レイスター祈願達成
毎日お昼更新の予定ですヾ(●´∇`●)ノ
「ドルムいるか?」
ドルムさんがカウンターの奥からバッ! と出て来た。
「なんじゃ! ハイドもワシの最高傑作を買いに来たか⁉」
「フッ……俺の武器は俺自身だ! ……ってそうじゃなくてな。 大工仕事の得意なドワーフに家具を作って欲しいんだよ」
「おお、大工は今仕事が無いからの、いいぞい。 仕事が無さすぎてブロアとあの狐の……リサじゃったな。 リサの家とベッドやらをこれ以上無いくらい豪華に作っておったぞ」
ああ……リサさんはミアさんのお家に仮住まいだからね。 ブロアさんはドルムさんのお家にいるのかな?
「お、おう。 じゃあこいつら魔族の家具を作ってくれよ」
「俺らの家具……?」
「お兄ちゃん! 2号店の2階が私達のお部屋になるんだよ! しかも個室だよ!」
お兄ちゃんとコーディさんは言葉を失って震えている……。
「こ、個室……」
「個室ですよコーディさん‼ うぉぉおおお‼」
「やりました! やりましたよレイスターさん‼」
2人とも手を取り合って喜んでいる。 コーディさんは腕で涙を拭った。
「よかったね2人とも……」
チラッと魔王様を見ると口元が歪んでて笑いを堪えていた。 ……絶対男子3人で遊んでたよね⁉
「なんじゃ、街の店に住むのか?」
「おう! 個室だから1人用サイズのベッドとテーブルと椅子を頼むな」
「わかった、7人分じゃな。 金額は聞いておく。 木材の仕入れはまたガレリーからしておくぞい」
「よろしく! あ、コーディの部屋だけデカいから書類仕事が出来るようにテーブルはあれくらい大きめで頼む」
魔王様がドブグロの奥にあるテーブルをアゴでくいっと指した。
「僕の部屋だけ特別……!」
「うむわかった、任せるんじゃ」
魔王様に言われて2号店の設計図をドルムさんに渡す。
魔王様は2階のリビングに置くダイニングテーブルと椅子、お店用の豪華なテーブルとソファなどもお願いしてた。 ソファにはヒュドラの皮を使うらしい、商人さんに売りさばいた後にお兄ちゃん達が狩ってきた素材を渡した。
「魔王様、新しく来た3人もずっとここにいるんですよね? お家作ってあげないんですか?」
「……今から話すつもりだったぞ!」
絶対忘れてたよぅ!
「ドルム、お前らを守る魔族を3人連れて来たからエルドラドに家を建ててやってくれないか? 店の家具の方が優先だけどな」
「家もか。 大工との仲介は大変じゃのう……チラッチラッ」
「……わかったわかった! また何か酒を持ってくるよ!」
「何だか催促したみたいで悪いの! 楽しみじゃガッハッハ!」
明らかに催促してたよね⁉
ドブグロを出たら私とコーディさんはクレイドさんに帳簿関係を教えるようにと言われたのでディアブロへ。
「メイリアマジー⁉ 嫌がらせかよー!」
「……冒険者がたくさんくれる……」
ケ、ケンカ? 方向性の違いでメンバーが解散するのはよくある事だ……!
「キャロルさんどうしたの?」
「あ、ニーナ! メイリアがね、ポーションにグメーメ草を使ってたんだよ! これチョーくっさいのに! 嫌がらせだよねマジウケるー! でもよく効くね! あたしも作ろうかな⁉」
よかった……方向性の違いとやらじゃなかったみたい。
……ってそれ、私が前に人体実験させられたやつじゃない⁉ どうりで臭いはずだよぅ‼
クレイドさんに帳簿の付け方やダンジョンとダンジョン前のお店、エルドラドについて教えて今日は終わった。
体の大きなクレイドさんが背中を丸めてちまちまと帳簿を書いている姿はなんか可愛かった。 そしてコーディさんに尊敬の眼差しを送っていた……どうしたのかな?
