


 お母さん! 気になるよね! でも大丈夫だよ! 金額的に大丈夫じゃないけど!


 ナイトさんが、あれはラインストーンで、一点物のボトルと説明する。非売品と聞いてお母さんのホッとしたため息が聞こえた気がした。

 心配していた話題は終わったので〈影移動〉は解除……。


 店内が少し落ち着いたので魔王様がホールへ向かった。挨拶だ、チラ見しよう……。

 やはり慌ててカーテシーをする淑女達。


「今日も来てくれて感謝する! ついに新規オープンしたからこれからもよろしく頼む。新しいシステムが増えたからナイトに聞いてくれ。じゃぁ楽しんでな」


 新しいシステムってダンスに関係する事かな?


 その後は同じようなワインのおかわりのオーダーが入ってくるだけだった。が……。


『3番にシンデレラ紫と青!』


「3番にシンデレラ紫と青⁉」


 お母さん達だ! 伝票に記入する。

 あれだ……コンプリートへの第一歩だ……。そしてナイトさんから魔王様直伝の髪色に合わせたお酒を……って言われた姿が目に浮かぶ。


 ……店内から音楽が聞こえてきた! 何何⁉

 周りを見渡すとアーニャが魔道具を操作していた。ルルさんが作ったのかな?


「「「今夜は最高! ほんとに最高! はーい素敵な素敵なアスティとルイスのテーブルで! 素敵なショータイム! はーいディメンションのナイト集合ー!

 行くぞー! せーの! 今日も! お酒が! 飲めるのは! いつでも! 姫の! おかげです! 感謝の! 気持ちを! 込めまして! シンデレラ! せーの! いただきまーーーす‼」」」


 別バージョンの拡声魔法! いつの間に……。魔王様とアーニャはまたニヤニヤしている。




 その後は前回来てくれたお客様の席でプエリ白のオーダーが入り、前回と同じシャンコだったけど音楽が付いた。飾りボトルとはコールを分けてるのかな?


 ラウンツさんが伝票を取りに来た、お会計だ。お会計が終わると、指名の入ったナイトさんはお店の外までエスコートするので扉を開けてあげる。

 チラリと見えたお母さんとフローラさんの顔はキラキラしていた。うん、楽しかったならよかったね。


 魔力感知をしてみると、近くに9人の魔力が(とど)まってる……次のお客様が馬車で待ってるんだ!

 ひぃ忘れてた! 第二回戦だ!




2021/8/28改稿。

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