クラリゼッタ VS ミア
ミアさん……クラリゼッタさんを怒らせたり逆に傷つけられたりしないかな。 心配だよぅ。
「ご指名ありがとうございますニャ、ミアですニャ! お隣失礼しますニャ」
「……獣人は珍しいから呼んだだけですわ! わたくしと席を共にしたなんて獣人達に自慢してもよろしくてよ?」
「ハイド様……あ、代表もレアだから人気が出るって言ってくれたニャ! 獣人のみんなに僕は人気者にニャッたって自慢するニャ!」
ひぃい! ミアさんが天然炸裂でスレスレの会話をしてる!
「なっ……そういう意味でなくってよ!」
「ニャ? プリンセスは声が大きくて元気だニャ! 乾杯するニャ!」
「……ふっ……これをストレートでお飲みなさい?」
クラリゼッタさんがニヤリと口角を上げた。 怖いよぅ!
「僕はいつもドワーフと飲んでたからお酒なら負けないニャ! プリンセス、飲み比べニャ!」
ミアさんがクラリゼッタさんのグラスにもなみなみとブランデーを注いでる……。
「……これもあなたがお飲みなさい? わたくしは安酒を水のように飲みたくはなくってよ、はしたないですこと」
「僕にくれるニャ? ありがとニャ! じゃぁプリンセスは高いお酒を飲むといいニャ!」
「…………ブ、V.S.O.Pを持ってらっしゃい! 今まであなたたちに合わせてVSを飲んでいただけですわ!」
あぁああっ! クラリゼッタさん! ミアさんに皮肉が通じてないうえに自爆してるよ! そしてプライドのためについにV.S.O.Pを入れたあっ! 10万だからコールだ!
「オナシャスニャ! 姫からV.S.O.P頂きましたニャ!」
ホール中のナイトさんの時が一瞬止まり、みんなミアさんの席に集まりだした。
「「「『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! っあーいやそれ!』 『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! ワンツーいやほい!』 た・の・し・いナイトの遊び方ァ!『ハウトゥー!』 す・て・き・なお酒を卸してよ! 『ギヴミー!』 愛・情・表・現飲めるならァ! 『OK!』 いくぜーディメンション! 『集合ー!』」」」
「何なのこれは! やかましいわ!」
「「「ナイト! 全員! 集まったーところで! 『トゥナイ!』 飲めやー騒げや今宵の宴は! 『宴は!』 王子と姫の独壇場! 『独壇場!』 今すぐ君にー会えるなら! 『ッエイ!』 騒ぎ出す! 胸騒ぎ! 『ハイハイハーイ! ハイハイハーイ!』 踊れー騒げー最高の夜に! 『ハイハイハイ!』 V.S.O.P! 『V.S.O.P! いただっきゃす!』」」」
「いただっきゃすニャ!」
「あなたのために入れたのではなくってよ⁉」
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「…………だから一体何ですのこれは⁉」
「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 姫様! 『姫様!』 ありがとうございます! 『ありがとうございます!』 うーソレソレ! 『ワンツーいやほい!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 王子が! 『王子が!』 目指すは! 『目指すは!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 ディメンション全員パーリーピーポー! 『今夜もフロアはお酒の戦場!』 酒をー浴びるぜ! 『ごっつぁんです!』」」」
……クラリゼッタさんは初めてコールを見たからさすがに戸惑っていた。
「ぷぷぷっ! クラなんとかさん、ミアちゃんの天然に負けたね!」
「いつかクラリゼッタさんが怒るんじゃないかってビクビクするよぅ怖いよぅ!」
ピポン!
あ、ミアさんを永久指名した子だ! ひぇ! 被りだよぅ!
「ミアをお借りします」
「あら、あなたもわたくしの席を立つのね? ここは失礼なナイトばかりですこと!」
「ごめんニャ! 僕のダンスを見ててほしいニャ!」
「ダンス……?」
「アンナ! 待ってたニャ!」
「ミアくん!」
「今日は他にも指名をもらったニャ! 僕は人気者ニャ!」
「そっかぁ……よかったね……」
ミ、ミアさん被りをバラしちゃってる……。 どうせクラリゼッタさんの隣に座ってるのを見られたらバレるんだけどさ。 建前ってものががが!
「僕とダンスできるのはアンナだけだけどニャ! みんなアンナをうらやましがってるニャ!」
「そっか……えへへ、そうだね!」
「飾りボトルを飾ってるのもアンナだけニャ! 目立っててカッコイイアンナが僕は好きニャ!」
「……ミアくんずるい! 今日は何飲みたい?」
「えっとニャ……」
ミアさん……もう何も心配しないよ。 そのまま天然でナンバーワンになってね!
今日はさすがにカクテルでこぢんまりと乾杯したミアさんとアンナさんはダンスを始めた。
「このお店はダンスもできるのね? なぜ皆わたくしを誘わなくって? まったく無礼ですこと!」
クラリゼッタさんのヘルプに着いたアッシュさんがビクビクしながら永久指名やナンバー争いの説明をしてる……。
「永久指名……」
お願いクラリゼッタさん! 誰も永久指名しないでぇ! 指名されたナイトさんがストレスで死んじゃうよぅ!
「魔王様、アリアさんが魔王様を呼んでいるんですが……」
お兄ちゃんが困り顔でバックヤードに来た。
「ああ……アレンにダダこねてたな。 よし! 俺様に任せろ!」
今日も忙しいよぅ!




