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魔王バレる

「くっ……殺せ!」


 魔王様の謎の叫びに危機を感じたのか、ライオットさんはお姫様をかばうようにして(ひざまず)いた。


「だか姫様には────」


「あー殺さない殺さない。 男騎士のくっころとか誰得だよ‼」


 ラウンツさんはライオットさんの献身的な姿に心打たれたのか、あごに人差し指をあて潤んだ瞳で見つめていた。


「ライオット、早まるでない。 魔王で間違いないのじゃの?」


「あ、うん。 ドーモ魔王デス」


「オルガ国第3王女アリアヴェルテじゃ。 魔王より人族への攻撃が禁止されたという話は本当かの?」


「ん? ああ、そういえば念の為みんなに言ったな。 俺は人族に攻撃する気が無いから忘れてたわ」


「なんじゃ、話で聞いていた魔王とは全然違うのう」


「俺も昔は若かったんだよ。 そんな事より今は酒場を経営したいぞ、アリアの力で何とかしてくれよー」


「なっ! 姫様になんと言う口を……」


「よいよい、魔族の王じゃ、わらわより(くらい)は上じゃろう」


「俺はアーデルハイドだからハイドって呼んでいいぞ!」


「ほっほっほ。 ではハイドよ、父上が納得する折衷(せっちゅう)案を提示せよ。 父上も魔族と交流する大義名分が欲しいのじゃ」


「あー……そういう事なら今ルルが考えてるぞ、ルルに聞いてくれ。 じゃあ俺はドワーフ達の引越しが忙しいからまたな!」


「あいわかった。 ライオット、ルルとやらの所に戻るぞ」


「はっ」




 お店の奥ではルルさんが書き物をしていた。


「ルル、何ぞいい案があると魔王から聞いたのじゃが」


「あら魔王様にお会いしたのね。 悪いけれどまだ時間が必要よ。 準備が出来たらライオットさんかベルラさんにお伝えするわ。

 そういえば私達、冒険者とは仲良くしているの。 そろそろ冒険者が帰ってくるから少し見ていかないかしら?」


「ほう、冒険者と仲良く……見させてもらうかの」


「裏口からお店の中へどうぞ」


 ルルさんが念話で呼んだのか、メイリアさんがお店に帰ってきた。 ……冒険者さんがメイリアさんに着いてきてる。


「メイリアちゃん、薬草を採ってきたから低級ポーションと交換したいんだけどいいかな?」


「……ん……この量なら2つと交換……残りの薬草は500ディルで買い取る……」


「いいよいいよ! 残りはメイリアちゃんにあげるよ!」


「……ありがと……」


 メイリアさんははにかんで薬草と低級ポーションを交換した。


「ルルさん! 救援魔道具をお返しします。 俺ら今日キングバジリスク倒したんっすよ!」


「あらすごいわ! じゃあ5000ディルを返すわね」


 ルルさんが冒険者さんの手を包むように小銀貨を渡した。


「また明日も来ますね!」


「うふふ、待ってるわ」




「おお……見事に冒険者と打ち解けておるの」


「冒険者は怖いもの知らずなところがあるからかしら、私達と普通に話してくれるわ」


「ふむなるほど。 ではライオット、今日はもう城へ戻る。 皆の者、さらばじゃ」


「さ、さようならお姫様」


 お姫様一行は帰って行った。




「ルルさん、準備って何するんですか?」


「オルガ国はドワーフの武器が欲しいけれど、魔族と仲良くすると他の国に警戒されるのよ。 魔族と手を組んで他国に侵攻するんじゃないかってね。

 単純に国内に魔族が住み着くのが不安って問題も残っているわ。 それらを解消するの。

 ニーナちゃんとメイリアちゃんの力を貸してちょうだい!」


「えっ私ですか?」


「そうよ、ディメンションとディアブロの帳簿の写しを貸してくれるかしら?」


「は、はい」


「メイリアちゃんは魔道具作成に協力してほしいわ。 亜空間に溜め込んだ毒が火を吹くわよ!」


「……毒……まかせて……ふふ……」


 毒⁉ 何に使うのっ!




 私は帳簿の写しを渡しただけでお仕事が終わってしまった。

 ルルさんとメイリアさんはこれから魔道具を作るからお店をよろしくと言われ、カウンターへ。


 お店番が私だからかガックリと肩を落とした冒険者さんもいた。 失礼な!


 陽が落ちたら魔王様達が帰ってきたのでコーディさんにお店番を代わってもらった。 精神的ダメージの慰謝料はラヴィに払ってもらおう。


 ラヴィに、モフり倒されるという体払いで慰謝料を回収させてもらってたらアーニャが来た。


「ニーナ! グッジョブ!」


「ふふふ……カルムさんはトッドさんリクエストのミートパイを持ってきた?」


「ククク……バッチリ2人きりで食べてたよ! トッドくん『お前が勝手に作ってきたから食うしかねーだろ!』って言ってたよ。 遠回しにリクエストしてたんだね!」


 アーニャが鼻の下を人差し指でこすりながらトッドさんの真似をして実演してくれた。


「ちょ! ぷぷっ! トッドさんのモノマネやめてよぉ! あはは! 仕草が典型的すぎるぅ! トッドさん『悪ガキのハウトゥー本』でも読んでるのかな⁉」


 アーニャが今度は頭をポリポリかきながら『ったく、こんなに食いきれねーよ!』ってモノマネした。


「やめてぇ! ひぃ……ひぃ……!」


「あはははは! トッドくん見てて飽きないよね!」


「お前ら何やってるんだ? そろそろメシの準備するぞー」


「あ! お兄ちゃんあのね! ぷぷっ!」


 ラウンツさんと魔王様も混ざって一緒にご飯を作りながらトッドさん応援隊の話をした。


「トッドちゃん可愛いわね! アタシも応援するわっ!」


「ははは! アーニャのモノマネ上手いな! いいぞもっとやれ!」


「こそばゆいぜ! トッドは好きな子をいじめるタイプだな、俺も協力してやるか!」


「そうだっ! 今日はトッドちゃん応援隊のミーティングでパジャマパーティーしないっ?」


「……ラウンツさんそうしましょう! ニーナとアーニャ、寝る前にこっちのテントに来いよ!」


「うんっ! わかった!」


「ククク……作戦なら任せて!」




 魔王様はパジャマパーティーには参加しないと言ってササッと魔界へ帰っていった。

 ご飯の片付けをして洗浄魔法で身体をキレイにしたらパジャマに着替えて男子のテントへ向かう。


「アーニャの作戦て何? 楽しみ!」


「フッ……それはテントに着いてからのお楽しみだよ!」


 テントの中へ入ったら満面の笑みのお兄ちゃんとコーディさんが待ち受けていた。


 ……私はお兄ちゃんを絶対許さない‼




 ラウンツさんのネグリジェ姿なんて見たくなかった! 見たくなかった……!!!!!




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