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ルル……恐ろしい子……!

評価ブクマありがとうございます!

 お店に戻って休んでいたらラウンツさんとルルさんが帰ってきた。


「アラッ! おかえりっ!」


「おかえりなさい。 40階層まで宝箱の転送陣はバッチリよ」


「おうお疲れ! 40階層までやっとけばしばらくは大丈夫だろ。 明日ドワーフと獣人が引っ越してくるぞ」


「コーディから聞いたわ、楽しみね。 ところで魔王様、救援魔道具の事でちょっといいかしら?」


「ん? どうした」


 ルルさんの話によると、救援魔道具を使ったパーティに便乗して一緒に逃げ出す冒険者がいるらしい。 便乗パーティにも後払いさせる方法を考えないと、救援魔道具を買ったパーティに不満が溜まりそうとの事。


「今は1万ディルだからそこまで問題になっていないけれど、11階層からは10万ディル以上にする予定だから早めに対策した方がいいわ」


「なるほどな。 よし、いい機会だから冒険者ギルドに接触してみるか! 俺は顔が割れてるから……」


 魔王様と目があった。 やめて!


「ルルとニーナだな」


「ぎゃぴ!」


「ニーナちゃん、女性の軍人さんと仲良くしてたでしょう? あの人から取り次いでもらえないかしら?」


「うぅ……ルルさんのお願いならしょうがないです……ところでルルさんは顔が割れてないんですか?」


 昔の(・・)人界征服作戦の際に……とは言えない。


「私は転移陣を設置したり諜報(ちょうほう)活動ばかりだったから大丈夫よ。

 魔王様、後払いのシステムを冒険者ギルドに協力してもらうという事かしら?」


「おう! ケツ持ちになってもらえ!」


「わかったわ」


 よく分からないけど交渉事ならルルさんにお任せだ。




 ルルさんと街の門に来た。 もう3回目だ、私を見つめる砲台にも慣れてきた。

 ライオットさんかベルラさんを呼んでもらおう。


「あ、あのっ! ライッ! ラララライッ……!」


 あうっ! ナイトさん達がよくやってるコールみたいになっちゃった!

 ルルさんが肩を震わせてる……!


「ニッ……! ニーナちゃんっ! ゴフンゴフンッ! ……い、いいわ、私がは、話しかけるから……っ! アハハハハ!」


 ルルさんのツボに入ったみたいだ。 しばらく苦しそうにしてた。


「はぁ……はぁ……。 やっとおさまったわ」


 ルルさんはキリッとした顔になって大きく息を吸い込み──────吹き出す。

 という事を何回か繰り返しているうちに、壁の上からぴょこっとベルラさんが顔を出した。


 手を振ってみたら、ベルラさんも振り返してくれて壁の上から消えた。 少し待ったら他の軍人さんと門から出て来てくれた。


「ニーナちゃんどうしたの?」


「ベルラさんこんにちは」


「こ、こんにちは、ルルよ。 ちょっとダンジョン経営の事で冒険者ギルドの人に協力してもらいたいのだけど……誰かお話できないかしら?」


「ああ、ダンジョンに関する事なら確かに一度冒険者ギルドと話をした方がいいかもしれないわね……私が取り次いでみる。 ちょっと待っててくれる?」


「ありがとう」


「ありがとうございます!」




 ルルさんにキャラリアのお話をしているうちに、門からベルラさんとおじさん二人が出てきた。


「噂の魔族か! 来てやったぞ!」


 ひぃ! ラウンツさんよりおっきくて怖いよぅ!


「ダンジョン経営と聞いてやって来ましたぞ!」


 こっちは太っちょの金ピカおじさんだ!


「ニーナちゃんルルさん、冒険者ギルドマスターと商業ギルドマスターよ!」


 えっ! なんか偉そうな人が来た!


「お初にお目にかかります、魔族のルルと申します。 わざわざご足労頂き恐縮ですわ」


「ニッ! ニーナでしゅっ!」


「ふむ、礼儀をわきまえているな、話が出来そうだ。私は冒険者ギルドマスターのグレイム」


「意外と普通ですな。私はワコフ、商業ギルドマスターをしております」


「うふふ。 立ち話もなんですから……」


 ルルさんが亜空間からサッとテーブルと椅子を出すとギルドマスターの二人はちょっとビクッ! っとした。 攻撃しないよぅ。


 ベルラさんも一緒にお話に付き合ってくれるみたいでみんな椅子に座った。


「ご相談の前に私達が人界に来た理由から話しても……?」


 ルルさんは、魔王様が人族と友好関係を結ぶ方針を打ち出した事、そのため魔界で開いている酒場を人界にも出店したい事、今はダンジョン経営を通して魔族が人族の信頼を得るために頑張っている事を話した。


 時折、長い睫毛(まつげ)を伏せて(うれ)いを秘めた健気(けなげ)な表情をしながら話すルルさんはまさに女優だった……ルルさん恐ろしい!


「ふむ、ダンジョンが出来た事は冒険者ギルドが活気づくから歓迎だが……魔族が人族と友好関係を結びたい理由がわからんな。 別にその気になればこの国くらい好きにできるだろう? どうしても裏があると勘ぐってしまうな」


 ごめんなさい実はホストクラブで人界征服します!


「魔王様はかつての人界への侵攻で、恐怖で人族を支配しても興醒(きょうざ)めすると(おっしゃ)いましたの……要するに力よりもカリスマ性の承認欲求の方が強いのですわ」


「わはは! それは商人に通ずる所がありますな! 暴力で何かを成し遂げるよりもお金の方が面白いですぞ!」


「何だと! 冒険こそロマンだ!」


 あわわ……ギルドマスターさん達がケンカし始めちゃったよぅ。


「お二人共落ち着いて下さい。 ルルさん、相談があったのでは?」


 ベルラさんがいてくれてよかった。


「ええ、私達の救援魔道具についてなんですけど……」


 一通り話を聞いた冒険者ギルドマスターさんが口を開いた。


「そんな商売をしていたのか。 それは確かに決まりを作った方がいいな。 冒険者の生存率向上にも繋がるし協力もやぶさかではない」


「素晴らしいアイデアですな! まさに強い魔族にしかできない商売、羨ましい! 魔族の酒場もどんなものか興味がありますぞ!」


「……だが国王に許可をもらわねばな……勝手に魔族に協力する訳にはいかぬのだ。 しかし国としては保身に走るだろうな……」


「それなら……今後ダンジョンを通してドワーフの武器が出回るとしたら……?」


 ルルさんがニヤリと妖艶な笑みを浮かべる。


「ドワーフの武器だと⁉」


「なんと! どこかに隠れ住んでいると聞いておりますが⁉」


「うふふ。 魔族はディアブロでドワーフと獣人を保護するわ、決定事項よ。 ()()()()()ドワーフの武器が出る……そう国王様に伝えてみてくださる? ついでに早く酒場の出店許可を頂きたいのだけれど……」


謁見(えっけん)の申請をして来る!」


「私も行きますぞ! ではこれで!」


 ギルドマスターの二人は風を切って()けて行った。 太っちょのおじさんもあんなに速く走れるんだな。




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