お引っ越しニャー!
評価ブクマありがとうございます(´;ω;`)
「ベルラさんありがとう。 商業ギルドマスターまで呼んでくれて助かったわ」
「酒場のお話も出来ましたもんね!」
「いえいえ。 私も早く魔族の酒場に行ってみたいから呼んだの。 お話がうまくいくといいわね!」
「うふふ、頑張るわ。 さて、交渉のための準備をしようかしら……そろそろ戻るわ、じゃあねありがとう」
「ベルラさんまたね!」
手を振ってベルラさんと別れ、ディアブロへと戻る。 もうすぐ日が暮れる。
ディアブロのお店にはみんな揃っていた。 魔王様とメイリアさん以外は裏口で看板を作っている。
「魔王様、戻ったわ」
「お! どうだった?」
「ニーナちゃんと軍のベルラさんのおかげで、冒険者ギルドマスターと商業ギルドマスターの2人と話せたわ。 ドワーフの武器を餌に撒いたから、国王に進言してくれるみたい。 私は今から交渉の準備をしてもいいかしら?」
「さすがルルだな! 交渉はルルに任せれば勝ち確定だから好きにやれ。 ニーナもよくやった、商業ギルドとも話せるとはな」
わーい魔王様にほめられた! ラララライッ! しか喋ってないのは内緒だ。
ルルさんは微笑んでから机へ向かい、ものすごい勢いで書き物を始めた。 交渉の準備って何をするんだろう?
「魔王様っ! 看板ができたわよぉ!」
ラウンツさんの声で私と魔王様が看板を見に行く。
こ、これは……。
[♡ドワーフと獣人の村へようこそ♡
1階層で無用な戦いをしたら魔王様に代わっておしおきよ☆
注:魔眼によって監視されています]
絶対ラウンツさんとアーニャが作ったよね⁉
「お兄ちゃん……止めなかったの?」
「止めなかったと思うか?」
「僕の力が足りずすみません……」
「……ごめん、お兄ちゃんとコーディさんは悪くない」
「ははは! 何だこれ! 面白いからこのままでいいぞ!」
え! ちょ! 魔王様ぁ!
看板をダンジョン入口に設置したので、ドワーフさん達の受け入れ準備は一段落した。
「じゃあ俺はまた明日の朝来るな」
「魔王様! たまには魔界で寝たいで────」
お兄ちゃんの言葉も虚しく魔王様は転移してしまった。
コーディさんが逃がしませんよとばかりにお兄ちゃんの肩にポンと手を置きニッコリしている。 仲良しで何よりだ。
メイリアさんへの貢物からラヴィに草をあげて、ご飯を食べたらおやすみなさい。
ルルさんは徹夜で魔道具を作るらしい。
──────────────
「おはよう! 早速ドワーフ達を迎えに行くか、ニーナ行くぞ」
「えっ、おは、もうですか?」
と言った瞬間にはキャラリアにいた。
「ドルムー! ミアー! みんな準備できてるかー?」
ドルムさんがバッ! っとお家から出てきた。
「なんじゃ! 早いのう! 準備万端じゃ!」
「みんなが手伝ってくれたニャ!」
「順番に持っていくぞー声を掛けてくれ!」
魔王様と一緒にお家やまとめた荷物、鍛冶場を亜空間へしまったら、ドワーフさん達と一緒に魔王様に転移させてもらう。
着いたら草原エリアだった、直接ディアブロの中へ来たみたいだ。
「ドルムとミアの家から場所を決めるぞ」
ドルムさんとミアさんシアさんがそれぞれの部族をまとめているから、草原エリアの真ん中辺りに決まった。
そこを中心に他のお家や鍛冶場を設置していく。
私はトッドさん応援隊なので、こっそりドルムさんのお家の隣にトッドさん家族の家を設置した。 ふふふ。
「げぇっ! なんでジジイん家の隣なんだよ!」
「トッド、お隣さんだねー! 差し入れに行きやすくなるよー」
「う、うるせえ! ミートパイでも作ってろ!」
「あ! お昼に作って持っていくねー! 一緒に食べよう?」
「な! 家の片付けが終わるまで来んじゃねーぞ!」
ふふ……いい感じいい感じ……アーニャに報告しなきゃ!
