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メイリア博士の研究

「私の〈紅霧(こうか)〉の仕組みが分かったんですか? 実はずっと謎だったんですよね」


 メイリアさんのお話を聞いてみようと、ルルさんメイリアさんと3人で一般席のソファに座ったところでお兄ちゃんとラウンツさんが来た。


「ナイトのために俺らも来たぞー」


「アラッ⁉ 3人で女子会かしら? アタシも混ぜてっ☆」


 ……うん、ラウンツさんはもう女子でいいや。 諦める事を覚えると楽ってルルさんが言ってたし。


「なんかあったのか?」と聞いてきたお兄ちゃんに、「私の〈紅霧(こうか)〉の仕組みが分かったんだって」と説明したら2人も興味津々(しんしん)な様子でソファに座った。




 メイリアさんが私をじっと見ながら話し始める。


「……結論から言うと……ニーナの〈紅霧(こうか)〉はたぶん大気中のマナを吸収してる……」


「ああそういえば、どこからか魔力が体の中へと集まってくる感じがあります。 でも何で夕陽が差してる時だけなのかな?」


「……マナの色が関係してると思う……」


「マナに色なんてあるんですか?」


「……魔力を構成するマナはどこにでも存在する……一番多いのが空気……」


「そういえばこの世で一番多いのは空気かもしれないですね」


「……たぶん空気中のマナの色は光の色で分かる……」


「ん? 空気は無色透明ですよ?」


「……仮説だけど……光の色が全て混ざっていると透明に見える……」


「??? 色が混ざってるのに透明なんですか?」


 周りのみんなは私とメイリアさんの話をじっと聞いている。 わ、わかってないのは私だけじゃないよね⁉


「……それは今は一旦置いておく……ところで夕陽は何色?……」


「あ! オレンジ!」


「……虹は?……」


「七色!」


「……一定の条件下だけ、肉眼で光の色が空気中に見える……」


「なるほど」


 ……話の先が見えないけどとりあえず分かったような顔をしておく。


「……それで……ニーナのマナと、夕陽の光のマナの色や分子構造を比べようとしたけど……解析には精密機械が必要で出来なかった……」


「メイリアさんでもわからないことがあるんですね」


「……うん……だからこれも仮説だけど……ニーナのマナはオレンジ色……だから同じ色の夕陽のマナとの親和性が高いから大気中のマナを吸収出来るんだと思う……なぜ吸収できるかと言われれば……ユニークスキルだからとしか今は説明できない……」


「そういえば奴隷事件の時の話で魔王様が、私の眼の色がオレンジだからオレンジ色の魔力が(あふ)れたんじゃないかって言ってましたね。 確かに私のマナはオレンジ色なのかも」


「……ニーナ……眼球頂戴……」


「ぎゃぴっ! だっ! だめです‼ ルルさん助けて!」


 私の眼を調べるつもりだ! マッドサイエンティストモードのメイリアさん怖い‼


「うふふ……メイリアちゃんの冗談よ」


「冗談に聞こえないのがメイリアさんなんですよぉ!」


 これはお兄ちゃんが亜空間に大事にしまい込んでいる眼帯をもらう時が来たかもしれない。 たしか十字架が描かれていたから魔族除けにはピッタリだ、私も聖ダメージを受けそうだけど背に腹は代えられない……ッ!


「つまりニーナは〈紅霧(こうか)〉使用中は大気中のマナ全部吸収できるって事か? 無限魔力装置だな! どれだけ魔法打ち放題できるか今度試そうぜ!」


「ニーナちゃん最強ネッ☆ 戦ってみたいわぁ!」


 お兄ちゃんとラウンツさんがノリノリだ! 戦いたくないよぅ! もう私の話は終わりにしてぇ!




「「「おざまーす!」」」


 アレンさん達だ! 救世主!

