ラウンツ:凶悪殺人集団、カマぱら
再び閲覧注意! おネエ成分が濃すぎます!
アタシは朝食後、早速モモちゃんのお店へ行く事にしたの。
(魔王様は急に作戦を立案・実行するお方だから、急いで手配を始めなきゃっ☆)
走りながらモモちゃんに念話し、モモちゃん達が住み込みで働いているオカマバー「乙女果実☆Come parade⇒dies☆」、通称「カマぱら」へと向かったわ。
「カマぱら」の扉をそっと開けると、営業終了後そのまま二日酔いで死んでいた、モモちゃんチェリーちゃんリンゴちゃん達の死体が転がっていた。
大股開きの大の字でいびきをかいているモモちゃん達……ミニスカートは腰まで上がっておパンツ丸見えでお化粧もドロドロに溶けて、まさにゲテモノの巣窟ネッ☆
「みんなっ! 朝早くからゴメンなさいネッ☆」
アタシの声でモモちゃん達がソンビのように起き上がり出したわ。
「ラウンツちゃんおはよぉ……ちょっち昨日は飲みすぎちゃってぇ……ウチも締め日だったからぁ……」
「大丈夫かしらぁっ⁉ ウチのお店特製の解毒剤をあげましょっか?」
そしてモモちゃん達はメイリアちゃん特製の解毒剤で何とか元気になったわっ!
「それで、ついにラウンツちゃんもおネエメイクデビューするのねっ⁉」
「ウ、ウン……そうなの……。ちょっち、勇気で対抗しなきゃイケナイ相手と戦わなくっちゃいけなくなって……」
「ラウンツちゃんも勇気を出さなきゃってコトねっ☆ アタシ達にお任せよぉっ! メイクはアタシ達がしてあげるとして、早速服とウィッグを買いに行きましょっ♡」
「今日はアタイ達もお休みだから時間はタップリあるわっ!」
「モモちゃん……チェリーちゃん……リンゴちゃん……っ! ありがとっ☆」
ここはジェニーさん、モモちゃん達の勢いに任せて、新しい世界へ飛び出すべきよネッ⁉
アタシはモモちゃん達と一緒にまずはパウリーちゃんのお店へ行く事になったわぁっ!
そう、対・勇者用の新しい勝負用ベビードールの発注に!
アタシが洗浄魔法をかけてあげたスッピンのモモちゃん達は、急いで着替えて一緒にパウリーちゃんのお店へ付いてきてくれたわ。
お店のドアを開け、開口一番モモちゃんがこう言ってくれたの。
「パウリーちゃんっ! ラウンツちゃんに魔法をかけてっ☆」
「ひっ! ……み、皆さんお揃いで……素敵なコートですね。冬物ならこちらに……」
アタシはそっとパウリーちゃんに耳元で囁いた。
魔王様の秘密ミッションだもの! 大声では言えないわぁっ!
「チガウの……あのネ……勝負用のベビードールを新調したくって……」
「ひっ! ……マルロ! マルローーー!」
パウリーちゃんが奥へ走って行って早速デザイナーのマルロちゃんを呼んでくれたわぁっ! 仕事のできるオトコって素敵っ☆
「何ですか店ちょ……はは……皆さんお久しぶりです……新作の冬物はこちらです……」
「チガウのよっ! 今日はラウンツちゃんの勝負用装備を発注しに来たのよっ☆」
「みんなの前で戦わなくっちゃイケナイんですって! 普通のじゃダメダメぇん!」
「んもうっ! アタイ達のを参考に、もっとスッゴイのを作ってっ♡」
そしてモモちゃん達三人がバサッ! と毛皮のコートを脱いだわ。
みんな……アタシのためにっ!
「ああああああああ!!!!! なんで中にソレを着てるんですかぁあああああ⁉」
「ラウンツちゃんはまだアタイ達の勝負服を見てないから参考によっ!」
「そうよっ! さっラウンツちゃんっ! たっぷり参考にしてっ♡」
三人が勝負用ベビードール姿でポーズを取りながらそう言ってくれた。
……フリフリのかぼちゃパンツ、可愛いわネッ☆
「みんな……ありがとっ☆」
そしてマルロちゃんは鬼気迫る顔で秒速でデザインを描いてくれたわぁっ!
