パジャパよぉ☆
目がぁぁぁああああ‼ 目がぁぁぁああああ‼
「ぎゃあ! ラウンツさん何でネグリジェ⁉」
アーニャがツッコんだ! 私にその勇気は無い!
ラウンツさんは両足をキレイに揃えておネエさん座りをしている。 そのおかげで腰がくねっていて破壊力はばつぐんだ!
「乙女だもの☆ 2人とも色気の無いパジャマね、んもうっ!」
お兄ちゃんはニヤニヤしている。 今なら魔王様に教えてもらった究極魔法、エタフォを使っても許されるんじゃないかな?
「ラウンツさんのおかげでトッドくんの作戦忘れちゃったよ……」
ここは頭を切り替えて、トッドさん応援隊のミーティングをさっさと終わらせよう!
「アーニャ作戦があるって言ってたよね!」
「うん。 えっとなんだっけ……あ! そうそう、ゴブリンに協力してもらうんだよ!」
「ゴブリンちゃんにカルムちゃんを襲わせるのねっ⁉」
「ピンポーン! そこにトッドくんが颯爽と助けに入るの! カルムちゃんはトッドくんにトゥンク……だよ!」
「でもゴブリンはドワーフ達を襲わない約束だぞ?」
「そこはホラ! まだその決まりが浸透してなかったって事で!」
「きょ、協力してくれるゴブリンさんいるかなぁ?」
「ニーナ、明日ゴブリンに聞いてみようよ!」
うーん……話すだけならいいかなぁ。 というより、早くここから帰りたい! よし!
「わかったよ! 聞いてみよう!」
「とりあえずそれで決まりねっ! 作戦決行の時には呼んでちょうだい! アタシがゴブリンちゃんを叱る役をするわぁ」
「ラウンツさんよろしくお願いします! じゃぁおやすみなさい!」
「おやすみ!」
アーニャと脱兎のごとく逃げ出した。
「……見事にお兄ちゃんの作戦にハマっちゃったね……トッドさんの事でテンション上がってて気付かなかったよ」
「レイスターめ! 私の左眼が黙ってないよ!」
「だからお兄ちゃんは魔界で寝たがってたんだ……」
魔物より先にお兄ちゃんとコーディさんがラウンツさん被害者の会を発足しそうだ。
ふとお店を見ると明かりが着いてる……もしかして……。
「ルルさんメイリアさん! まだ起きてるんですか?」
「ご飯の時に声掛けたのに食べなかったよね! 大丈夫?」
「あら2人ともどうしたの?」
「ちょっとお兄ちゃんに騙されてラウンツさんのネグリジェ姿を拝まされました……」
「それは……。 魔道具ならもうすぐ出来るから大丈夫よ、心配ありがとう」
「……2、3日寝なくても平気……」
2人共ものづくりになると没頭するタイプだ……。
「そっか! 先に寝てるね、おやすみ! 早く記憶を消したいよ……」
「私も疲れたのでお先に寝ます、おやすみなさい」
「……おやすみ……」
「ふふっ、おやすみなさい」
その日、私とアーニャが夢でうなされたのは言うまでもない。
──────────────
「……アーニャ、起きて」
「んんぅ…………ぁぁぁああああ‼」
「アーニャ! 死なないでぇ!」
「ハッ⁉ こっちは現実⁉」
「現実だよ! 安心して!」
「はぁ……はぁ……人生で一番の戦いだった……封印まで解いたよ……」
「アーニャ、ラウンツさんと戦ってたの?」
「うん……ニーナも?」
「……魔王様に禁止されてるエタフォを使っても倒せなかったよ……」
「ネグリジェ姿のラウンツさんは魔王様でも倒せないかもね!」
「うん……もうその話はやめよっか?」
「そうだね……。 あ、今日はゴブリンに話しに行かなきゃ!」
「うん、準備しよう」
パンをかじって簡単に朝食を済ませてる間にルルさんとメイリアさんが起きてきた。
「あ、おはようございます。 魔道具はできましたか?」
「バッチリよ! あとは交渉次第ね」
「頑張ってください」
「私達はトッドくん応援隊の活動をしてくるよ!」
「あの坊やの事かしら。 何やら楽しそうね? 頑張って、うふふ」
1階層に来た。 まずはドワーフさん達の様子を見に行くことに。
ミアさん達獣人さんが川で水を汲んでいた。
「ミアちゃんおはよう!」
「ミアさんおはようございます、お引っ越しは落ち着きましたか?」
「おはようニャ、みんな片付けは終わったニャ。 でも麦を作るために畑を作らなきゃいけないニャ」
「そういえばキャラリアには畑や製粉所、醸造所もありましたね」
「街で買えればいいのにね! 私達も魔王様が持ってきてくれる食料しか無いから不便だよ。
ニーナ、商業ギルドマスターとお話したんだよね? 商人さんここまで来てくれないかな⁉」
「うーん、どうだろうね。 冒険者個人とは違ってギルドは組織だから、国王の許可無しに勝手に魔族に協力出来ないみたいだよ。 ルルさんが交渉する際にお願いしておくね」
「助かるニャ! 麦が出来るまで時間がかかるニャ! あと服も欲しいし、ドワーフはお酒と鉱石を欲しがるニャ」
「うん、伝えておくね」
「他に困ってる事があったら教えてね! 私達は重要ミッションがあるから行くよ」
「ありがとうニャ、いってらっしゃいニャ」
ドワーフさん達の村から離れて1階層の端っこまで来た。 秘密のミッションだからトッドさんにバレちゃいけない、ふふふ。
「ゴブリンーお願いがあるんだけど誰か来てくれないー?」
アーニャがそう言いながら歩いていたら1匹のゴブリンさんが茂みから出てきてくれた。
「ゴブッ! おねがいゴブ?」
「あ! いたいたよかった。 ……これは魔王様も絡んでいる重要ミッションなんだけどね……聞く覚悟はある? ククク……」
「ゴクリ……ゴブ」
ゴブリンさんは覚悟を決めたようにアーニャに頷く。 アーニャ、ビビらせすぎだよぅ……。
アーニャが[ドキッ☆ ピンチで恋の魔法大作戦!]を説明した。
「ゴブッ! まおうさまのミッションならがんばるゴブ! でもそんなことをするとほかのゴブリンにおこられるゴブ……」
「じゃあゴブリンみんなに作戦を話しておくよ。 みんなを呼んでくれるかな?」
ゴブリンさんはピィーーー! と指笛を吹き、しばらくするとたくさんのゴブリンさんがやってきた。
「みんな、ぼくはまおうさまからじゅうようなさくせんをまかせられたゴブ! りかいしてほしいゴブ! しぬかくごはできてるゴブ!」
アーニャがゴブリンさん達に再び作戦を話した。
「死なないから大丈夫だよ! 最後は形上、ラウンツさんに叱られちゃうけど、ラウンツさんも作戦を知ってるから安心して!
作戦の後も、私達はゴブリンの見分けがつかないから誰がカルムちゃんを襲ったかなんて分からないしね!」
「めいよなことゴブ! がんばれよゴブ!」
ゴブリンさん達は口々に応援してくれてる。 これで根回しはオッケーだ。
「さくせんのしみゅれーしょんをするゴブ! さよならゴブ!」
「また呼ぶねー!」
「さ、さようなら」
「おれがおんなのこのやくをやるゴブ! えんぎしどうにねつがはいるゴブ! ゴブすけ、かくごしろよゴブ!」
「ゴブおさんよろしくゴブ!」
……ゴブリンさんは帰りながらそんな話をしていた。 ゴブリンにも名前があるんだな。 ゴブすけさん頑張ってね。




