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魔王とオルガ国王

 今日はオルガ国王へ謁見(えっけん)する日だ。 ニャンダフルはエリーさんに任せてディアブロのお店に行くとみんな集まってきた。

 ラウンツさんは攻撃の意思がないアピールでスーツ。 シアさんはビキニアーマーしか持っていないらしいけど防御力が低そうだから平気だと思う。 もちろん武器は亜空間へ。 ドルムさんと私はいつもの普段着だ。


「おはよう! レイスター、アーニャや獣人達と深い階層の魔物素材取ってきてくれ! ディルが足りん!」


「はい! ガレリーさんが来たら売却しておきますね!」


「頼んだ! じゃあ俺達は謁見に行って来る! みんな準備はいいな?」


 みんなが返事をする前に街の近くに転移させられた。 なんでいつも返事を聞かないのかな⁉




 私が範囲結界を張り、ベルラさんへ念話して門へ向かう。 門ではベルラさんとライオットさんが待っててくれた。


「よう! 魔王だ、よろしくな!」


「魔王にドワーフ、獣人……ベルラです、よろしくお願いします。 ご案内しますね」


 ベルラさんは私とラウンツさん以外初めましてだ。


 ライオットさんを先頭に沢山の軍人さんに囲まれて門をくぐり、とうとう街への入口に足を踏み入れる……!


「わぁ! これがオルガ都市! 賑やかですね! 建物が高い!」


 街は5階建ての建物が建ち並び、白い石畳(いしだたみ)の道が綺麗に舗装されている。 人が沢山だ!


「あれは……魔族? 角が生えてる!」

「落ち着け、今日魔族達が来ることはお触れがあっただろ。 刺激するな」


 軍人さんに囲まれてる事もあって、人族の好奇の目にさらされてる……何も悪い事しないよぅ! ちょっと人界征服はするけど。


 街の人を刺激しないよう、ライオットさんは街の外郭(がいかく)に沿って人通りの少ない道を選んでるみたい……やっとお城に着いた。


 城の門をくぐり、長い廊下を歩かされて謁見の間の入口らしき扉へ来た。


「魔族の皆様をお連れしました!」


 ライオットさんが扉の向こうへ到着報告をすると両開きの扉がキィ……と開いた。

 わぉ! 赤い絨毯の先に王座に座った王様らしき人達がいる! こういう部屋の作りは魔王城と一緒だな。


 ライオットさんに続いて赤絨毯を進み、ある位置で立ち止まった。


「ここにあらせられるのはオルガ国国王、バルフレア・カルディ・オルガ様だ」


 魔王様以外は(ひざまず)く。


 人族は弱いから、魔族基準では頭を下げる必要は無いかもしれないけどそこはさすがに私も大人だ。 大勢の人族を()べるという職務を(つと)める者へ敬意を払う位のことはする。


「魔王のアーデルハイドだ、よろしくな! ちなみに魔族に長ったらしいファミリーネームは無いぞ」


 ま、魔王様は人族の王様相手でもフランクだな……。


(おもて)をあげよ。 ……早速だが魔王よ、魔族へ人族に対する攻撃を禁止したというのは事実であるか?」


「そうだぞ。 俺は人族の街で酒場をやりたいからな! 友好関係を結ぶ方針だ」


「ふむ。 ドワーフと獣人を保護しているという話も?」


「おう、ドワーフと獣人は昔人族の奴隷にされたりしたからな。 エルドラド……えっと、新しく出来たダンジョン・ディアブロの1階層をそう呼んでるんだけど、そこで保護する。 ついでにエルドラドを村として国で認めてやってほしいぞ」


 えっ……! 奴隷にされてたの? ヒドイ!


「なるほど分かった。 来賓(らいひん)用の部屋を用意してある、そこで詳しい話を聞こう」


 あ、あれ? ここでお話するんじゃないの?


