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2号店正式オープン 中編

ブクマ評価ありがとうございます!

一言でも感想お気軽に頂けると嬉しいです(o・ω・o)

「ラウンツから念話で俺に指名が入ったとさ……。 プレオープンだけって言い忘れてたぜ……ちょっと他のナイトと行ってくる」


「い、行ってらっしゃいませ……」


「さすが魔王様だね! ニーナ! 盗聴しよ! (つど)え、鎮魂歌(レクイエム)────」


「店内把握って言おうよアーニャ……」




「おーいアリア、ご指名ありがたいけどな、他のナイトを指名してやってくれよ。 俺に貢いでもしょうがないだろ」


「む⁉ 仕方なかろう! この前はほとんどのナイトとおしゃべりできなかったのじゃ!」


「あの貴族のせいだな……悪かったよ。 今日は指名無しで色んなナイトと恋物語ごっこしてろ」


「ふむ。 それも一興じゃな。 シャンパンビンダの時だけ呼んでやろう!」


「フッ……ユニコーンのビンダ待ってるぜ!」


「ほっほっほ! 言いおったな? いじめられるのを楽しみにしておるがよい!」


 ぎゃぴっ! ブランデーのビンダなんで死んじゃうよぅ‼


「プリンセス、今日も僕とお話していただけますか?」


「おお、おぬしはこの間おったアレンとやらじゃな。 苦しゅうないぞ」


「僕の名前を覚えていてくださったんですね、光栄です」


「僕もご一緒してよろしいですか? ヴァンです。 ところで僕の落とし物知りませんか?」


「む? なんぞ無くしたのか?」


「あっ! あった! プリンセスが盗みましたね⁉ 僕のハート!」


「……ほっほっほ! 滑稽(こっけい)なやつよのう! よいよい、おぬしも飲もうぞ!」


「ありがとうございます!」


 ヴァンさんは面白いナイトさんだな。




 ふぅ。 正式オープンもたくさんお客様が来て滑り出しは順調だ!


 ピポン!


「お客様ご来店です!」


 今度は誰かな?


「げ! ニーナ! あのクラなんとかって貴族だよ!」


「ぎゃぴっ! クラリゼッタさん⁉ 何で来たのぉ⁉」


 黒髪を結い上げた貴婦人は優雅へVIP席へと座った。

 そしてラウンツさんが私たちのいるバックヤードへ。


「魔王様ぁ、ホントにあの貴族を入れていいのぉ?」


「念話した通りだ、とりあえず様子を見る。 あと、ああいう嫌な客の対処法を覚えるのにいい機会だ!」


「わかったわっ! ご指名はルフランちゃんよっ☆」


「うわ! ルフランくん災難だねー!」


 アーニャとともにルフランさんの冥福を祈ろう。 そしてアーニャはルフランさんにこそ鎮魂歌(レクイエム)を唱えてあげたほうがいいと思う……。


「ああいう客はムカツクが、その分金を使うパターンが多いんだよなー!」


「要チェックだね! ニーナ!」


「う、うん……」


 〈影移動〉で目と耳をルフランさんへ……。




「クラリゼッタ様、ご指名ありがとうございます」


「わたくしに声をかけてもらえるなんて社交界でも中々なくてよ?」


「そうなんですね! さすがプリンセスです!」


「光栄に思う事ね! オーッホッホ!」


 ナイトのさしすせそは便利だ……。


「軽くV.S.O.P.(ブイエスオーピー)でも飲もうかしら」


「V.S.O.P.ありますよ!」


 V.S.O.P.はブランデーの種類だ。 10万ディル。 ルフランさんがメニューを差し出すとクラリゼッタさんの時が止まった……。 まさか市場の10倍の値段だなんて知らなかったんだろうな。 この間途中で帰っちゃったし。


「……そういえばあなたも飲むのよね? 今日はVS(ブイエス)にしておくわ。 あなたにV.S.O.P.の味なんてわからないでしょう?」


 3万の安い方に変えた! そしてルフランさんのせいにしてるぅ! キイィー!


「……あ、あはは、実はそうなんです。 さすがプリンセスですね! 普段はV.S.O.P.を飲んでいらっしゃるんですか?」


「いつもは最低でもX.O(エックスオー)よ! あなたにはVSでも十分すぎるわね! 感謝なさい!」


「あ、ありがとうございます! プリンセスと一緒に飲めるなら何だって最高級のお酒に変わりますよ!」


「オホホ! そうね! 持っていらっしゃい!」




「クスクス……意外とケチだねクラなんとかさん!」


「クラリゼッタさんだよぅアーニャ」


 その後もルフランさんはナイトのさしすせそでなんとか会話を乗り切っていたがそろそろキツそうだ……。




「ルフランをお借りします」


 ラウンツさんだ! 助けてあげて!


「あら? どうなさって?」


「ごめんなさい、初回(しょかい)のお客様にご挨拶があるんですよ。 なるべく早く戻りますね!」


 そう言うとルフランさんは速足でバックヤードへ来た!


「メイリアちゃん! 解毒剤ちょうだい! あと貴族耐性の付くバフとかかけて!」


「……はい解毒剤……そんなバフは無い……」


「うがぁあああああ! アイツなんなんだよ! ムッカツク!」


 ルフランさんが解毒剤をヤケ飲みしながらイライラしてるよぅ!


「ははは! ルフラン、ああいう客に金を使わせたらスッキリするぞ! 頑張ってみろ!」


「代表……はい! ゼーッテー金使わせてやる! じゃぁベルラちゃんの所に戻ろっと! 休憩(たく)あってよかった~!」


 ルフランさんはウキウキとベルラさんの席へ戻って行った。


「魔王様、休憩卓とは?」


「あん? ああ、楽な客の席だと休憩できるだろ? そういう席を休憩卓って言うんだ」


「ええっ⁉ お仕事中なのにお客様の前で休憩していいんですか⁉」


「素を見せられるのはお前だけなんだよ~って感じでやるんだ! フッフッフ」


「魔王様の考えることは全て戦略なんだね! さっすが! 初回への挨拶は席を抜けるための嘘かな?」


「そうだ、客は被りを嫌うからな。 ルフランは今日(かぶ)りだからまずはベルラの所へ戻らせる。 初回(まわ)りは客が帰ってからでもいいだろ」


 ……魔王様の計算が緻密(ちみつ)すぎて怖いよぅ!


「あ、ニーナ、ルルさんの席でアッシュ君が落ち込んでない?」


「え?」


 うわぁ……空気がどんよりしてる……。 何があったんだろ?




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