商業ギルドと冒険者ギルド
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「あっ! 魔王様! 助けて下さい‼」
「助けてって……どうしたんだ?」
「僕が魔族さんと取引している事が広まっちゃって────」
「魔王⁉ いや、魔王様! 私共とも取引願いたい!」
「抜けがけはズルいぞガレリー! 魔王様、私の商会とも取引を!」
「あん? 俺達と取引したいのか? ガレリーはやっかみを受けてたのか?」
「い、いえ、どちらかというと、みんな魔族さんと取引をする方法を知りたいらしくて……僕は魔族さんのおかげで最近稼がせて頂いてますから!」
ガレリーさんはえへへと笑っている。 よかった、事件じゃなかった。
「それなら間もなく国王からお触れが出るから堂々と取引が出来るぞ、安心しろ。 というか、勝手にダンジョンに行商に来ればいいだろ」
「私共のような大きな商会になると動きずらく……でも国王様から許可が出るので⁉」
「オフレコだけどな。 それまで個人でダンジョン前の店に遊びに来れば話くらいできるだろ。 じゃあ俺達は用があるからまたな」
「おお……! 客として行くならなんの問題もありませんな!」
「うむ! 店に遊びに行くだけだからな!」
ガヤガヤと商人さん同士で話しだしたのを尻目にギルドの2階へと向かう。
やっぱり商人さんはお金のためなら魔族も怖くないらしい。 ホストクラブ出店にも協力してくれそうだ!
ワコフさんに到着の念話をしたら職員さんが部屋へと案内してくれた。
「お待ちしておりましたぞ! 商業ギルドマスターのワコフと申します」
「よう! 魔王だ、よろしくな!」
「リーダーのラウンツよぉ! よろしくねっ☆」
私とメイリアさんはすでにワコフさんと知り合いだから、魔王様とラウンツさんだけ自己紹介した。
「宰相様からお話は伺っております。 ついに恋物語のお店の許可が降りたとか!」
「おう! ホストクラブっていうんだ。 早く営業許可をもらって土地探しをしたいぞ」
「それも伺っております。 許可申請書をお渡ししますね、後で提出して下さい。 では早速不動産屋と土地を見て回りましょう!」
ワコフさんが魔王様に渡した許可申請書がそのまま私の所へ来た……そうだ事務処理は私の仕事だった……またお仕事が増えたよぅ!
ワコフさんと不動産屋さんに連れられてとある物件を見に来た。
建物は私が建てるので、潰してもいい建物が建っている物件を希望したがひとつしかないらしい。 ちなみに城下町に空き地など無いとの事。
「商業地域の外れですがそのぶん借地代はお安いですよ、いかがです?」
不動産屋さんが魔王様に手もみをしながらオススメする。
「場所はどこでも客は来るから問題無い。 手持ちのディルが少ないしここに決めた!」
「はっはっは! 大した自信ですな! さすが魔王様!」
ワコフさんも楽しそうだ。
「まぁ楽しみにしててくれよ。 契約の用意と初期費用の見積もりを後でくれ、金を用意しておく。 ところでワコフ、人界での求人はどうすればいいんだ?」
「それなら商業ギルドに求人掲示板がありますぞ! ギルドへ戻りましょう」
不動産屋さんといったん別れて商業ギルドへ。
ワコフさんに求人要項を書く紙を渡された。 もう私が担当だと見抜かれているらしい。
魔王様に色々と指示されて求人票が出来上がった。
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「……魔王様、求人票ってこういうものでしたっけ……?」
求人票を書いたらなぜかドッと疲れた……もう早く帰りたい。 メイリアさんも疲れた顔をしている。
「いいんだよ! 一度こういう求人出してみたかったんだ!」
「は、はぁ……」
「魔王様のセンスはバツグンねっ☆」
求人票をワコフさんに渡すとすぐに掲示板の目立つところに貼ってくれた。
ついでに営業許可申請書も記入していたら不動産屋さんが来た。 契約の見積もりを持ってきてくれたらしい。
「……か、金が用意できたら念話するな!」
魔王様……お金無いんだな。 お兄ちゃん達がたくさん素材を売ってくれる事に期待しよう……もう鉱山奴隷は嫌だよぅ!
商業ギルドの用事は終わったので冒険者ギルドへ。 グレイムさんへは念話済だ。
受付嬢さんに案内されて2階の部屋へ通された。
グレイムさん、魔王様とラウンツさんが自己紹介する。
「救援魔道具の件だな? 宰相様から聞いている。 どんな決まりを作る?」
「メイリアよろしく!」
魔王様の丸投げでメイリアさんが説明し始めた。
階層によって魔道具の種類と保証金額を変えようとも思ったらしいが、そうすると、安い保証金の魔道具で深い階層に行ったりなど色々抜け道が出来てしまうらしく、一律10万ディルに値上げするとの事。
救助した階層によって返金額を変えるらしい。
魔道具を使用せず返却されたら5万ディルを冒険者に返金する。
10階層までで使用されたら5万ディルを返金、11階層以降で使用されたら返金は無し。
10階層までしか行かないパーティは支払う金額が上がってしまうが、その代わり使用しなければ半永久的に魔道具を貸し出ししたままのため、何度でもダンジョンへ挑める親切システムだ。
これらの事と、便乗パーティも請求される事を周知してほしいとの事。
また、後払い用にギルド発行の借用書を作って欲しいと。
支払い不可能なパーティにはその場でサインと拇印をもらうらしい。
なお魔道具は改良されて、使用すると範囲結界が張られるので救援が来るまでの安全性が高まったんだって。 い、いつの間に……!
「なるほどな、よく考えたもんだ。 このままのシステムでいいだろう、冒険者に周知しておく! 借用書は今用意するから待てるか?」
「おう! ちょうど疲れてたから待つか。 茶でも出してくれていいぞ」
「がはは! わかった、用意させよう。 茶を飲みながらダンジョン内の話を聞かせてくれないか?」
「いいぞ! どんな魔物がいるか特別に教えてやる! フフン」
早く帰ろうよぅ!