 そして豪華な部屋へと通された。 白を基調とした(きら)びやかな部屋だ、真っ黒な魔王城とは違って(まぶ)しい……。


 長いテーブルの奥に王様が座り、私達は左右に分かれて座った。 周りには宰相っぽい人と王様専属護衛らしき人たちがいる……。


「宰相だけでよい、人払いを」


「陛下! なりませぬ!」


「アリアヴェルテも言っておっただろう、どうせ何をしても殺される時は殺されるのだ。 散々話し合ったのに今更しつこいぞ!」


「……はっ。 近衛(このえ)隊は扉の外で待機!」


 近衛隊がぞろぞろと出ていき扉がパタリと閉まった。


「…………はー! 疲れた! 魔王よ、あの毒味の魔道具は素晴らしいぞ! (わし)にも売ってくれぬか⁉」


「陛下! そのような態度は……!」


「もういいじゃん! 魔王も(わし)と似た感じじゃん!」


 ……王様もフランクだった‼


「ははは! 部下の前で仰々(ぎょうぎょう)しく話すのって疲れるよな! 俺も魔王様の威厳が……とかよく言われるよ」


「そうであるな、(わし)だってエモいとか言いたいのに!」


「おっ! 若者言葉よく知ってるな! ところで毒味の魔道具よりも、今日ドルムが持参した献上品の方がいいんじゃないか?」


「おお! 忘れてたおった! 宰相よ、出すのだ」


 城の入口でチェックされ渡したドルムさんの献上品を、宰相さんが王様の前にコトリと置いた。

 ルルさんが作った金属の箱は繊細な装飾が施されていて綺麗……。


「箱も素晴らしいぞ! どれ中身は……おお……おお! これがドワーフの作品……! (わし)の部屋に飾るぞ! あ、謁見の間がいいかな⁉」


 色とりどりの宝石が埋め込まれた短剣だ! 実用的じゃないけど献上品にはピッタリだ。


「陛下、落ち着いて下さい」


「む、取り乱した。 さてドワーフと獣人の話だったな、うんいいよ。 村として認めるからじゃんじゃん作品を放出してくれ!」


 軽ぅうっ!


「おっ! やったな、ドルム、シア!」


「もうワシらを奴隷にしたりしないかの?」


「……昔の事は悪かった。 奴隷という後暗い制度を国として半ば放置しておってな、昔から不文律でしか対応していなかったのが諸悪の根源だ。 法律でドワーフと獣人を保護しよう。 住民登録をして、失踪者が出たらちゃんと捜索する事にする」


「おお! それなら安心じゃの!」


「やったニャァ! これで他のみんなも移住してくるかもしれないニャァ!」


 緊張していたドルムさんとシアさんの顔がほころぶ。


「王様ステキッ☆」


 あっ! ラウンツさんのウィンクがバッチィイン☆ と飛んでった! 王様と宰相さんがビクッとしてる、ごめんなさい!


「それなら良かった。 ところでこの街を魔眼で見たが、ドワーフと獣人が1人ずついたぞ。 奴隷にされてるのか?」


 えっ! この街にいたの⁉ 魔王様の魔眼ってすごい! ……だから嘘つけないんだよぅ!


「なっ……! なんじゃと!?」


「ニャァ!? 助けて欲しいニャァ!」


「なにっ⁉ 宰相、本当か⁉」


「……わかりません。 ドワーフや獣人がこの街にいるという話は聞いておりませんな。 憲兵に調査に行かせましょうか」


「俺達も行かせてくれよ、どうせ場所分からないだろ?」


「うむ……手配しておく。 まずは事実確認から頼むぞ」


「いきなり手荒なことはしないぞ、任せておけ。 あと、俺たちが捜索と場合によって保護する権利を持ってるって事を一筆(いっぴつ)書いてくれよ、まだ法律が出来てないからな。 今回の件だけの権利でいい」


「……わかった、宰相準備を」


 宰相さんは紙を取り出して何か書き始めた。




「じゃあ次は俺たち魔族の事なんだけどさ」


「うむ。 アリアヴェルテから聞いておる。 魔族との交流を開始するぞ! ただ、他国を刺激しないよう少人数にしてもらいたい。 他国への声明はルルとやらの案でいく。 ドワーフと獣人を保護するため魔族の監視をするという体裁じゃな」


「おっ! 話が早くて助かるぜ! 魔族は少人数だから安心していいぞ。 エルドラドを守るやつと街で酒場を経営するやつだけだからな。 ところで酒場の許可はもらえるか?」


「うむ、借地ならいいであろう。 求人や土地探しは開始していい。 商業ギルドと冒険者ギルドには話を通しておいたぞ。 救援魔道具の件もあるのであろう?」


 やったぁ! やっとホストクラブを開ける!


「王様あんた良い奴だな!」


「ぶっちゃけこちらとしてはまともに話ができる魔族で良かったと胸を撫で下ろしている。 攻撃されたらひとたまりもないからな! はっはっは! もうね、(わし)考えるのやーめた!」


 王様の意見には賛同する。 魔王様相手に何を考えても無駄だ……!


 その後、住民や店として来年から収める税金の話などをした。 そっか、住民として認めてもらうならその義務として税が発生するんだ、魔界と一緒だな。


 残りのドワーフさんや獣人さんの移住計画などの細かい話もし、王様から一筆もらって私達は城を後にする。

 この後ベルラさんが憲兵所へ付き添ってくれるらしい。




 憲兵所へ着いたら王様の文書を見せて、ベルラさんが事情を説明してくれた。 憲兵さんは文書にビックリしてたけど、一緒に捜索してくれる事に。


 憲兵さんとともに魔王様に着いて行ったらとある大きな鍛冶場に着いた。

 鍛冶場……ドワーフさんが奴隷にされていませんように……。




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