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2号店プレオープン 前編

 今日はついにプレオープンの日だ!


 みんなでいつもより早めに1階へ降りると、内勤さんやナイトさん達もゾロゾロやって来た。 全員気合いが入っている!


 ナイトさん達の髪はトリートメントでツヤツヤサラサラだし、香水もつけてるみたい。

 私はキャッシャーへスタンバイし、コーディさんが外のライティングに繋がっている魔道具へ魔力を込めた。


「コーディさん、メニューと集音魔法は覚えられましたか?」


「はい! バッチリです!」


「さすがですね!」


 コーディさんは魔力感知が得意ではないらしいので、お店の扉の外にはルルさんが作ってくれたスイッチがある。 お客様が押したらキャッシャーで音が鳴り、そしたらコーディさんが魔道具に魔力を込めて扉を開ける。 魔王様はドアホンと名付けていた。


 プリンセスにはドレスの(すそ)より重い物を持たせてはいけないため、扉はキャッシャーで開けるという魔王様のこだわりらしい。 そ、そんな所にまで演出があったんだな……。




「おはよう! ついにプレオープンだな!」


 魔王様とミアさんがホールに転移して来た。


「「「代表! おざまーす!」」」


「ナイトは全員ルルの魔道具を付けているな?」


 みんなコクリと(うなず)く。

 あ、ナイトさん用の結界と録音の魔道具のことだな。 いざという時に魔力を込めると発動するらしい。


「今日の招待客は貴族と一般人で半々だ。 貴族の席は俺がずっとVIPルームで見てるから安心しろ。 特別に今日だけ俺も接客する」


「えっ⁉ 魔王様が人族を接客をするんですか⁉」


「あのじゃじゃ馬娘が来るからな……まぁちょっと俺の知り合いの貴族が来るってだけだ!」


『アリアは俺がメインで接客する。 ナイト達は第3王女の顔まで知らないから言うなよ? 王女が来てると知ったら仕事にならん!』


 魔王様からパーティ念話が飛んできた。 な、なるほど……。 そういえば今日の魔王様はスーツだ。 内勤用のスーツとは違ってやたらアクセサリーがついててキラキラしてる……。




 魔王様がナイトさん達とコショコショ話をしてる……。

 あれかな、お客様に色恋営業をかけろっていう、5番目の注意事項の意味の正解を話してるのかな……。


 その後、ナイトさん達はシャンパンコールの練習をしたり、内勤さんはおしぼりの準備をしてお客様の来店を待った。


「あ、ベルラさんから念話がきました! お客様来店です!」


 私の声でナイトさんと内勤さんが入口に並ぶ。 魔王様とルルさん、アーニャはバックヤードへ戻って来た。 私がアーニャと一緒にバックヤード入口のカーテンからチラ見するのは恒例行事だ。


 コーディさんが扉につながっている魔道具に魔力を込めると扉が開き、ちょっとおしゃれをしたベルラさんが、入口前の地面で光っているディメンションの文字を()んでいいのかとわたわたしていた。


「「「おかえりなさいませプリンセス‼」」」


「えっ⁉ えっ⁉」


「ベルラさんいらっしゃいませ。 お席へご案内します」


 顔見知りのお兄ちゃんとラウンツさんがベルラさんを席へ案内する。 その後も裕福そうなご婦人やお嬢様が来店し、バレットさんとレオさんも緊張しながら一般席へと案内した。


「貴族一行が来るぞ」


 魔王様のお声でナイトさん達は再びお出迎えの準備だ。


「「「おかえりなさいませプリンセス‼」」」


 前よりフリフリの少ないドレスを着たお姫様と華やかなドレスを着た貴族の女性達は、一瞬ビクッとしたけど優雅に店内へと足を踏み入れた。


 魔王様がホールへ挨拶に向かう。




「皆、来てくれて感謝する、俺はこの店の代表だ。 今夜は招待客なのでエールと白ワイン、フルーツはサービスだ。 メニューにある酒などは有料だが別に頼まなくていいぞ、とにかく今日は楽しんで知り合いに宣伝してくれ!」


 メイリアさんとジルさんが用意したフルーツの盛り合わせ、略してフル盛りやお酒を内勤さん達が運んでいく。


「ニーナ! 魔王様の席を盗聴しようよ!」


「アーニャ……盗聴じゃなくてお仕事だよぅ……わかったよぅ」


 〈影移動〉で片耳と片目をVIP席の真ん中、お姫様の席へ……。 実は私も魔王様がどんな接客をするのか興味がある。




「今日はなんて名前の設定で来たんだ?」


「わらわはしがないの男爵家の娘、アリアじゃ! ほっほっほ」


「周りの貴族は知り合いだから知ってんだよな? ところでアリア、お前未成年だろ、本当は10歳位か?」


 えぇっ⁉ 魔王様が言ってたナイトのタブーその1、年齢を聞いちゃってるよぅ!


「おなごに歳を聞くとは失礼な奴じゃの! わらわはこれでもじゅうよ……15歳じゃ!」


「ハァ……アリアだけ特別だからな? 新規の客は成人しか入れないぞ、入店時に身分証で年齢確認するからな。 お子ちゃまの友達を連れて来るなよ?」


「お子ちゃまとは失礼な! ところでハイドよ、全然騎士らしくないではないか!」


「俺はオラ(えい)専門なんだよ! ナイトと甘ったるい話をしたいならもう一人着けてやる」




「ニーナ! どんな感じ?」


「魔王様がいきなりタブーの年齢を聞いてたよ……。 そして魔王様はオラ営専門だから騎士(ナイト)の真似はできないって。 オラ営ってなんだろ?」


「ああ! オラオラ営業のことだよ! 俺様! って感じのオーラで接客するから何しても許されるんだって! さすが魔王様だよね!」


 えぇ……。 お客様より偉そうだけどいいのっ⁉ ナイトのさしすせそはどこへっ⁉




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