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ニーナ、バレる

ブクマ評価ありがとうございます!嬉しいです!

「俺様にも見せろ」


 魔王様とバッチリ目が合った! なぜ私を見ているのっ⁉ サシャさんの魔王様名刺はあっちぃ!


「ぎゃみゅっ⁉ まっままま魔王様! サシャさんは魔王様の後ろですよ⁉」

「ニーナ、なぜ逃げた?」

「なななな何のことですか⁉ 私はアーニャと一緒にイ、イケメンパラダイスをですね!」

「ほう……研修で客役から逃げたお前が。ふーん、へー。ではなぜ結界を張っている? 解け」

「ここっ! これはナイトさんのキラキラを防ぐためでですね⁉ 私の貞操が危険なので解けません!」


 ホントはキラキラが結界を突き破ってきてピンチです! でも魔王様の方が怖いぃ! ずっとニヤニヤしてるようっ!


「話が矛盾している、キョドりまくりだなニーナ。その首にかかっている物を渡せ!」

「なっ! なぜですかっ⁉ これは乙女の秘密なのでダメですっ! 人権侵害です!」


 くっ……抜かった! 対・魔王様用結界は強度重視で盾形にして張ったから前面だけだ! 横から来られたらマズイ!


「魔王命令だ! 見せろ!」


 ぎゃぴっ! 出た! 人権すら無視する魔王命令! どどどっどうしよう⁉

 ……ハッ! そうだ、渡すフリをして亜空間に……しまっちゃえ!


「……わかりました……」


 まるで断頭台に登った罪人のように頭を垂れ、震える手でチェーンに触れる──


 メキッ!!!!!


「ひぃ!」


 魔王様が結界を両手で掴んだっ! 腕力だけで引き()がそうとしてる⁉


「くっそ~! ニーナの結界硬すぎだろっ⁉」


 魔王様には壊させないぞ! 結界へギュンギュン魔力を送り、さらに強化!


「ねぇねぇ魔王様! ニーナ何隠してるの~?」


 アーニャ余計な首を!


「俺様の姿絵名刺だ! ドルムとリサに作らせやがった!」

「えーいいなー! 私も欲しいよ魔王様!」

「よし、じゃあニーナの結界解除に協力しろ!」

「魔王様が壊せないんじゃ無理だよ!」


 そのまま諦めてっ!


「……えいっ! コショコショ~!」

「ぎゃみゅっ⁉ やめてぇー! ちょっ! あはははは!」


 ルルさんが横から私の脇腹をっ! なんという刺客! 無理ぃ! 結界維持できない!


「うふふっ! ニーナちゃん、隠そうとするからダメなんでしょう? 堂々としているのが肝心だって言っていたじゃない!」

「ぎゃはははははは! やっ、やめてください~!」


 あああっ! 結界がフワッと霧散してしまった! こんな解除方法があったなんて……さすがルルさんんん!


「ナイスだルル!」


 あっ! 魔王様が私の首から魔王様名刺を奪った! 盗賊もビックリの鮮やかな犯行!


「見せて見せて! ……わぁ~! 魔王様イッケメ~ン!」

「俺様だから当然だ! しっかし……ニーナもスゲー金かけたな……」


 私だけの魔王様名刺が白日の下にっ!


「あうあう……」

「魔王様、それはドブグロの新しい商売らしいわよ?」


 ハッ⁉ そうだ、リサさん発案って事になってるんだった! ルルさん、敵か味方か分からないけどフォローありがとうございます!


「あの……っ! そ、それはリサさんに宣伝されてですね!」

「ぶははははは! そういう事にしたらしいな、知ってる。本当はニーナが俺様のカッコイイ顔面を装備したくてドルムとリサに作ってもらったんだろ~? これもイケメンの宿命だな、困っちゃうぜ!」


 ひぃ! 全部お見通しだっ! なぜっ⁉


「なぜ知っている? って顔だな。メイリアが、言い訳は自分が考えたって吐いたぞ」

「メッ! メイリアさんが裏切るはずありませんっ!」


 すると魔王様がものすごぉ~~~く残念そうな顔をした。


「はぁ……へっぽこ……。たった今、お前が吐いた。メイリアはお前を裏切らなかったのにな」

「ハッ⁉ なんという罠っ!」


 ブラフだったのぉ⁉ のぉおおおおー!


「こんな誘導尋問に引っかかるのなんてニーナくらいだ……。あ、もう一人いたな」


 魔王様の卑劣な罠にかかった仲間は誰っ⁉ ぜひお友達になりたい! そして「魔王様被害者の会」発足をっ!

 そしてメイリアさんは台本通り堂々と魔王様に説明したんだ……。ごめんなさいメイリアさん! 私のせいで完全犯罪が露呈しましたっ!


