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魔王・勇者:残夢の呪縛は続くよどこまでも

魔王視点 → 勇者視点

「ルル、みんなをよろしくな」

「ええ」


 転移石板回収のため、俺はラウンツの近くに転移した。

 ラウンツが放出している闇魔力に被せるように、俺の闇魔力でも石板を隠す。ラウンツが転移したらラウンツの闇魔力が消えるからな。


「よう! 来るの遅かったか?」

「あっ師匠! 遅いでぇ! 次はちゃんと参加してな⁉ 次がボスやねん!」


 ラウンツの転移を確認後、勇者に話しかけながら闇魔力で隠れている石板を空間魔法で圧縮、粉々に。闇魔力も放出停止。

 ……あれ? 最初からこうすれば遠隔で出来たんじゃねー? まいっか。


「ははは! 俺の転移はそんなすぐ出来るモンじゃねぇんだよ。てか、女神の啓示を受けたのはお前なんだから四天王を倒すのはお前の使命だ!」


 ホントはすぐ転移できるけど、それを言ったら勇者(コイツ)の出番が無くなるからな!


「俺は金さえもらえればそれでええんや……。なぁ聞いて⁉ 昨日四天王二人も倒したのに国王様何もくれへんかったんやで⁉ 詐欺やろ⁉ 国王様からお褒めの言葉だけや! 1ディルにもならへん!」

「ぶはははは! アレイルは虫害で財政難なんだろ。でもよぉ、そもそも四天王を倒すのは国からの依頼じゃなくて女神の啓示を受けただけだろ? タダ働きで当たり前だ!」

「……な……なんやて……なんやてぇええええええーーーーー!!!!! ほなら俺の借金はどないしたらええんや⁉」

「お前……いくら借金あんだ?」

「えと……百万……」

「ダウト! 一千万だろ⁉」

「ちゃうわ! ごひゃ──あっ!」

「五百かー……冒険者なら借りられても百だろ? 知り合いからもかなりつまんでんな? 彼女は知ってんのか?」

「ちょ……師匠……勘弁してや……ミルムだけは……嫁だけにはアカン!」

「ほう……。まぁいいや、俺お前に興味ねぇし。じゃぁ片付けて帰るわ、またな!」


 軽く勇者の弱みを握ったところで、空間魔法を使い鶏肉と血糊だけを浮遊させ亜空間に回収。

 アレイル国は、昨日持って行ったラウンツの血と勇者の自己申告、アレイル兵からの目撃証言だけで四天王死亡の証拠として満足した。

 むしろ呪われた血肉は魔界で処分してくれ、城に持ち込まないでくれだとさ。レイスターの呪い設定が意外といい仕事したな。


「待って⁉ 師匠を一晩接待させてや! じーーーっくりお話ししたいことがあんねん!」


 勇者(コイツ)ホント分かりやすくて面白いな~!