 ダッシュでアレンさんに駆け寄る。


「アレンさん! 今日も頑張りましょう! さあ早速! 早く早く!」


「? 今日のニーナさんは張り切ってますね。 頑張ります!」


 アレンさんがアメジスト色の髪を耳にかけながらニッコリ(さわ)やかイケメンスマイルを私に浴びせてきた。 くっ……アレンさんに妊娠させられそうだけど眼球を取られるよりマシだ!


 アレンさん達ナイトさんがみんな集まってきたから、自然とみんな恋物語解読のお仕事を始めた。

 ふぅ。 メイリアさんの研究は続くのかな……今夜から結界を張りながら眠る練習をしよう……。


 今日から、ナイトさん達の勉強が終わったら一旦2階に上がって夕食を取って、再び1階へ出勤することになった。

 ナイトさん達は露店で軽食を買って来ていて、営業前にフロアで食べるみたいだ。


 勉強会が終わってメンバーみんなで2階へ上がったらアーニャがいない。 部屋をノックしても出てこないからまだ寝てるのかな? ねぼすけだからなぁ。




 今日もディメンションは大盛況だ。 初回料金が安いから、口コミで初回のお客様がわんさか来店してくる。 ふふふ……この街を征服するのも時間の問題かもしれない。


 バックヤードにはいつも通り私と魔王様とアーニャ、キッチンにメイリアさんとジルさん、キャッシャーにコーディさんがいる。

 そういえば今日アーニャは何してたんだろ?


「アーニャ、今日は一人で何してたの? まさかずっと寝てたの?」


「ヒドイ! 名誉棄損(きそん)で訴えるよ⁉ 起きたら誰もいなかったから街にスカウトしに行ってたよ!」


「……何で1階へ降りてこなかったの? つまり寝てたんだね? 偽証罪(ぎしょうざい)で訴えるよ?」


「クッ……私の中の(ヤツ)は陽の光が苦手なんだよ!」


「あ、光といえば今日メイリアさんに眼球を(えぐ)られそうになったよ。 アーニャ眼帯とか持ってない?」


「ま……まさかメイリアちゃん、供物(くもつ)(ささ)げて降霊術(ネクロマンシー)をしようとしてるの⁉ 悪魔(おネエ)召喚だけはやめて!」


「おネエを召喚したのは魔王様だよ……」


「そうだった……魔王様はネクロマンサーなの⁉」


「お前ら毎日楽しそうだな……」


 魔王様は今日も呆れている。 私は全然楽しくないよぅ!


「で、何でニーナは生贄(いけにえ)にされそうになったの?」


 アーニャにメイリアさんの講座内容をかいつまんで話した。


「よくわかんないけど封印解放みたいなものかな⁉ 私が闇と共鳴(リンク)してるのは黒い眼だからだね! あ、眼帯ならたくさん持ってるよ。 髑髏(ドクロ)柄とかどう?」


「勝手に私を封印仲間にしないでよぉ。 そしてやっぱりそういうチョイスなんだね。 いつ卒業するの?」


 あ、しまった、口が滑った。

 案の定、ぎゃあぎゃあとアーニャに魔族たるもの闇との共鳴(リンク)は必須スキルだとか騒がれて、今日も私はコーディさんの所へ逃げて営業を終えた。


 ちなみに今日のクラリゼッタさんの犠牲者はアレンさんだった。 バックヤードにグチりに来なかったあたり、アレンさんはアダマンタイトメンタルの持ち主かもしれない……。


 今は営業後のソファで死んでいる。 まだ亜空間魔法を使いこなせていないのかな。 解毒剤の小瓶(こびん)片手に寝転がっている姿はまるで服毒自殺者だ。

 「ナイト殺人事件 ~くまさんは見ていた~」が起こる日は近いかもしれない。


 明日、ソファという名の棺桶に入るのは誰だろう……。




理系の方はツッコミたい部分があると思いますが、そこはファンタジーなので! なにとぞご容赦を!

あ、気づいてない方はそのままのあなたでいてください♡

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