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四天王戦の傷跡

「別にメイリアみたいな無口キャラでもよかったろ、ニーナだってバレなきゃいいんだから。まぁもう終わったし、みんな楽しんでたからいいけど?」

「……え……? え……?」


 とぼけ顔の魔王様が一瞬、ニヤッと口端を吊り上げた。

 ……これはっ! この顔はっ!


「ぁ……ぁあ……アアアアーーーーーッ!!!!! 魔王様っ⁉ わかっててずっと黙ってましたねっ⁉」


 周りを見渡すと、全員が口元を押さえ私から目を逸らした。


「……みっ! みんなまで! メイリアさんっ! メイリアさんだけは信じてたのにぃ! うわぁーーーーーんっ!!!!!」

「ぶはははは! ()()()()たった今気付いたみてーだな! じゃっ、俺はアレイル国王んとこ行ってくる」


 そう言って魔王様はシュッと転移で逃げてしまった。


「……うぇえええーーーん! もうやだぁこのメンツ! 私は部屋に引きこもりますっ!」


 ダッシュで部屋へ入りガチャン! と鍵をかける。

 ……ああん! 私、はみゅはみゅキャラをやる必要無かったのぉ⁉ あの地獄の訓練の日々と捨て去った羞恥心は無意味だったの⁉ ……もぉおおおおおおお!!!!! 魔王様めっ!


 そして疲れていた私はムリヤリ睡眠へ逃避し、その結果、はみゅはみゅキャラで「破壊の乙女」と対峙する夢を見たのは言うまでもない……。




──────────────


「〈エターナル(えたーにゃる)フォース(ふぉーしゅ)ブリザード(ぶりじゃーど)〉ぉ~~~っ☆!!!!! ……ッ⁉ やはり何度喰らわせても死なないッ! もうダメだお願いむしろ私を死なせて!!!!!」

「……ニーナ……起きて……四天王戦は終わった……」


 ……ハッ⁉ メイリアさんがいる! ここは……ベッド……朝……。


「……ぅ……わぁあああ~~~んっ! メイリアさんっ! またラウンツさんと戦ってたよぅ! 私にも『おネエの悪夢』の呪いがっ!」

「……大丈夫……その呪いは解呪できない……」

「……!!!」


 ラウンツさんがいる限り解呪方法はない、だから諦めよう、死にはしないから大丈夫。……そういう意味っ⁉

 ……もういいや。そういえばメイリアさん、どうやって私の部屋に?

 チラ、とドアを見ると下の隙間からツタが生えていた。

 そして私の視線に気付いたのかメイリアさんがボソ、と呟く。


「……内側から開錠……うなされてたから……」


 ……暗殺スキル持ちすぎじゃない⁉

 そして色々と諦める事に慣れてしまった私は大人しく朝食のテーブルへと着いた。


「ニーナちゃん、顔色が悪いわ……昨日の疲れかしら?」


 お皿を運んでくれたルルさんがとっても心配そうに私の顔を覗いた。

 メイリアさんもルルさんも心配してくれてありがたいけど……二人も元凶の一端を担った事を私は忘れていないっ!


「はぁ……。夢の中でまたラウンツさんと戦っていました……。勇者の呪いが私に移ったみたいです……」

「アラヤダッ! アタシってばホンット罪なオ・ン・ナ♡ ニーナちゃんゴメンねっ☆」


 頬に両手を当てたラウンツさんがウィンクと共に謝罪してくれた。

 ……でも全く悪いと思ってないよねっ⁉

 だが悔しいことに、ラウンツさんは限りなく黒に近いのに白だ。私の「はみゅはみゅキャラ」作りに加担していないから。

 ただ彼女はありのままの自分をさらけだしただけ……魔王様の計画の元で。魔王様めっ!


 お兄ちゃんとアーニャが笑い転げる中、私は凌辱された気分で朝食をちまちまとかじる。被害者演出だ。

 コーディさんまで笑ってる……くっ! 絶対みんなから聞いて知ってた!

 と、そこに魔王様が転移でいらっしゃった。


「おはよう! 今日からオルガのキキュー育成だ!」


 あ、もう魔界は終わったんだ。って事は治癒魔法担当アーニャの出番だ。


「魔王様おはよ! 治癒魔法なら仕上がってるよ!」

「オッケー。じゃあみんなで行くか?」

「「「はい!」」」

「……⁉」


 みんなが元気に返事をする中、メイリアさんだけビクッとし顔が青くなった。顔色が悪いのはいつもの事だけど、スプーンを持ったまま固まっている……どうしたのかな?


「あ、コーディはパウリーんとこに行ってやってくれ。何か急用だってよ」

「かしこまりました」


 パウリーさん達の名前を聞くと胸騒ぎがするのは何でだろう……。


「……魔王様……魔王様とアーニャだけで……」


 メイリアさんがおずおずと口を開いた。


「えー! みんなで行こうよ! またメイリアちゃんのユニークスキルを見たいよ!」

「メイリア、俺も採集手伝うからさ」

「アタシはお花畑に似合うと思うのっ☆ イキましょっ!」


 四天王|(三人)は行く気満々だ。約一名、動機に正当性が無いけど多分冗談。

 ……そういえば、前に私は「一緒に頑張るので何でも言ってください」というような事をメイリアさんに言った。負担はみんなで分け合う、それがチームワークなのだ!


「メ、メイリアさん、私も何かのお役に立ちたいです!」

「うふふ……みんなメイリアちゃんの事が心配なのね。私も行くわ」

「よし、いつものメンバーで決まりだな!」

「……………………はい……」


 しかしメイリアさんの顔色は戻らない。


「……メイリアさんどうしたんですか? 私に何でも言ってください!」

「……ん……大丈夫……」

「あ~メイリアは魔界のキキュー育成が思ったりより進まなくてよ、スケジュールが押してるからちょっと焦ってんのかもな」


 そうだったんだ……。しかしキキューはメイリアさんのユニークスキルで成長させるしかない。だが彼女が身体を壊しては元も子もないのだ、仕方ないと思う。


「メイリアさん、製造できた分の殺虫剤を撒くだけでもアレイルの被害は抑えられるのでは? 大丈夫ですよ、全てを完璧に出来る人なんていません! 魔王様ですらゴンゾさんの罠作戦が失敗したんです! ぷぷっ!」

「あっニーナ! 言いやがったな⁉ 覚えてろよ!」


 昨日の仕返しでニヤッと魔王様を笑ってやった。ぷーんだ!


「あら? 魔王様が失敗するなんて珍しいわね。ニーナちゃん、詳しく教えてちょうだい!」

「ルルうっせぇ!」

「ふふふ! ルルさんあのですね……」


 そして朝食後、魔王様は私達全員を連れてオルガ国内のキキュー群生地域へ転移した。




第六章~完~


次回はキキュー育成です。新章開始です。

2/7(月)、8(火)はお休みしますm(__)m

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