四天王戦 反省会からまさかの
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結局、ルルさんが晩御飯の準備をしようと言ってくれたので四天王最弱の実演は一回でお開きに。
メイリアさんはニヤニヤしながらまばらに拍手をしてくれた。……くっ!
ご飯が出来たので、みんなで食べながら自然と四天王戦の反省会となる。
「そういえば私の〈闇爆炎〉は見てくれた⁉ 詠唱は五分の一しか言えなかったんだけどさぁ~封印解放したから最大火力でぶっ放したよ!」
アーニャ……やっぱりあの厨二詠唱にはまだまだ続きがあったんだ。でも戦闘中に長々と詠唱を聞いてくれる敵はいないと思うよ?
「あー……あれな、うん。すごかったぜアーニャ!」
「あれ? お兄ちゃん、あの時は真っ白な光で何も見えなかったよね?」
カツーン……。
あ、アーニャがフォークを落とした。
……え? 何々⁉ 俯いたアーニャからものすごい圧を感じる! ゴゴゴゴゴって音が聞こえてきそう!
「バッ! ニーナ! 見ただろ⁉ スッゲェでっかい赤い炎をよ!」
「うんっ! そうネッ! すっごい炎だったわぁっ☆ もう熱くて熱くって!」
「……〈闇爆炎〉は全てを滅する冥府の炎……闇より深い漆黒……そして熱をも滅するその炎は、絶対零度……」
「「「…………」」」
あああっ! やっちゃった! アーニャの一世一代の魔法を「誰も見てないよ」って言っちゃったぁあああああっ‼ 殺されるっ‼
「アーニャ! 大丈夫だ! 俺なんて温存してた魔法使う前に退場させられたんだぞ⁉ アーニャの方が輝いてたぜ!」
「……うわぁあああああああんっ!」
「ッ待てよアーニャ!」
ああっ! アーニャがショックで部屋に! お兄ちゃんが追いかけてるっ!
「あああアーニャ! ごめんねっ!」
私も追いかけようとしたらメイリアさんに腕を掴まれた。
ん? なんで?
「……ここはレイスターに任せるべき……」
「ンフッ! そうねぇ……キャッ☆」
「うふふ……いい感じね……」
な、なんだろう……メイリアさんとラウンツさんルルさんがニヤニヤしてる。なんでっ⁉
そして私は、残った三人と一緒に食事を無理やり流し込む。
うう……喉を通らないよぅ……。アーニャ傷ついてるよね……。
恐る恐る三人の顔色をうかがうと、なぜかルンルン楽しそうだ。
「……アアンッ! 今どうなってるのか気になるわぁっ! レイスターちゃん、『四天王最弱の台詞、最高だったぜ!』なぁんて慰めてるかしらぁん! キャッ☆」
「そうね! アーニャちゃんがレイスターの分まで二つ名を連呼していたのもポイントが高いわ! 多分今頃、『〈闇爆炎〉は俺以外の男に見せるな』みたいな流れに……」
「……封印解放は二人だけの秘密……」
「あ、あのぅ……なんで皆さん楽しそうなんですか?」
三人がニヤニヤキラキラの顔で私を見た。ひぃ!
「もうすぐ答えが分かるわ、きっと……うふふ」
ルルさんは何かを確信しているみたい……何々っ⁉
私がどうやってアーニャをなだめようか悶々としていると、バンッ! とドアの音が。
あ、アーニャとお兄ちゃん!
「ジャジャーン! 発表します! レイスターと結婚するよ!」
「バッ! そこまで言ってねぇよアーニャ!」
……え?
今度は私がフォークをテーブルに落とした。
カンッ……という音の後、拍手とみんなの楽しそうな声が聞こえてきたけど理解が追い付かない。
「おめでとっ! レイスターちゃんついに男を見せたわネッ☆」
「おめでとう、うふふ」
「……おめでと……やっとこの日が……」
顔を真っ赤にしたお兄ちゃんの腕にはアーニャがまとわりついていて、眩い笑顔を振りまいている。
この光景……ものすっごい見た事ある……カリンさんがルフランさんによくやってる!
「あれー? みんなあんまビックリしてないね! もっと驚くと思ったのに! もしかしてレイスター、ずっと前から私の事好きだったの⁉」
「……おう」
「キャー! そうなの⁉ もうっ早く言ってよー! レイスターが闇の世界の住人だって知ってたらもっと早く好きになってたのに!」
「俺はアーニャに付き合ってやってるだけだからな⁉」
「またまたそんな事言ってー!」
えええええ⁉ お兄ちゃん、アーニャの事好きだったの⁉ 厨二病仲間じゃなくって⁉
……あ、もしかしてだからこそお互い惹かれ合って……?
