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借金大魔王

「国王への謁見の許可が出たわ。 今ベルラさんから念話が」


「「えっ!」」


「……国王……」


「魔王様へ念話しておくわ、今日はもう寝ましょう」


 お姫様の感触はよかったけど、王様はどうかまだわからないからなぁ……ドキドキするよう……。




──────────────


 翌朝、魔王様によってディアブロのお店にみんなが集められた。 ドルムさん、ミアさんシアさんもいる。


「3日後、オルガ国王への謁見許可が降りた。 国王相手だから魔王の俺が行くのが筋だろう。 もうバレちゃってるし。

 それで、ついでにエルドラドとその住人を国にも認めてもらおうと思う。 今度こそ人族がお前らを利用しないように魔族のバック付きでな。

 それにあたって、ドワーフと獣人も1人ずつ連れて行こうと思うがどうだ?」


「ふむ、ワシが行こう。 ここに永住するならちゃんと話をしておきたいしの」


「ミアは獣人をまとめるのは得意だけど……今回は私が行くニャァ」


「人族の偉い人怖いニャ! シア姉さんに任せるニャ!」


 確かにミアさんは獣人の中でも特に純粋だから心配だ……。 だからこそ獣人さんからの信頼が厚いんだけど。


「よし、じゃあドルムとシアで決まりだな。 ドルム、国王への献上品は用意するか?」


「国はワシらの作品が欲しくてワシらを認める方向なんじゃろう? 遊びで作った装飾に()ったやつを用意しよう。 ワシの腕に()()れするがよい、ガハハ!」


「オッケー、ルル、献上品だからドルムの作品を入れる箱を作ってくれ。 ルルのセンスに任せれば大丈夫だからな!」


「わかったわ」


「あと魔族はリーダーのラウンツと……」


 魔王様と目が合った。 やめて!


「ニーナだ」


「ぎゃぴっ! 私必要無いですよぅ!」


「いざという時ドルムとシアを守って逃げれるように、歩く結界&砲台のニーナを保険で連れて行く。 魔王命令だ!」


「そんな簡単に王命を出さないでください! 言い訳すらさせてくれないなんてヒドイですぅ〜ルルさぁ〜ん!」


 ルルさんに抱きついた。 よしよししてくれたけど「諦める事を覚えると楽よ……」と遠い目で言われた……。


 ルルさんがベルラさんへ念話して、こちらが行くメンバーの許可をもらうらしい。 どうか私は拒否されますように‼




 お話の後はミアさんのお店作りで忙しかった。


 ダンジョンとディアブロのお店の間は少し距離があったため、ディアブロを挟んでドブグロと反対側にニャンダフルを建てる事になった。

 ダンジョンから見てニャンダフル、ディアブロ、ドブグロの順でお店が並ぶことになる。


 ニャンダフルVSドブグロ戦争が起きないよう、ルルさんがこの配置にしたと私は確信している。


 ルルさんに渡された設計図を元にズモモッと、完成! ……って、あれ?


「ルルさん、お店の大きさがディアブロの半分しかありませんよ? 後ろは土台だけで、壁がまったくないです! 私失敗しちゃった⁉ あわわ……」


「ニーナちゃん大丈夫よ、お店の半分は木材で作る事になったの」


「そ、そうですか。 よかった」


 その後、ガレリーさんが木材や窓ガラスを何往復もして持って来てくれて、ドワーフさん達がトンテンカンテンとお店を建てていく。


「ドブグロの命名のせいで新しい店を作ることになったんだからドワーフが協力しろ!」と魔王様が八つ当たりしていた。

 でもドワーフさんは腕を振るうのが好きなのか喜んで作っていた。


 ついでにドブグロの窓や扉も出来上がった。 ディアブロにも窓を作ってもらった。


 ガレリーさんに支払うお金は、早速ガッポリ儲けているドルムさんに魔王様が借りていた。

 あぁ……魔王様が借金大魔王に……。


 さっきまで八つ当たりしてたくせに、「鉱石払いってできる? ちょっと21階層以降で鉱石が出そうだからさ……」とドルムさんにお伺いを立てている魔王様の姿なんて見たくなかった……。

 魔王様鉱山奴隷にならないかな? 心配だ。


「おーい! ルル、メイリア、ニーナ! ちょっと鉱石掘ってきてくれ!」


 ぎゃぴっ! 鉱山奴隷にされるのは私達だった……!