寝る前に女子会をするのが毎日のルーティンだ。
ちなみにシャナさんとキャロルさんまで私達のテントに入らなかったので、2人は別のテント。
クレイドさんは……今頃ラウンツさんのネグリジェ姿を拝んでいると思う。
今日のクレイドさんは何だか暑苦しさが軽減してるなと思ったけど、昨日ラウンツさんのネグリジェを見たからショックを受けたのかもしれない……だからコーディさんの精神力におののいていたんだ。 尊敬の眼差しの謎が解けた!
「ニーナ! お店作ったんだよね⁉ どんな感じ?」
「ふっふっふ……なんと! 2階に私達のお部屋があるよ! 個室だよ!」
「えっ! やったー!」
「アーニャはスカウトどうだった?」
「何人か興味を持ってもらえたよ! 人数が集まったらまとめて魔王様に面接してもらうよ!」
「よかったね、1回で済ませるのはいいかもね」
「ラウンツさんの案だよ! あ、ラウンツさんはスカウトしながらお仲間の集まる酒場を探してたよ……」
「そ、そっか……」
「そういえば今回宣伝はどうするのかしら? 魔王様から何か聞いてる?」
あ、ルルさんの言う通りだ。 女性はベルラさんにしか宣伝してない。
「魔王様に聞いておきますね。 ルルさんは魔道具作製頑張ってください」
「そうね、ありがとう」
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今朝もみんなディアブロのお店に集まった。 3人増えてギュウギュウだ。
「おはよう! 今日は何する? 商人に頼んだ建具とドワーフに頼んだ家具はまだ出来てないからなー」
魔王様はお店が出来てから上機嫌だ、鼻歌まで歌い出しそうな雰囲気。
「魔王様、宣伝については何かお考えが?」
遠回しに、忘れてますよ! とお伝えしてあげる。 出来る部下ってやつだ。
「お、おう! 考えてるぞ! ……やべぇどうしよう……」
速攻で取り繕うのを諦めたっ!
「前は魔王軍部隊長夫人をターゲットにしたのよねっ⁉ 今回は貴族のご婦人かしらぁ?」
「……ラウンツの手でいくのも有りだが……そうすると貴族が幅をきかせて一般人が入りにくくなるかもな。 一般人から入れるか……でも売上げ上げるなら貴族なんだよなーどうしよっかなー!」
魔王様は頭の後ろに手を組んでテーブルにドンッと脚を投げ出した。 完全に思考停止モードに入っちゃったよぅ!
「じゃー貴族にさ! うちのシマ荒らすんじゃねぇぞ! って言えばいいじゃーん!」
「……キャロル、お前はどこのヤクザだ……うちはホワイト経営だぞ」
魔王様が呆れている。
やくざってどういう意味だろう? ホワイト経営はわかるけど……つい昨日まで私達をブラックで働かせてたくせにぃ!
「魔王様何言ってるかわかんなーい! ウケる!」
「ウケる! じゃねーよ。 はぁ……キャロルと話すと疲れるな」
「魔王様、お姫様に相談してみたらどうかしら?」
ルルさんが話を進めてくれた。
「あー……あのドリルツインテのじゃロリか。 そうだな、この辺りの貴族がどんなもんかよく分からんから聞いてみるか!」
どりるついんてのじゃろりとは何なんだろう? 魔王様の若者言葉は独特だな。
魔王様は早速お姫様に念話してるみたい。
「ルルさん、魔王様ってばいつの間にお姫様の念話先を……」
「ああ、前にベルラさん経由で呼ばれた時よ。 お姫様に会いに行くなら毒味の魔道具を持参する準備をしなきゃ……」
ルルさんとシャナさん、メイリアさんが作業し始めた。
キャロルさんが魔道具の毒リストを見て「ヤバい! メイリア1人で人族全員殺せるじゃんマジウケる!」と言っていた。 うん、そういえばメイリアさん1人で人界征服出来るんじゃないかな?
「アリアに会いに行くぞ!」
「えっ! 今から⁉ まだ毒味の魔道具が3つしか……」
ルルさんが焦ってるよぅ。
「3つで十分だ! ラウンツ、ルル、メイリア、アーニャ行くぞ!」
「アタシの出番ねっ!」
「はーい! ディメンションの宣伝なら任せて!」
「……人界の毒欲しい……」
「……わかったわ」
5人はシュンッ! と一瞬で転移して行ってしまった。
ルルさんが過労死しないか心配だ……。