「ウフッ! じゃぁプロポーズの言葉を聞かせてちょうだいっ☆ お決まりよぉ!」
「な……! やめ──」
「えへへ~あのね! 『アーニャの封印解放に耐えられるのは俺だけだ! だから〈闇爆炎〉は俺以外の奴に見せないでくれ!』だよ!」
「ふふっ! 二人らしいプロポーズね!」
「……予想通り……」
「今日やっとレイスターがイケメンだって事に気付いたよ! イケメンナイトくんもいいけど~やっぱ私の封印に理解がある人じゃないとね!」
「そこか……そこなのか……」
お兄ちゃんはちょっと遠い目をしてるけどすごく嬉しそうだ。口がムズムズ、鼻の穴はプクプクしてるもん……。
そう言えば今日、アーニャがお兄ちゃんの事カッコイイって言ってたなぁ。
えと、それでさっき二人で話しているうちにプロポーズの流れに……? えええええ! 急展開すぎて意味が分からないようっ!
「ニーナ! 今日から私の事、お姉様って呼んでいいよ⁉」
「ふぇっ⁉ ……アーニャがお姉ちゃんっ⁉」
「そうだよ! お姉様の命令は絶対だからよろしく!」
「……待って……待って……頭を整理させてぇええーーー!」
私が放心していると、いつの間にやらシャンパンがテーブルに並べられプチ宴会が始まってしまった……。
お誕生日席には四天王装備のままのアーニャとお兄ちゃんが座っており、見てるこっちが恥ずかしくなる光景だ。ある意味二人の晴れ着だから場に合っているといえば合っているけど……。
「魔王様にもご報告しなきゃいけないわね、うふふ……」
「そうネッ! いつ結婚式をするのかしらぁっ? ウフッ☆」
「結婚式は魔界で盛大にやりたいね! あっ! 魔界のディメンションでシャンパンタワーしたいよ!」
「アーニャ気が早ぇよ……俺らまだ人界征服中だろ?」
ホストクラブで結婚式を⁉ そしてお兄ちゃんがもはや結婚を否定していない……本気なのぉおおお⁉
「明日にでも魔王様に相談しようよ! ねっ? レイスター!」
「ああ、うん。……魔王様に報告……絶対母さん達が面白がる! クッ……!」
お母さんとフローラさんの暴走が容易に想像できるっ! そしてアーニャラブのミゼルさんがお兄ちゃんを殺しそう! ひぃ!
「とにかく今日は四天王戦のお祝いと二人の婚約祝いよぉっ! レイスターちゃんもたまには飲みなさいよっ☆」
「レイスター、今日はとことん吐いてもらうわよ?」
ひぇ! ラウンツさんとルルさんがノリノリだっ! お兄ちゃんと私はお酒飲まないのにぃ……。
「じゃあ私とレイスターの活躍と婚約を祝して! お祭り騒ぎと……行きますかッ!」
「「「乾杯ー!」」」
私もおずおずとシャンパングラスを掲げ一口だけ飲んだ。
どっどうしよう! ビックリしすぎてこの場でどう振舞ったらいいか分からない!
「……ニーナ……まだおめでとう言ってない……」
「あ……」
振り返ると、私のローブの袖をくいくいしたメイリアさんと目が合った。
「メイリアさんありがとうございます。……アーニャ! お兄ちゃんっ!」
呼ばれた二人が同時に私へ振り向いた。
「あのっ……婚約、おめでとう! 二人はお似合いだと思うよ! それでえっと……大好きなお兄ちゃんとアーニャがこれからもずっと一緒で嬉しい。本当におめでとう……」
これは本心だ。話しているうちに自然と顔がへにゃりとした。
「ニーナありがと! ついに私も名実ともにニーナの家族だね!」
「ありがとな……ニーナ」
アーニャが私の家族……。えへへ、嬉しい!
そしてアレイル城から帰ってきた魔王様も加わり、エグゼクティブエンペラー権限発動によって営業終了後のディメンション一階へと移動。その日は飲めや歌えやの大宴会となった。ナイトさん達も「めでたい!」とみんな一緒にお祝いしてくれた。
アーニャにビンダさせられ速攻酔いつぶれた私は、メイリアさんがザルでお兄ちゃんが泣き上戸だった事をのちに知ることになるのである。
そして婚約発表によりすっかり忘れていた。翌日はラウンツさんの四天王戦だという事に……。
プロットに無かったのにイキナリくっついた二人……作者もビックリ(;´Д`)
ナイトも巻き込んだ宴会、親への婚約報告の詳細も書きたいですが、皆様の想像通りなのでサラッと流してしまいます。後で所々出てくるかも?
次回、魔王様名刺完成です。『破壊の乙女』編はその次……。
10/19(火)はお休みします(∩´ω`∩)