そしてその中からモモちゃん達にも好評だったひとつを選択……アタシも文句無しよ! ピンクのリボンなんて女子力の象徴じゃなぁいっ☆
「店長っ! デザインが決まりましたっ! 出て来て下さいっ!」
マルロちゃんの声で奥の部屋にいたパウリーちゃんが震えながら出てきたわ。
アタシ達とマルロちゃん共同制作の芸術作品がどんなものか楽しみで仕方ないのネッ!
「マルロに任せる……」
「店長……逃がしません……。実は重大な欠陥があるのです……」
「「「何ですってぇ⁉」」」
「何っ⁉ これ以上の欠陥だと……?」
重大な欠陥⁉ このベビードールはこの上なく計算された最高傑作よぉっ⁉
パウリーちゃんがデザイン画を覗き込み、マルロちゃんがこう言ったわ。
「ラウンツさん……履く方の下着はどうなさるのですか? 先ほどチェリーさんが『みんなの前で戦う』と仰っていたような……」
その言葉にアタシ達は戦慄した……! そこまで考えてもいなかったわぁっ!
「ラウンツちゃんっ! おパンツだけは大事な人にしか見せちゃいけないわっ!」
「そうよっ! 大事に取っておかなきゃっ!」
「アタイ達と違ってラウンツちゃんは穢れてないわっ! 簡単に見せちゃぁダメよっ!」
何てこと……失念していたわ。
「そう! そうです! せめて、せめて下は何か履きましょうっ! ……上はもう諦めました……」
そしてマルロちゃんとパウリーちゃんがベビードールの下に履く物を色々と提案してくれたわ。それはもうアタシの貞操を守るため必死に。
ありがとう、マルロちゃん、パウリーちゃん……。
「ラウンツさんは冷え性でしたよね? ならばタイツがよろしいかと……伸縮性も抜群です! しかも裏起毛! ラメ入りは新作です! 黒しかありませんがっっっ‼」
アタシは展示台に並べられた数々の履き物の中から、パウリーちゃんイチオシのそれに決めたわ。
顧客の好み、体質、悩みまで把握しているパウリーちゃん……流石プロね。アタシも内勤として見習わなくっちゃ!
「こちらを頂くわ……ありがとう、みんな……」
「決まって良かったわねラウンツちゃん!」
「アッ! 黒のロングマントも必要だったわぁっ! フード付きの!」
「作っておきます! お任せください!」
すかさずパウリーちゃんが叫んだわ。
やっぱりプロよぉっ! パウリーちゃんならアタシの体型も把握してるし、もう任せるわぁっ! 時間がいくらあっても足りないものっ!
「じゃあパウリーちゃんシクヨロッ☆ マントはシンプルで地味なモノでお願いネッ!」
「そういう物ならお任せくださいっ!」
「ラウンツちゃんっ! 次はウィッグを買いに行くわよっ☆」
「お支払いは受け取りの際で結構ですから! 行ってらっしゃいませーーーィ!」
パウリーちゃんの声援も受け、アタシ達は次のお店へと向かったのっ☆
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「店長……貴方はこの世界を救った英雄です……グスッ……」
「マルロ……よくぞ黒以外の商品を隠した……。もし白タイツを選んでいたらこの世界は崩壊していたな……お前も英雄だ」
「店長ぉおおおおーーーーー!!!!!」
「泣くな、まだ仕事が残っている……奥で隠れている奴らも一蓮托生だ!」
「くっ……そうでした!」
私はバックヤードに隠れていた仲間に呼びかけた。
辛い選択だが……店長として、やらねばならぬ時が、ある!
「おいみんな! また地獄の発注だ! 何としても生き延びるぞ!!!!!」
「「「ヒィイイイイーーーーー!!!!!」」」
「店長……すみません……僕はちょっと休憩を……出来ればこのまま永遠に……」
作業台の前に座ろうとしたマルロが床に崩れ落ちた。
「安心しろマルロ……お前の役目は終わった。ゆっくり休め……」
フッ……私の命もそう長くはない……かもな。
そして167話「仕立て屋パウリーさつじんじけん」へ……。
真の四天王と激闘したのはパウリーさん達でした。南無。
11/3(水)はお休みします(∩´ω`∩)




