はみゅカッコいい講座卒業検定
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互いのカッコいいポーズを惜しみなく披露し白熱したミアさんとの戦闘は、引き分けで終了した。
ミアさんのキメポーズは全てがキラキラカッコよかった……。その技、悪いですが頂きますよ!
「はぁ……はぁ……みゅぅ……。ミアしゃん……にゃかにゃかやるのだっ☆」
私は内股で脚を大きく開くという高難易度の技を展開しつつ、バキュン☆と右手でミアさんの頭を撃ち抜くジェスチャーをした。もちろんウィンクとともに。
ラウンツさんのウィンク攻撃を浴び続けた日々は、きっと今日の実践のためにあったんだ……。
「ニーナ……まさか僕のライバルがこんニャ近くにいたニャんて思ってもいニャかったニャ……! アイドルの座は絶対に譲らニャいニャ!」
私とミアさんは、どちらからともなくザッザッと地を踏みしめ歩み寄る。
ミアさんの目が「愉しかった」と煌めいた瞬間、私は右手を上げた。
そしてパァン! と響く心地よい音が「はみゅカッコいい講座卒業検定、合格!」と告げた気がした。
私は自信をもってみんなへ振り返る。
魔王様、アーニャ、お兄ちゃん、ミアさん、そしてよくわからないけどリリーさん……。みんな、ありがとう……。
「……なぁリリー、お前から見てニーナはどうだ?」
「なぁんかぁ……臭いプゥッ! ニーナはもっとリリーみたいに可愛い方が合ってるプゥッ♡」
「なるほど、やはり厨二臭すぎたのが原因か……。よし、リリー! ニーナを調整してくれ!」
な……なん……と。魔王様とリリーさんからダメ出しがっ!
でも確かに、はみゅはみゅキャラと厨二ポーズの融合は難しい……。二人の言う事は一理あるっ!
「ぇえ~……リリーの可愛さは真似できるものじゃないプゥッ!」
「……リリー、最近クレイドがニャンダフルによく通っているらしいな?」
「……! クレイドは経理のお仕事で来てるだけプゥッ? じゃあニーナ、もっと可愛いポーズを教えてあげるプゥッ♡」
駆け寄って来たリリーさんが私の腕にむにゅうっと胸を押し付け、急遽リリーさんの「可愛いポーズ講座」が開始された……。
「まず、ニーナに『わらわ』は合わないプゥッ! リリーみたいに自分の名前を言うのがいいプゥッ!」
「リリーしゃん、あにょ……事情があってぇ、本名は出せないのだぁ……」
「なら『メロディ』とかテキトーに可愛い名前を使えばいいプゥッ♡」
「メ、メロディ……? はみゅぅ……」
何⁉ メロディって何っ⁉ 二つ名だけでもお腹一杯なのにさらに偽名まで必要なのっ⁉
そして先ほどの戦闘で使用したポーズにリリーさんの修正が入り、最終的に私は「四天王が一人『刹那の雪月華』、メロディ」と名乗ることになった……。
「よし、これで完璧だ! ちょうどいい時間だな、ディメンションに戻るぞ」
やっと魔王様の合格が出た……。
でも……やったよ! これで私も人界征服に多大な貢献が出来る! もしかしたら勲章とかもらえちゃうかも……むふふ。
魔王様は帰り際、ミアさんリリーさんに「今日のニーナの恰好は秘密だ」と忠告していた。
ミアさんには「客にプライベートを秘密にする練習」と言いくるめ、リリーさんには「分かってるな?」と一言だけだった……。
リリーさん、クレイドさんと付き合ってるのかな? 魔族と獣人は恋愛禁止の決まりとかあったっけ?
「クレイドにはもう貢がせないプゥッ……」
「……ぶはっ! 別にいいんだけどよ。とにかく今日の事は秘密な?」
「はぁいプゥッ♡」
……養殖天然! 恐ろしい子ッ! やっぱりクレイドさんはケツの毛まで毟られていたんだ……。
魔王様の転移でディメンションへ戻ると、ラウンツさんとコーディさんがダイニングテーブルでコソコソとお話ししていた。
キッチンではルルさんとメイリアさんが晩御飯を作りながら、こちらもコソコソ話を。
「……くっ! やはり予行演習、見たかったわ!」
「……ルルさん……気持ちは分かる……でもネタバレ厳禁……」
「そうよね……私達はそう、決めたのよね……」
……私の活躍を大変楽しみにしてくれているらしい。
今までの私なら部屋に籠城したであろう。しかし、魔王様のご期待を一身に背負っている私は生まれ変わったのである! ふふふ……二人のご期待にも沿いますよ! 完璧に仕上がった私を是非ご覧あれ!
食卓にはクリームシチューに白身魚のポワレ、カプレーゼなどなど、私の大好物が並んだ。私のために勝負メシを作ってくれたのだろう。
ならばと遠慮なく、もきゅもきゅ小動物のようにほおばる。口の周りの食べこぼしに気付いていないフリがポイントだ。
くくく……やはり私は完璧……っ!
そして食べながら、魔王様が作戦のおさらいをしてくれた。
「──って流れでいいな? オーガの手配はバッチリだ。台詞はアーニャが念話でアシストする。とにかくニーナは、〈影移動〉の後に必ず〈結界〉発動。これだけ気を付けろよ?」
〈影移動〉と〈結界〉は同時展開が出来ない。つまり近接戦になった場合、回避・移動と防御を上手く切り替えられるかが私の生死を分ける。
「お任せあれなのだっ☆ 一撃みょ喰らわにゃいもんっ!」
「お前がパーフェクトゲームしてどうすんだ! 適度に喰らってピンチを演出しろ! 目的を忘れたのか⁉」
「はみゅっ⁉ い、今のはメロディジョークだみゅぅっ☆」
頭をコツン☆と叩きテヘペロで誤魔化す。
……そうだった! 練習相手のミアさんとは違って、カス勇者はきっと容赦なく攻撃を仕掛けて来る!
えっと、確かお兄ちゃんが、うまく喰らった風に見せながら防御する方法を──。
「ったく。んじゃラストだけど、俺様と──」
そして私が最後の作戦の修正事項を聞きそびれていた事に気が付いたのは、その時になってからだった──。
クレイド「キョロルさんっ! ラヴィが好きな花は他にないですかっ⁉」
キャロル「……リリぴょんはスイーツの方が好きだし」
シャナ「女子力の上がるアイテムも喜びますわよ!」
クレイド(……バレてる!!!!!)
頑張れクレイド('A`) お金だけは貢ぐなよ……。
姫ロリニーナの挿絵依頼をしましたー! ラウンツ「次こそアタシよネッ☆⁉」
……えっとぉ、1/21(金)はお休みします。




