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2号店プレオープン 後編

 アーニャが魔道具を操作して音楽をかけ始めた。


「「「いーよいしょ! 『いよいしょ!』 始まりました! 『始まりました!』 素敵な! 『素敵な!』 シャンパン! 『シャンパン!』 ぶち込んで! 『ぶち込んで!』 くれたのは! 『くれたのは!』 こちら! 『こちら!』 素敵な! 『素敵な!』 姫と! 『姫と!』 王子の! 『王子の!』 お席に! 『お席に!』 なんと! 『なんと!』 なんと! 『なんと!』 なーんと素敵な! 『なーんと素敵な!』 シャンパン一発頂ました! 『ありがとうございます!』 ディメンション全員集合! 『集合ー!』」」」


「なっ! なんじゃ⁉」


 お姫様はビックリしてるけど横に座っている魔王様はふんぞり返ってニヤニヤしてる。


「「「さーディメンションのナイト全員集まったところで! 『オイ!』 乾杯の! 『オイ!』 準備! 『オイ!』 できた! 『オイ!』 ところで! 『オイ!』 コールいきまっしょーい! 『オーイ!』

 素敵な 『素敵な!』 思い出を! 『思い出を!』 姫様! 『姫様!』 ありがっとーーーい! 『ソレソレソレソレ!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『イェイ!』 シャンパン! 『イェイイェイ!』 みんなで! 『みんなで!』 頂きます! 『ハイッ!』 『スリー、トゥー、ワン、GO! かんぱーーーい!』」」」


 ポンッ! っとシャンパンが開いた音がした。


「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」


「…………う、うむ。 皆で乾杯しようぞ……」


「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」


「び、びんだ……?」


「ビンに残ってるシャンパンを誰かにイッキ飲みさせるんだ、誰にする? 俺をいじめるチャンスだぞ!」


「何っ⁉ ではハイドじゃ!」


「キタぜっ!」


「「「ご指名! 『ご指名!』 代表! 『代表!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」


 あっ! 魔王様が余裕と言わんばかりにビンから直接イッキしたぁ!


「こんなの水だぜ‼」


「な、なんと……!」


 ……シャンコが大幅に改良されているッ‼ いつの間に⁉ そして時折「ニャ!」と聞こえてきたのはミアさんだ……。


 近くの貴族だけでなく一般席のお客様もポカンとしていた。 私もビックリしたけど……ふふふ……人族に一泡吹かせてやったよ!


 ナイトさん達はバラバラと自分たちの席へ戻っていった。




「アーニャ、ルルさん、ナイトさん達はこの短期間でよく覚えましたね……」


「魔王様の熱の入りは異常だったよ! 魔界でも教えてきたんだって!」


「魔王様はシャンコを教えている時が一番イキイキとしていたわ……」


「音楽も魔王様が作ったんだよ! バンド? とかってのをやってたから余裕だって!」


「あ、あのやたらテンションが高くてテンポの速い音楽は魔王様が作ったんだね……ずっと謎だったよ」


「魔王様の才能は素晴らしいわ……。 音楽家が聞いたらビックリして魂が抜けるんじゃないかしら?」


「キャロルさんが好きそうな音楽ですね……」


「キャロルちゃんは『チョーヤバイ! マジブチアゲー! 飛ぶ飛ぶ!』って言ってたよ!」


 ……キャロルさん語を解読するのはもう諦めた。

 そしてちょっと疲れたから〈影移動〉は解除……。




 その後、魔王様のサービスシャンパンによりシャンコを知った貴族のお客様が、続々とシャンパンを入れてくれた。 シャンコの宣伝効果はバッチリだ!


「あ、そういえばミアさんは大丈夫かな?」


「ミアちゃんには魔王様がアイドル営業を教えてたから心配ないよ!」


「アーニャ詳しいね……。 聞きたくないけどアイドル営業って何?」


「アイドルってのは、歌い手みたいにみんなの人気者って意味なんだって! だからミアちゃんはお客様みんなのものだから、恋愛禁止っていう厳しい(おきて)があるらしいよ!」


「恋愛禁止も何もミアさんは女性でしょ……」


「女の子なのはお客様にも隠さないけどさ! 一応そういう設定があるのが楽しいんじゃん!」


「は、はぁ……そうなんだね。 もう私は魔王様の戦略の意味を考えるのはやめたよ」


「えー! まだイチャ営とか()み営とか色々あるのに!」


 き、聞きたくない……。



 魔王様がバックヤードに戻ってきた。


「ニーナ、コーディ、一般席の様子はどうだ?」


 ぎゃぴっ! ずっと魔王様の監視をしてて疲れたから一般席は見てません!


「一般席の方も楽しんでいますよ。 もうそろそろいい時間でしょうか、物足りないくらいが切り上げ時ですよね?」


「そうだ! よくわかってるなコーディ! ……ニーナ、ずっと俺の席を見てただろ」


 魔王様が腕を組んで上から「フン!」と私を笑った。 ひぇ!


「まぁ俺様の接客にかかればこんなもんだ! 思わず目を離せなかっただろう?」


 くっ……悔しいけど魔王様の言う通りだったっ……!


「じゃぁ俺は挨拶に行ってくるな」




 魔王様がホールの真ん中に立った。


「みんな楽しんでくれたか? そろそろお開きだ。 次回からのシステムや、初回の客への紹介の仕方はナイトに聞いてくれ。 次に来る時はお気に入りのナイトを指名してやってな、そいつらの給料になる。 正式オープンは1週間後だ、じゃぁまたな」


 魔界の時と同じようにお客様がザワザワしだした。

 そしてアーニャがバックヤードから出て行って、一般席のお客様のお見送りが始まった。

 その間に、シャンパンを入れた貴族のお会計がわさわさ集まってくる……けどコーディさんが瞬殺で仕事を片付けてくれるので私のやる事がないぃ!


「また僕に会いに来てほしいニャ! 待ってるニャ!」


「うん! またミアくんに会いに来るね!」


 ミアさんは商人のお嬢さんと仲良くなったみたいだ。 よかった。




 お客様全員のお見送りが完了して、内勤さん全員が店内へ戻ってきた。


「よし、みんなお疲れ! プチミーティングするぞー!」


 今日最後のお仕事だ!




アリアはちゃんとオレンジジュースを飲んでます。

魔王「お子ちゃまはこれでも飲んでろ!」

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