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魔王様召喚! (ナンバー途中経過)

「「「『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! っあーいやそれ!』 『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! ワンツーいやほい!』 た・の・し・いナイトの遊び方ァ!『ハウトゥー!』 す・て・き・なお酒を(おろ)してよ! 『ギヴミー!』 愛・情・表・現飲めるならァ! 『OK!』 いくぜーディメンション! 『集合ー!』」」」


 あああ……サシャさんの席でコールが始まってしまった。

 ナイトさん達はお兄ちゃんからの念話でユニコーンが入ったことを知っている。だが決戦日でもないのに卸されたことに驚きを隠せないようで、戸惑いながらもルフランさんのマイクでヴァンさんの席に集まって来る。


「「「ナイト! 全員! 集まったーところで! 『トゥナイ!』 飲めやー騒げや今宵の宴は! 『宴は!』 王子と姫の独壇場! 『独壇場!』 今すぐ君にー会えるなら! 『ッエイ!』 騒ぎ出す! 胸騒ぎ! 『ハイハイハーイ! ハイハイハーイ!』 踊れー騒げー最高の夜に! 『ハイハイハイ!』 ユニコーン! 『ユニコーン!』 『いただっきゃす!』」」」

「ニャー!」


 コール大好きなミアさんはいつも通り楽しそうだけど……ガッカリしてないのかな?


「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」

「ガビーン! 魔王様来ないの⁉」


 魔王様ならまだバックヤードでふんぞり返っています……。


「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 姫様! 『姫様!』 ありがとうございます! 『ありがとうございます!』 うーソレソレ! 『ワンツーいやほい!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 王子が! 『王子が!』 目指すは! 『目指すは!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 ディメンション全員パーリーピーポー! 『今夜もフロアはお酒の戦場!』 酒をー浴びるぜ! 『ごっつぁんです!』」」」

「ありがとサシャ!」

「そんな事よりま・お・う・さ・ま!!!!!」

「来る来る! 来るから首絞めないで!」


 そしてやっと魔王様がゆらりと立ち上がった。……勿体ぶるんですね、いつもの演出ですね。

 コツコツとユニコーンへ近付いていく魔王様。そのお姿を見つけたサシャさんが手を緩めほうっと口を開けた。ヴァンさんは絞殺されずに済んだ。


「よぉサシャ! ユニコーンありがとな!」

「キャー! 会いたかった! 隣座って⁉」


 サシャさんの向かいの丸椅子に座りながらキラキラスマイルを送る魔王様……。営業スマイルだ!


「まぁ落ち着けよ。……お、ヴァンサンキュ」

「代表ありがとっす! カンパーイ!」


 全員にユニコーン、つまりブランデーの水割りを作ったヴァンさんがヘルプにしか見えない……。


「ユニコーン入れたって事は永久指名、ヴァンに決めたのか?」


 魔王様のナイスアシストにヴァンさんはピタリと動きを止めた。その顔は期待に満ちている!


「えっ? 別にそういうわけじゃないわ。ヴァンに飽きたら指名変えるかもしれないし! あはは!」

「……えぇーーー! 飽きさせないからー! 頼むよぉ~!」

「ははは! イイ女は手強いな、頑張れヴァン」

「……!」


 魔王様に軽く持ち上げられたサシャさんは頬を赤らめ、両手でグラスを握りしめながら魔王様に熱烈視線を送っている。ヴァンさん可哀そう……。さっきのイケメン魔法の効果は微塵も残っていない……。




 そして五分ほど談笑したのち、魔王様は「またな!」とバックヤードへ帰ってきてしまった。

 サシャさんは「ガビーン! もう⁉」と言っていたけど、お構いなしなのが魔王様だ。転移ではなく徒歩で戻って来ただけまだいい。


「おかえり魔王様! サシャさん喜んでたね! さっすが~!」

「まぁな!」

「あっ! ミアちゃん親衛隊が来たよ! 今日は3人だね!」


 ミアさん親衛隊……それはアルディナさん達の布教活動が成果を結び結成され、メンバーはアルナさん、ルナさん、ディアナさんを入れて総勢10人にものぼるらしい。先週アンナさんがミアさんに「今度連れて来るからね!」と言っていた。


 アーニャと一緒にフロアを覗くと、アンナさんの席には初回の女の子が二人いた。


「ミアくんっ! みんなで来たよ!」

「ニャー! アンナありがとうニャ! よろしく、僕のお姫様」


 そう言ってミアさんが騎士のように(ひざまず)き、女の子の目を見てから手の甲にそっとキスを……。し、紳士だ……。

 くぅっ! ミアさんもナイトとしてのレベルが上がってきている! もう可愛いだけのミアさんじゃないんだ! ……親のような心境で少し寂しさを感じた。 


「はうっ!!!!! アンナ、ヤバイ! しんどい! 死にそう!」


 ミアさん親衛隊の人達は感情が振り切れると瀕死になるらしい。もう慣れた。


「くはぁ……っ! 何で私はもっと早くこの地に辿り着かなかったの⁉ ととととりあえず永久指名っていうのをすればいい⁉」

「うんー、永久指名はミアくん喜ぶよー」


 あ……またこのパターン。


「素敵な姫より永久指名頂きましたニャ!」

「「「アーリガッサーーーーイ!」」」


 初回で永久指名をもらうのはミアさんの得意技である。もはやディメンション従業員一同、驚きを通り越して無の境地だ。

 さて、ミアさんの席は大丈夫だから、ちょっと売り上げ表を見てみよう。今日は四週一日目、来週の四日目が決戦日なのだ。


 えっと、上から順にざっくりと……。おお、ネフィスさんが暫定一位だ、143万。次にセシルさん136万、アレンさん128万、ルフランさん114万、ミアさん104万、ヴァンさん91万……。ナンバー争いはこのいつものメンバーだ。

 ヴァンさんはさっきユニコーンが入ったから一位になった!

 ルフランさんは今月、カリンさんをあまりお店に呼んでいないので不調に見える。でも……カリンさん戻って来たんだよね。

 アレンさんは貴族のカテリーナさんがエースになりつつあるけど、先月より売り上げが悪い。なんでだろ?

 ネフィスさんとセシルさんは決戦日でナンバースリーに抜かされることを分かっているのだろう、最初から飛ばしている。

 ミアさんは親衛隊が作戦を練っているだろうから問題無し。


「魔王様魔王様、アレンさんだけ不調じゃないですか?」

「バカ言え。アレンはここからが本番だ。多分ルフランの売り上げに合わせて、アレンも自分の客を休ませてんじゃねーか?」

「お客様がお休み……?」

「初月と先月はルフランとのナンバー争いが激しかったろ? しかもアレンは先月ゴッソリ客が減ったから、(そだ)て客にも無理して使わせたんだよ。だから育て中の客は決戦日ギリギリまで育てを頑張ってんだろ」

「な、なるほどですね……」


 カリンさんブチ切れ事件はアレンさんにとって好機だったけど、一時休戦に過ぎなかったって事……? カリンさん祭りが終了したから再びアレンさんとルフランさんの激戦が繰り広げられるのか……。




 そして次の日の朝早く。

 ディメンション前で叫んでいる仕立て屋パウリーの皆さんの声で目が覚めた。


「魔王様ぁあああーーー!!!!! いらっしゃいますか⁉ 大変ですっ! 事件です!」




2/22(火)、23(水)はお休みします(∩´ω`∩)

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