「魔王様! いたいけな私達を鉱山奴隷にするなんて酷いです! 魔王様が体で払ってください!」


「ルルの爆発の魔道具で調整しないと上手く掘れないからな! メイリアは博識(はくしき)だから鉱石の種類とかわかるだろ? ニーナは荷物係だ!」


「そういう事なら任せてちょうだい!」


「……鉱石も任せて……」


 えぇ……2人ともやる気満々だよぅ……。


 魔王様は味方を得たと言わんばかりに私を見てニヤリと笑った。 むぅ〜! ガッポリ鉱石を採ってきてやる‼




 ルルさんメイリアさんと早速ダンジョンへ来た。

 途中、魔物さんと目が合ったけど、ルルさんが「通らせてちょうだい」と言うだけでヘコヘコと頭を下げて魔物さんは道を譲ってくれた……。


 ボスのキングバジリスクやキマイラも、私達が足を踏み入れたら

「グォオオオオオオ‼」

 と咆哮(ほうこう)したけど、私達の角を見た瞬間に

「あ、魔族さんでしたか。 気合いを入れて咆哮した所を見られてお恥ずかしい……」

 と照れていた。 冒険者相手に演出を欠かさない仕事熱心なボスだ。


「……魔物素材取りにくい……」


「メイリアさんには死活問題だね……」


「素材が欲しいので⁉ どうぞここをブスっと! ここね、内緒だけど急所なんですよ! 痛みを感じる前にコアに戻るんで大丈夫です!」


 そうキマイラさんに言われたけど、メイリアさんは「……考えとく……」と言っていた。




 やっと21階層だ! 岩石エリアだ。


「メイリアさん、鉱石の出る場所なんて分かるの?」


「……多分……というより、マナ構造が違うからニーナの魔力感知ならわかるかも……」


「えっ?」


 そんな違い分かるかなぁ……。


 さあさあと()かされ、とりあえずむーんと魔力感知してみる。

 動き回ってるのは魔物だ。 じゃなくて今まで気にしてなかった地面や岩、壁などに意識してみる……。


「あっ! あそこに見える大きな岩、なんか違和感がします!」


「割ってみましょう!」


 ルルさんが爆発の魔道具をセットして私は範囲結界を張り、ルルさんが魔道具を起動させた。


 ババババンッ‼


「ひぃっ!」


 メイリアさんが駆け寄って砕かれた石を手に持つ。


「メ、メイリアさんどう?」


 ……聞かなくてもわかる。 メイリアさんがニヤニヤしてる。


「……ミスリル……」


「ニーナちゃんお手柄ね! どんどんいくわよ!」


「は、はいぃ……!」


 それから怪しい岩を砕いては亜空間へしまい、砕いてはしまいを繰り返した。


「ルルさん……疲れましたよぉ……」


「あっ! ごめんね、夢中になっちゃって! 帰りましょうか」


 この2人は素材を前にすると時間を忘れるから危ない……。




 帰ってきたら、魔王様はディアブロのお店でエリーさんという兎の獣人さんと優雅にお茶をしていた。 むきー!


「魔王様ただいま……たくさんミスリルを採ってきましたよ。 ところで最近、私へ対する人使いが荒くないでしょうか?」


「お! お疲れ! ニーナは俺の娘みたいなもんだからな! 可愛くてつい引きずり回したくなるんだよ、色々便利だし! ははは!」


「特別扱いは嬉しいですけど、もっとこうなんか……正攻法で可愛がってくださいよぅ。 あと、本音が漏れてます!」


「ははは! 善処するよ!」


「仲良しねぇ……うふふ」


 はぁ……とりあえず八つ当たりでミスリルをボンボン魔王様に押し付けた。 このままでは使えないので魔界で精錬しておくとの事。


「ところで魔王様、エリーさんがここにいるなんて珍しいですね」


「おお、俺も遊んでた訳じゃないぜ。 ニャンダフルの店が上手くいくかどうかはエリーにかかってるからな!」


「エリー頑張るプゥ!」


 エリーさんは自身の巨大な双丘(おっぱい)の前に両手で握りこぶしを作り、ピョンと跳ねた。


「カフェですよね? エリーさんとどう関係が?」


 またお色気作戦かな……。


「フッフッフ……なんと! ラヴィカフェを開く!」


 ラヴィカフェ?




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