2号店正式オープン ミア編
ミアさんにいきなり永久指名が入った……。
「まずは乾杯してから踊るニャ! アンナは何が好きニャ?」
「えーどれにしようかなぁ? 甘いお酒がいいな!」
「それならシンデレラニャ! 一緒に見に行くニャ!」
ひぇ! いきなり飾りボトルをオススメしてるぅ!
「ま、魔王様、ミアさん大丈夫ですか? 全然育ててないんですけど……」
「ははははは! ミアは純粋に事実を述べてるだけだからな! あの客もぽやっとしてるから大丈夫だろ!」
ミアさんとお客様はボトル棚の前に行って飾りボトルを見ているようだ。
「わぁ! 綺麗だねー! くまさんもお酒だったんだね、どれも可愛い!」
「ここにあるお酒は飾りボトルっていって毎回席に置かれるニャ! シンデレラが20万でくまさんは40万ニャ!」
「そうなんだ! それなら高いけどいいかも……。 くまさん欲しいなぁ……ん~でも今日はピンクのシンデレラにするっ!」
「可愛いアンナにはピンクがピッタリだニャ! 僕は青が好きだけどニャ!」
ぎゃぴっ! サクッと飾りボトルまで入っちゃったよぅ!
バレットさんがボトル棚からそっとシンデレラを取り出し、レオさんがキッチンへグラスを取りに来た。 人族は空間魔法を使える人が少ないらしい。
「コールだね! 音楽いっくよー!」
アーニャが音楽をかけだした。
「「「今夜は最高! 『今夜は最高!』 ほんとに最高! 『ほんとに最高!』 はーい素敵な素敵なミアのテーブルで! 『イェイェイ!』
素敵な! 『素敵な!』 ショータイム! 『ショータイム!』 はーいディメンションのナイト集合ー! 『集合ー!』」」」
「「「さーナイト全員集まったところで! 『イェイイェイ!』 行くぞー! 『イェイ!』 せーの! 『せーの!』 今日も! 『今日も!』 お酒が! 『お酒が!』 飲めるのは! 『飲めるのは!』 いつでも! 『いつでも!』 姫の! 『姫の!』 おかげです! 『おかげです!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 シンデレラ! 『シンデレラ!』 せーの! 『せーの!』 『いただきまーーーす!』」」」
「ニャー! 楽しいニャ!」
「わぁ! これやってみたかったんだぁ!」
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「ミ、ミアくんこれからよろしくねっ!」
「よろしくニャ! 僕のお姫様!」
「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 姫様! 『姫様!』 ありがとうございます! 『ありがとうございます!』 これから! 『これから!』 ミアの! 『ミアの!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 目指して! 『目指して!』 よーろしくうーーー! 『よーろしくオナッシャーーース!』」」」
飾りボトルのコールも改良されている……っ‼
お兄ちゃんが割り物のオレンジジュースを取りに来た。
「レイスター、カクテルサービスしとけ。 内勤の裁量でやっていいぞ」
「はい!」
「魔王様、何でカクテルを?」
「シンデレラだけ飲んでたらすぐ空になるだろ。 せっかくのピンク色が消える。 1杯ずつ乾杯してあとは飲まずに飾らせとくんだ。 あれはいい客なりそうだからな、店ぐるみで恩を売るぞ!」
「み、店ぐるみっ⁉ また悪どい罠をっ……!」
「フッ……こんなの店ぐるみの序の口だ! ちなみに飾りは飲み切ってもいい事があるぞ?」
「飲み切るとどうなるんですか?」
「アリアみたいにボトルを持ち帰りたいってやつもいるだろ? 持ち帰るのは飲み切ったらだ! そして飲み切ったら店の席には飾れない。 捨てるか家に持ち帰るかだ!」
「ええ! 捨てるなんてもったいない!」
「だから大体の客は酒を1センチ残してずっと席に飾るんだ」
いつの経験⁉ もしかして魔王様は異世界でホストだったのかな? 詳しすぎる……。
「シンデレラは色がきれいだからほとんど残しておくんですね……」
「そうだ。 アーニャ! ダンスが始まるぞ」
アーニャがダンス用のスローテンポな曲をかけ始めた。
「アンナダンスニャ!」
「う、うまく踊れるかなぁ……」
「僕におまかせニャ!」
ミアさんとお客様はホールの真ん中に立つと、ミアさんが跪いて右手を腰の後ろに当て、左手を差し出してお客様に言った。
「僕と踊っていただけますかニャ、プリンセス」
ミアさん……! 様になってる! 騎士になりきってる! カッコイイのが好きって言ってたもんなぁ。
「は、はいっ」
そして2人は手と手を取り合い踊っていたが……ミアさんがそっとお客様の手を放してバク転で後ろに下がったぁああ‼
と思ったら今度は飛び上がって3回転ひねりを入れ、ビックリしているお客様の前へ着地したらお客様を抱き上げポーン! と投げてキャッチしたっ!
「キャーーー! ミアくんすごい!」
「ニャハハハハ!」
獣人の身軽さを活かしたミアさんにしか出来ないダンスだ! 一般席だけでけでなく、VIPの貴族もポカンと見ていたけどその顔は羨ましそうだ。
ピポン!
「お客様ご来店です!」
コーディさんの声で手の空いているナイトさんとラウンツさんレオさんが入口に並んだ。
あ! お、お姫様ぁ……! 今日も来ちゃったの⁉
お姫様がVIPルームに座ったら魔王様が苦笑いした。
「魔王様どうしたんですか?」
「ラウンツから念話で俺に指名が入ったとさ……」
ぇえっ⁉




