金策金策ゥ!
41話から人界初出店編なのでお楽しみに!
今日もニャンダフルは朝から大盛況だ。 色んな冒険者さんが朝食を食べに来た。 食事は1500ディルで高いのに……確実にエリーさんの装備の効果だっ……!
冒険者さんがみんなダンジョンへ向かうとニャンダフルはいったんお休み、夕方にまた営業を再開する予定だ。
「ニーナ! リリーもニャンダフルで働くぞ!」
魔王様がいらっしゃった。
「よろしくお願いしまぁすプゥッ! リリーの魅力で人族をメロメロにするプゥッ♡」
リリーさんも兎族だ。 エリーさんは天然だけどリリーさんは養殖天然だきっと……。
リリーさんは早速エリーさんと同じ制服に着替えた。 エリーさんに負けじと劣らない双丘の持ち主だ……魔王様はここをカフェとして機能させる気はあるのかな⁉
ニャンダフルは2人に任せて魔王様とディアブロのお店へ戻って来た。
「ニーナ! 今日は商人が沢山来るかもな、ヒュドラやミスリルを売るぞ! 魔界で精錬したインゴットも持ってきた」
「はい! ガッポリ儲けてやりましょう! そして私は鉱山奴隷から解放されますよ!」
「ルル、ミスリルゴーレムを持ってるだろ? ニーナに渡しといてくれ」
お店の裏口でルルさんから大量のミスリルを受け取った。 ルルさんもメイリアさんも亜空間が広いな……魔道具素材や錬金素材をいっぱい持ってるはずなのに……。
ラウンツさんお兄ちゃんアーニャは今日も獣人さん達とボス狩りを任されていた。 亜空間の広い魔王様が着いて行くらしい。
私はお店の帳簿の整理をしながら、商人が来たら呼ぶようにと言われた。
あ、馬車がたくさん来た。 商人さんかな?
「ニーナさん! お客さんをたくさん連れて来ましたよ!」
ガレリーさんが馬車から降りて来た。 お客さんが10人以上いる!
「ここが噂のダンジョンですな! すでに店が3軒も!」
「ドワーフの店だ!」
「ニャンダフル……? 何の店でしょう……」
商人さんがワイワイガヤガヤしてる。 とりあえずガレリーさんに挨拶だ。
「ガレリーさんこんにちは。 素材を売りたいので魔王様を呼びますね」
念話するとすぐに魔王様が転移して来た。
「よう! 魔王だ。 みんな思う存分店を見ていってくれ。 ガレリー、素材売却の件で話をしよう」
「はい!」
商人さん達は我先にとドブグロへ向かった。
「魔王様、今来てるのは大店の旦那様たちです。 僕が仲介すれば今日この場で素材を売却できますよ!」
「……なるほどな! 仲介手数料の相場はいくらだ?」
「相場は10パーセントですが、金額が凄そうですからね、5パーセントで十分です。 その代わりこれからも僕とのお取引をお願いします!」
「ははは! 目先の利益より太客との関係を取ったか、そういうやつは好きだぞ! これからも贔屓にしてやるから安心しろ!」
「ありがとうございます!」
ふときゃくって何だろう……?
「ハイド! ちょっと来てくれ!」
ドルムさんが呼んでる。 魔王様に着いて行った。
「こやつらがもっといい武器を売ってくれと敵わんのじゃ、どうしたらいい?」
「通常品質の在庫はまだあるか?」
「キャラリアで作っていた物が腐るほどあるぞい!」
「じゃあ売ってやれ。 値付けは今俺がする。 あ、ちなみにこの後ヒュドラやミスリルをガレリーに売るから、商人達は500万は残しといてくれよ?」
ヒュドラと言う単語に商人さん達からワッと声が上がった。
……仕入れる気マンマンで来てる……商人さんの情報網はすごいな。
ドブグロで買い物をした商人さん達はホクホク顔でディアブロのお店へと流れてきた。
「これが冒険者の間で噂のポーション!」
「秘薬もあるとか⁉」
「結界の魔道具はどれだ⁉」
商人さんの気迫にメイリアさんがたじろいでいる……。
「魔道具は冒険者用だから売らないぞ。 メイリア、在庫処分したいポーションがあれば売ってやれ」
「……人体実験終わってないのしか無い……」
……そういえばラヴィに噛まれた時に飲ませてもらった解毒剤は毎回味が違ってた気がする……。 やっぱりメイリアさんは私で人体実験してたっ!