魔王様とドルムさんもニヤニヤしながら私に親指を立ててくれた。
その後、何往復かしてお引っ越しは完了した。 挨拶のため、私がみんなを呼びに行く。
「みんな! お引っ越しが終わったから挨拶に行こう? 私がお店番してるよ」
「ドワーフちゃん達が来たのねっ! 行くわぁ!」
ふぅ。 ちょっとお店でお休みしよう。 冒険者さんはみんなダンジョンに入ってるみたいだからお客さんも来ない。
と思ってたらけもの道から誰か来た。
「おお! 本当にダンジョンと店があるんじゃな!」
「姫様、私より前に出ないでください」
あ、ライオットさん達軍人さんとフリフリドレスのちっちゃい女の子だ、私より背が低いな。
ピンクの髪は頭の上で2つ結びにされていてクルクル巻きがすごい。
って……ひめさま? 嫌な予感がするよぅ!
ライオットさんがお店に来た。 ひぃ! 私しかいないから逃げられないぃ!
「なんだ? お前1人か?」
「は、はひっ!」
「姫様が早速視察に来てくださったのだ、誰か呼べ」
「ひゃいっ!」
『魔王様ぁ! なんかお姫様が来てます! 誰か呼べって言われました!』
『オルガ国の姫か……わかったすぐ寄越す』
「い、今来るのでお待ちください……」
お姫様が興味深そうに商品を眺めているうちにラウンツさんとルルさんが来た。
「リーダーのラウンツよぉ! よろしくねっ☆」
ウィンクやめて! 攻撃と見なされたらどうするの!
「おお……魔族にもこのような者がいるのじゃな……」
お姫様の心は広かった……よかった。
「ルルと申します。 オルガ国のお姫様でいらっしゃると伺いましたわ。 椅子などをお出ししてもよくて?」
「うむ。 苦しゅうない」
ルルさんがお店の前に亜空間からテーブルと椅子をサッと出して、お姫様とラウンツさんルルさんが着席する。
お姫様の横に立っているライオットさんが口を開いた。
「このお方はオルガ国第3王女アリアヴェルテ様であらせられる。 国王様から使者として遣わされた、失礼のないように」
「アリアヴェルテじゃ。 いずれ嫁に行く身じゃからの、好きにさせてもらっておる。 早速じゃが魔族がドワーフと獣人をこのダンジョンで保護するという話について聞きたい」
ルルさんが一通り話をした。
「ふむ。 事実上、我が国に無断で魔族に住まわれてしまっており、本来なら追い出すのが筋じゃが……力で対抗されては無理じゃろな。
さらにドワーフの武器が我が国から出るという話を聞いて流石に父上も無視できないようでな、魔族の扱いをどうするか頭を悩ませておるんじゃ。
国としては妥協点を探しておる、なのでとりあえずあそ……視察に来たのじゃ!」
遊びに来たんだね!
「勝手にダンジョンを作ったのはお詫び申し上げますわ。 でも魔王様は街に酒場を出したいだけですのよ」
「その話も聞いておる。 わらわとしてはどうせ何をしても魔族に狙われたら死ぬのじゃ、別に酒場を出すくらい魔族の好きにさせてもいいと思うのじゃがのぅ」
「アタシ達が街に入ると怖いのよねっ? しょうがないわぁ。
そうだ! アタシ達とドワーフちゃん達が仲良くしてるトコを見たら少しは印象が良くなるかしらっ?
ドワーフちゃん達は今朝お引っ越ししてきたからまだお片付け中だけど、行ってみない?」
「おお! ドワーフと獣人を見てみたいのじゃ!」
「姫様危険です! 魔物もおります!」
「ドワーフちゃん達が住んでる1階層はゴブリンちゃんしかいないから大丈夫よっ!」
「視察じゃ視察! それとも我が軍はゴブリンも倒せんのかのぅ? ニヤニヤ」
「……かしこまりました」
ルルさんはやる事があるからとお店番を変わってくれて、みんなで1階層に行くことになった。
「これハイド! また余計な事を言いおってからに!」
「ごめんごめん! カルムのお団子頭が可愛くてついさ!」
「……ドワーフと魔族が喧嘩しておらんかの?」
「ひ、姫様! あの赤黒い角と漆黒の髪! あれは手配書に描かれていた魔王では!?」
ぎゃぴ! 魔王様に隠れるようにって誰も念話してなかった!
「あ! あれはじゃれあってるだけですぅ!」
とととっと魔王様に近づき耳打ちする。
「魔王様! 魔王様だってバレちゃってます!」
「ゲッ! 姫来たのか⁉」
「お主……魔王じゃな?」
「……ドリルツインテのじゃロリ……だと? そういうテンプレはいいんだよ!」
魔王様が何を言ってるかわからないけど誰かどうにかしてぇ!




