ナイトになるニャ!
「ミ、ミアさん、ナイトは男の人じゃないとなれないよ?」
「ニャ⁉ アーニャ嘘ついたニャ⁉」
「嘘じゃないよ。 フッフッフ……これは私がキャラリアに行った時から温めてたんだけどね、男装僕っ娘のイケメンミアちゃんならイケると思ったんだよ! 魔王様! いいでしょ⁉」
無理に決まってるよぅ!
「……男装ホストか……そんなのもあったな……。 ミア、人族の女相手に騎士の様に振る舞うんだぞ? 出来るか?」
えっ⁉ なんで魔王様は前向きに検討してるのっ⁉
「僕がこの服を着て騎士みたいになれるニャ⁉ 頑張るニャーーー‼」
「よし、やってみるか! 獣人はレアだから人気出るかもな! ははは!」
「やった! ミアちゃん、私の研修は厳しいよ? 覚悟してね? ククク……」
「よく分からないけど頑張るニャ!」
よ、よく分かってないのにいいのぉ⁉
いつの間にかサンプルの騎士服に着替えたミアさんがニャーニャー興奮している。
今日からアーニャはミアさんのお家に泊まり込みで、恋物語の知識やアーニャの「カッコイイ台詞集」を教えると言っている。
シャナさんも「私がこれまでに読破した恋物語の名場面をお教えしますわ!」と張り切っている。 ディアブロのお店が暇な時に教えるらしい。
そんなこんなで2日過ぎた。
ダンジョン前の商人さん達のお店は段々出来上がってきたし、ガレリーさんも木材などを毎日持って来てくれた。
そして仕立て屋さんが本当に来た! 目の下にクマを作っている……寝ずに仕事を終わらせてきたんだな。
私はエルドラドから獣人さんを呼んできてあげた。
……並べてある服のほとんどが露出度の高い服なのはもう何も言うまい。
それから1週間くらいは、ちょこちょこディメンション2号店の扉や水周りなどが納品されてきたので、私が2号店に行って工事の立ち会いをし、建物に備え付けの設備の施工と店内装飾は終わった。
その間、ルルさんメイリアさんも2号店の彫刻や魔薔薇の柵作り、魔道具の設置などをしてくれた。 あとは家具類だけだ!
ディアブロに戻って、家具は出来ているかドルムさんに聞いたところ、ドワーフの大工さんのモリスさんに念話しておくのでエルドラドの倉庫に行けと言われた。
エルドラドの倉庫らしき大きな建物へ行くとモリスさんが待っててくれた。
「モリスさんこんにちは。 家具は出来てますか?」
「おお、バッチリだよ。 中に入るかい?」
倉庫に入ると豪華なソファとテーブルがひときわ目を引いた。
「わぁ! すごいですね!」
「そうだろう! ヒュドラの革の鱗模様が綺麗だからね! 手触りと弾力性もいい。 そして背もたれの装飾もいいだろう? トッドに作らせた。
これはVIPルームとやらの豪華なやつだよ」
「お姫様が座るソファみたいです! テーブルはガラスで作ったんですね?」
ガラスの天板が二重になっている。 テーブルの縁や脚は金属で、猫足の脚がオシャレだ!
「そうだ! 天板の下にセンスのいい小物を飾りな。 華美な雰囲気になるよ! こっちもVIPルーム用だ」
「なるほどですね! ありがとうございます! じゃあお支払いします」
モリスさんから渡された請求書と引き換えに大金貨を渡して家具を亜空間にしまった。
2階に置く私達の家具も出来上がっている! わーい早速設置しよう!