「そ、そうか……。 残念だが冒険者以外に売れる物は無いらしい。 隣はただのカフェだ。 じゃあガレリーに素材を売るか」
ポーションを買えなくてショックを受けてた商人さん達の顔がバッ! っと上がった
『魔王様、ニャンダフルはアピールしないんですか?』
『ラヴィカフェはいずれ他の動物で真似されるから今はいい』
『なるほど……』
魔王様が広場で待機していたガレリーさんに話しかける。
「ガレリー、素材の買取を頼む。 手持ちがなかったら手形でいいぞ」
「助かります!」
魔王様に言われて素材を広場に出す。 魔王様もインゴットを出した。
「ヒュドラの首1本500万でどうだ? 胴体はいくらになる?」
「500万で売れますかねぇ……」
ガレリーさんが商人さん達をチラッチラッと見るとみんなブンブンと首を縦に振っていた。
「胴体は……内蔵があるから1000万でしょうか?」
再び商人さん達がヘドバンする。
「ミスリルインゴットは……この重さなら1つ50万が相場ですね」
商人さん達もうんうんと頷いている。
「こっちのミスリルは精錬済なのに形が様々ですね?」
「おう! ミスリルゴーレムだからな!」
「なるほど……これも重さを計ってインゴットと同じ値段でいいでしょう」
「よし! それで売った!」
「ありがとうございます。 では手形で……」
ガレリーさんが魔王様に手形を渡した。
「あっ! しまった! こんなに持って帰れないぞ⁉ 仕入れ値でいいから誰か買ってくれないかなぁ?」
……出た! ガレリーさんの大根芝居!
「おや、お困りですか? 実は私は商人でして、たまたま遊びに来ていましてな。 私が買い取りましょう!」
「奇遇ですな! 私もですぞ!」
商人さん達の茶番劇も始まった……!
ガレリーさんを通さないと堂々と買えないから仕方ないんだろうけど……誰も見てないよぅ?
その後無事ヒュドラとミスリルは完売した。
「魔王様! 手形のお支払いをします」
「おっ! ガレリーいつの間に金を用意したんだ?」
魔王様までお芝居にノッてる……!
「ははは! では金額の確認を……」
ジャラジャラと魔王様に大金貨が渡された。
「俺らから素材を買い取ってくれるのはガレリーだけだから助かった、これは気持ちだ! 受け取れ」
「ありがとうございます!」
今回の仲介手数料だ……まだお芝居は続いていたらしい。
「あ、ラウンツ達がボスを倒した。 素材の回収に行ってくるからまたな!」
おそらく念話が届いたのだろう、魔王様は転移してしまった。
魔王様がいなくなったので、商人さん達に次はキマイラの素材も欲しいと私に言われた。
「は、はひぃ……」
しまった、逃げるタイミングを失った! と思ったけど、私と握手して魔力交換し、念話先を繋げたら商人さん達はいそいそと帰って行った。 これから街で素材を捌くのに忙しいのかも。
ディアブロのお店に戻って来た。
「ニーナちゃんお疲れ様」
「ルルさん……商人さんはお芝居をしないと死ぬ病気にでもかかってるんですかね?」
「うふふ。 国王からお触れが出ればお芝居も無くなるわよ。 ところでホストクラブの進捗はどう?」
「土地を抑えましたよ。 今日ガッポリ儲けたのですぐ契約出来ますね」
「あら良かったわ。 じゃあそろそろダンジョンを任せる人材が魔界から来るのかしら?」
「……魔王様忘れてないといいですね」
しばらくしたら魔王様と狩りに行っていたメンバーが帰って来た。 あれ? リサさんもいる!
「魔王様、リサさんも狩りに行ってたんですか?」
「おう! リサに言ったんだ。 やり切れない想いがあるなら魔物にぶつけてみろってな!」
「戦ってちょっとスッキリしたコン!」
「それにリサはすごいぞ! 千里眼を持ってる、ダンジョン攻略に適任だ!」
「ええっ!」
「絵も得意だコン!」
「はぁ……とにかくリサさんが元気になったなら良かったです」
「じゃあ俺は狩りに協力してくれた獣人とドルムに金を渡してくるな!」
「あ、魔王様、お金が用意できたならそろそろダンジョン経営メンバーの入れ替えですよね? 人選は済んでますか?」
「…………あ」
やっぱり忘れてたよぅ‼