「あいにく俺はホストクラブ以外興味が無いんでな! じゃっ!」

「ホストクラブぅ……?」


 転移でルル達の所に戻る。

 ……アーニャ達ちびっ子三人が死亡、レイスターも瀕死だ。


「はぁ……ラウンツがディメンションで待ってる、帰るぞルル」

「魔王様……途中、ラウンツちゃんの念話がところどころ入ってきていたけれど……」

「ああ、『人族よ……』ってポエムみたいなやつか? 念話繋げてると独り言が漏れやすいからなー」

「ええ……あれがラウンツちゃんを応援した理由かしら? 魔王様はそこまでお考えだったの?」

「あのさ、ルル……俺がそんな大層な事まで考えてると思うか?」

「……魔王様は面白そうだから勇者を作った。面白そうだから四天王戦を立案した。面白そうだからラウンツちゃんの女装を許した。が答えだと思っていたけれど……でも──」

「全部『面白いから』でファイナルアンサーだ」

「やっぱりそうよね」

「だがラウンツの気持ちを(ないがし)ろにするのもはばかられてな」

「そうね」

「はぁ……帰ろうぜ」

「ええ」




──────────────


「リュー……魔王とずいぶん仲がいいんだね。怖くないのかい?」


 魔王が消えるとレクサスさんが俺に近付き話しかけてきた。


「魔王ええヤツやからなぁ! 俺にも転移魔法教えてもらいたいなー。ほなら運び屋で大儲けや! ……魔王ってどこにおるんやろ?」

「リュー……有名な話なのに知らないのか……? 魔王はオルガ都市近くにダンジョンを作り、そこにドワーフと獣人を住まわせている」

「はぁっ⁉ ダンジョンなんて作れるん⁉ でもドワーフの武器の話は有名やな! せやからオルガから入ってくるんや……」

「信じられないよね……でも噂では本当らしいよ。あとオルガ街で酒場を経営しているとか」

「酒場ぁ~? なんで魔王が? 自分の店で女遊びでもしてんの?」

「多分違うよ、雇っているのは男の人族らしい。女性向けの恋物語の酒場だってさ。私も信じられなかったけどきっとこれも本当だろう。魔王がリューに加勢している事実から、本当に我々人族と友好関係を結ぶ意思が見られる」

「……意味わからん。酒場なんて魔王の仕事とちゃうんちゃう?」

「……それには各国も困惑しているらしいよ、はは」


 レクサスさんは首に手をかけはにかんだ。

 魔王が酒場経営してんのはよう分からへんけど、どこにおるかは分かった! 絶対転移魔法を教えてもらう! ほんでガッポリ稼ぐんや!


「レクサスさん! このあと魔王の事詳しく教えてや⁉」

「えっ⁉ リューは国王様の所へ報告に行くんじゃないのかい?」

「ビタ1ディルもくれへん国王様に会う義理なんてあらへん! ほな行こか⁉ ミルムも連れてな!」

「ミルム……! よし行こう!」


 ほんで俺は、俺を引き止めるアレイル兵を振り切り、ミルムとレクサスさんと三人で酒場に行った。魔王が経営しとる「恋物語の酒場」の情報を集めるためや。

 実は魔王が言うてた「ホストクラブ」ってのがそれやったらしい。

 ミルムはなんやサブイボ立ててたけど、俺はそこで動く金のデカさにビックリした!


 ……もしかして魔王ってめっちゃ金持ちちゃう? アクセもキラキラやったし。っちゅうかそもそも王様やし。

 どうにか取り入って部下になったら、ようさん金もらえへんかなぁ? ドワーフの武器でもええ! あ、転移魔法も教えてもらわな!


 俺は宿に帰ってミルムと三戦交え、借金返済の算段を付けながら……寝落ちした。




「激アツ勇者ストレートフラーーーッシュッ! 激アツ勇者ストレートフラーーーッシュッ! 激アツ勇者ストレートフラーーーッシュッ! ……クソッ‼ なんでオカマの四天王死ねへんの⁉ 今日倒したやんけぇえええええええーーーーー!!!!!」

「……ュー‼ リュー‼ ……起きろクソボケゴミカスゥ~~~!」


 バチーーーンッ!


「いでぇっ⁉」


 ハッ! ミルムが目の前に! 俺の女神が‼


「アカン、ミルム‼ オカマが不死身や‼」

「はぁ……やっと起きた。なんや悪夢でも見てたん?」

「……え? 夢? ……うぉおおおおおーーーーー‼ 夢でよかった! 夢でよかったぁあああーーーーー!!!!!」

「今日も魔王の情報集めるんやろ? 行くで!」

「おう!」




 それから俺は毎晩オカマの悪夢にうなされた。

 一週間経つ頃には、アメドクロが俺に掛けた呪いが解呪できてへんかった事を知る。


 ……俺がトドメ刺さなかったからやろか?

 アメドクロにトドメを刺した風魔法使いの四天王、あの魔族が言うとった……。

 「『残夢の呪縛』の呪いはどこまでも追いかけ──」、つまり……「オカマの呪いはどこまでも追いかける、夢の中までも」や。

 完っ全、四天王にハメられた!


 俺……夢ん中で死ぬんやろか。

 絶対魔王に解呪してもらわなアカン‼ でも念話しても遮断されとるし……会いに行くしかない!

 ついでに四天王のボスも倒してもらわな!


 魔王、待っててやーーー!




呪いが独り歩きしてますw


次回、生き返ったニーナ達が久しぶりにディメンションへ出勤するまでのお話?

11/11(木)はお休みします(∩´ω`∩)

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