「まぁこの世界で肖像権なんて無理だからな、好きにしろ」


 そう言って魔王様がそっと私の魔王様名刺を返してくれた。

 あ、あれ……? 怒らないの? しょーぞーけんとは……?


「サシャさん大丈夫っすか……?」


 ハッ! サシャさん! 魔王様に会いたがってたんだった!

 右を向くと、ヴァンさんが恐る恐るサシャさんへ声をかけていた。サシャさんは震えながら口元を両手で押さえている。


「魔王……やばい……動いてる……本物……毛穴が無い……尊い……暴力的顔面国宝オーラ……」


 ……あ、これアルディナさんと同じ人種だ。

 ってか今気づいたけど、周りのお客様みんなが魔王様登場にザワザワしてる。

 そして魔王様がくるりと振り返り、サシャさんの向かいの丸椅子に座った。 


「よう! 魔王だ! ここではエグゼクティブエンペラーだけどな。サシャ、俺の名刺を買ったんだって? ちょっと見せてくれ」


 魔王様がサシャさんを狩りにいった!


「え? あ、はい。……いきなりの呼び捨て……っ! イイ!」


 サシャさんが両手で魔王様に名刺を渡しながら、左下を向いて何か呟いてる……。


「お~……これもまた……リサの脳内補正加工が見事に具現化してるな……。俺はイケメン税から逃れられない運命か、ははは!」


 リサさんの魔王様名刺は確か「キラキラ魔王様~魔眼の気まぐれ風~」。キラキラかつ妖艶な表情はリサさんのお得意とするところだ! あれでやられない人はいない。もはや即死スキル発動効果のある武器なのだ。

 ……ハッ! そういえばサシャさんは魔王様名刺によってすでに魔王様の配下⁉ ……クックック……私の作戦は大成功ですよっ! 魔王様っ!


 私の功績アピールで名誉挽回するため、チラチラッと魔王様に視線を送る。

 ……魔王様はずっとサシャさんの名刺を眺めていて私などもう眼中にない。なんだかすごくご機嫌だ。まぁ怒ってないならいいや。


「あ、あの……私、魔王を指名したいっ!」


 サシャさん……最初から魔王様を指名するつもりで来たんだね。そのためなら即金で200万ディル用意できるのが凄すぎる。


「ご指名は有難いけどよ、俺様はプレイヤーじゃないから指名出来ない。いつもいる訳じゃないしな」

「そ、そんな……」

「ヴァンとフィルなら暇つぶしにピッタリだぞ、どうだ?」

「代表ヒデェ! でも俺のキャラをよく分かってる! サシャさん、俺なら貴方を飽きさせません! キリッ!」

「僕は二番目の男でいいです! 代表のここだけの話をお教えしますから、サシャ姫、お願いします!」


 ヴァンさんフィルさんがプライドを捨ててでも指名を取りに行ってる……! 大金貨の効果は絶大だ。


「あ、うん」


 だがサシャさんには響かなかった。彼女は魔王様に夢中だ。


「……それで、魔王を指名できないなら、次からどうやって魔王に会えばいいの⁉」

「高い酒が入ったら飲みに来るかもな、ははは!」


 やっぱり煽ってる!

 でも私は知っている。大金貨を払っても魔王様が席に着くのはほんの少しだけ……。

 あ、でも魔王様に謁見を申請しても会えない魔族は沢山いるから、妥当な金額かな?

 ……いや、違う! そういう問題じゃない! 魔王様との面会権に値段を付けてるのが間違ってるんだよぅ! 騙される所だったっ!


「くっ……! 魔王指名は実質一回260万ディル……」


 バレットさんが最初に説明した通りだ。


「オマケで100万の酒でもいいぞ! 今日は初回だからサービスで来てやった!」


 本当は私の魔王様名刺を確認するために出て来たんだよね⁉


「代表優しいっすね!」

「代表が席まで来てくれるなんてレアですよ、サシャさん!」


 ヴァンさんフィルさんがまんまと魔王様に騙されてる! 優しくないよぅ! 半分オマケしても130万ディル必要だよう!

 ……あ、違う、これは店ぐるみだ! 魔王様の好感度を上げてサシャさんを完全に取り込む気だ! 恐ろしいっ!


「……決めた、私、魔王を指名するわっ!」


 あああっ⁉ サシャさん魔王様のお話聞いてないー! 指名出来ないってば!


 ハッ⁉ そうだ、たった今半額セールになったから、サシャさんのお金足りるんだった……!

 指名無しの初回フリーでユニコーン入れるのぉ⁉




簡単な誘導尋問に引っかかるもう一人のおバカは、借金をゲロった勇者ですw


11/22(月)はお休みします(∩´ω`∩)

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