「お兄ちゃん! コーディさん! 家具が出来上がったよ! 設置するの手伝ってくれないかな?」
ディアブロのお店にいた2人はガタッ! っと立ち上がった。
「ニーナ! 今すぐ行こう!」
「クレイドさん! お店はよろしくお願いします! 僕達の死活問題なんです‼」
「……‼ 皆さんの個室が出来上がるんですね⁉ 行ってらっしゃいです‼」
色々と察したクレイドさんが快く送り出してくれた。 うん、クレイドさんのためでもあるもんね。
ディメンション2号店に着いた。 扉の魔道具の鍵に魔力を通して開ける。
「お兄ちゃん達は見るの初めてだね? こっちがバックヤードで───」
「ニーナ! 2階から設置するぞ!」
「早く行きましょう!」
お兄ちゃんとコーディさんは一刻も早く寝床を作りたいらしい。
ま、待ってぇ!
個室には既に浴槽とトイレが設置してあるので、ベッドと机と椅子を置いたら完成だ。
「やっと……やっと僕の城が……」
コーディさんは大きな机に頬ずりをしている。 よかったね……。
「今日からここで寝れるな!」
「そ、そうかもね……」
その後は1階にソファやローテーブル、ボトル棚などを置いた。
VIPルームと一般席は、宝石カットされたガラスの大きなビーズで出来たビーズカーテンで仕切られている。
ビーズカーテンなので隙間が多いからホールからもよく見えるし、シャンデリアの光をキラキラ反射していて綺麗……。
VIPルームは黒、ホールのある一般席は白い壁と床になっていた。 白黒の対比で席が分かりやすくていい。
「よぅし! 食器も揃ってるし、あとはメイリアさんの飾りボトルを飾ったら完成かな? あ、外のライティングも見る?」
「お? 前と違うのか?」
「ふふふ……」
もう陽が落ちているのでライティングのチェックだ!
お兄ちゃんとコーディさんにはお店の入口で待っててもらい、私がキャッシャーにあるライティングのスイッチに魔力を込めた。
「なんだこれ⁉ 文字が光ってるぞ⁉」
「すごいです! 入口の地面にディメンションの文字が光で映し出されている……」
「すごいよね! 魔王様が考えてルルさんとシャナさんが作ってくれたんだよ!」
「看板代わりにもなるしオシャレですね……」
「なんかこの魔道具の光だけで未来に来た気分だぜ!」
これから毎日嫌でも見るんだからと、興奮している2人を連れてディアブロへ戻って来た。
「あ、魔王様、お店が出来上がりましたよ! 魔王様のセンスは抜群です!」
「だろ? ニーナお疲れ! じゃあ明日は面接したやつを店に集めるか!」
「俺から念話しておきますね。 魔王様! 今日からディメンションに住んでいいですか⁉ いいですよね⁉」
珍しくお兄ちゃんが魔王様に圧をかけている……。
「お、おう……好きにしろ」
お兄ちゃんとコーディさんはよく分からないけど腕や拳をぶつけ合ったりした後ガッチリと握手した。 何の儀式かな?
アレの呪いが祓えるなら私にも教えて欲しい……。
お仕事が終わったら早速ディメンションメンバーは2号店の2階にお引越しした。 と言っても荷物は全て亜空間だけど。
「わぁ! 私の部屋に浴槽がある! お風呂入ってくるね! 洗浄魔法じゃ何となくスッキリしないんだよ! 久しぶりだー!」
「あ、アーニャ待ってよぅ」
「……行っちゃったわね。 お風呂の後にご飯にしましょうか」
ルルさんがそう言ったのでみんなお風呂へ。
浴槽に魔法でお湯を張ってゆったりと浸かる。 アーニャの言う通りお風呂の方が綺麗になる気がする……。 ふぅ、ちょっと疲れが取れたかも。
そうだ晩ご飯!
パジャマに着替えてダイニングへ。
ラウンツさんが楽しそうにお料理してる。
今日のネグリジェは紫なんだな☆ ……じゃないよ‼
アーニャのバカァアアアアア‼
先にお風呂に入ったからラウンツさんのネグリジェを嫌でも見なきゃいけなくなったじゃん‼
バカッバカッ‼
ああああああああああああ‼




