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四天王戦 四天王最弱!

ブクマ評価ありがとうございます!

「フッ……いいだろう……」


 お兄ちゃんが再び左腕の黒い包帯に目を落とし、呪いの説明を始めた。


「ここには強力な呪いが封印してあった……水鬼(すいき)風鬼(ふうき)金鬼(きんき)陰形鬼(おんぎょうき)と呼ばれる四鬼(よんき)だ。そしてその鬼を……四天王が各自一体ずつ取り込む事に成功した! クククッ! まぁ封印解放の代償に俺の左腕は潰れてしまったがな。……だが些細な事だ。つまり我らには──」

「なぁミルム……アメドクロの言うてることわかる?」

「ウチもようわからん……とにかくオニが体ん中におるらしいで」

「オニってオーガのことやんな? ほんで俺らに掛けられた呪いの話はいつや?」


 ……カスとミルムさん、話の序盤でもう聞くのを放棄してる。しかもアレイルの未来より自分の身の方が大事らしい。勇者としてけしからん。

 そしてお兄ちゃんはずっと左腕を見てるから気付いてない……。封印とか代償とかの話が出来て嬉しいんだね!


「──方法はただひとつ、我ら全員を倒す事! さもなくばアレイルは鬼で溢れるだろう! クハハハハ! 俺の(ナカ)に巣食う水鬼を倒せるか?」

「……なぁ、俺の解呪は?」

「ウチの呪いってなんや?」

「フッ……心の臓を見てみろ」


 うわぁ……お兄ちゃん、心臓のこと「心の臓」って言ってる……設定に無かったのによくそういう言葉が出てくるなぁ。


「あっ! なんやこの黒いの!」

「うわっ! リュー気持ち悪ぅっ!」

「俺だけ⁉ なんでミルム平気なん⁉」


 カスの胸元に闇魔力がくっ付いてる……多分ただの魔力の塊。お兄ちゃん呪いとか使えないし。憧れてはいるみたいだけど。

 ……そういえば「七色ネグリジェの呪い」は使えるよね? 今度「三色ベビードールの呪い」を教えてあげようかな。


「ハハッ! 今話している間、勇者に呪いを掛けた! 俺を殺せば解呪出来るぞ? クハハハハッ!」

「はぁっ⁉ さっきは呪われてへんかったんか⁉ 卑怯やぞ!」

「せやからお喋りなんてしたらアカンねん! アホ!」

「ミルムやって『解呪教えてぇ~ん♡』言うてたやろ!」

「言うてへんわ! 自分やろ⁉」

「うるさい黙れッ! どのみち我ら四天王全員を殺さなければアレイルは鬼で溢れる! ……さぁ、では()ろうか……クックック……」

「もぉおおおーーー! 殺したらええんやな⁉ よっしゃ! タマ取ったるでぇ!」


 お兄ちゃんが邪龍剣を、カスは聖剣を抜いて身構え、ミルムさんは後方へ走って逃げて行った。

 二人の剣はそれぞれ水属性と聖属性の魔力を(まと)っている。……お兄ちゃん、水鬼に寄せたな。芸が細かい。


「お祭り騒ぎと……行きますかッ!」

「……やったる!」


 うわぁ……お兄ちゃんの台詞カッコ悪いぃ!


 二人は地面を踏み込み、互いの剣が交差した!


「レイスター格好いい!」

「えっ……アーニャ、あれがカッコイイの?」

「うんっ! 『お祭り騒ぎと……行きますかッ!』……クフフ……」


 うん、ダメだこの厨二病たち。




「オラァ!」

「はっ!」

「……ぐっ……こざかしいッ!」

「……っぶね!」


 無駄に飛んだり跳ねたりしてるお兄ちゃんは、〈縮地〉を使わないで拮抗した感じを演出している。


 魔族の戦い方は魔法メインだから、本来なら避けるか打ち消すかが基本となる。でもそれだとお兄ちゃんはクセで全部避けちゃうからあえて剣で受けてるんだ。

 お兄ちゃんなら剣に(まと)った水魔力を放出してもっとリーチの長い攻撃が出来るけど、それもしないらしい。

 カスの胸元に闇魔力を付着させ続けるのも魔力操作が上手い人じゃないと難しいし、改めて考えるとやっぱりお兄ちゃんって強いんだな。どれも私にはできない芸当だ。


 ……でもたまに左腕が痛むフリをしてるのが違う意味で痛々しい。


『勇者は連戦行けそうだな! レイスター、そろそろ()られろ! アーニャ、出番だ!』

『了解です!』

『オッケーだよ!』


 あっ、魔王様の指示によりお兄ちゃんが早くも最終局面へ!

 アーニャがヴィッド蝶仮面を取り出して装備の最終チェックをしてる……。


「その剣……どこで手に入れた?」

「セレネー様からもろた聖剣デュランダルや! さすがの魔族も聖剣には弱いみたいやな!」

「クソッ……ここまで強力だとは……! そして左腕ばかり狙う……か」

「弱点を狙うのは定石や! ……それ! もらったァーーーッ!」

「──ッ!」


 あっ! わざと体勢を崩したお兄ちゃんの脇腹にカスが一撃入れた! 鮮血が宙に舞う!

 そしてカスが跳び上がり聖剣を頭上から振り下ろす……っ!


「トドメや! 激アツ勇者ストレートフラーーーッシュッ!」

「ッ⁉ 待っ──」


 ひぇ! お兄ちゃんがこっちに向かって吹っ飛んでるっ! 来ないで!


 ──ドォン!


 ……お兄ちゃんは私達のいる木にぶつかって地面へ落ちた。


 聖剣本体は避けつつ、放出された聖魔力の余波を咄嗟に闇魔力で打ち消しながらやられた感じで吹っ飛ぶ。という器用な技をやってのけたお兄ちゃんはさすがだな。頑張ったね!


 それにしても勇者の必殺技っぽい技名……アーニャよりひどい。ギャンブル狂め。


 あ……勇者がこっちに向かって歩いて来る! お兄ちゃんっ! 転移で消えないの⁉ 転移石板どこ⁉




「あらあらあらぁ~! 『残夢の呪縛』、殺られちゃったの~? だけど……このコは四天王の中でも最弱……呪術しか能の無い雑魚だものね! 初めから分かっていた事よ!」


 あっ! アーニャ! いつの間にか上空から勇者の前に立ちはだかった!

 そしてついに「四天王の中でも最弱」の台詞を……っ!


 ……ってか、いつもより艶のある声に変えてる。

 お色気キャラ……? でも服がフリフリだから……お嬢様キャラだ! なるほど! ……うん、どうでもいいや。


「うお! 誰や⁉」

「うふふ……。四天王が一人、『片翼(かたは)の堕天使』とは私の事よぉー?」


 アーニャもバッ! とマントを脱ぎ──

 じ、地面に投げたっ! 本気だ! 本気でこの一戦に賭けてる!


「マジッ⁉ まだおるん!」

「あらぁ? 二人っきりがお好みかしら~? ……じゃぁこうしましょう……〈風爆砕(ふうばくさい)〉!」


 アーニャが後ろへ振り返り、邪龍クロウを宙へ振るうとお兄ちゃんに向かって風魔法が飛んできた!


「……ガァッ!」


 ──ッドゴォーーーン……!


 お兄ちゃぁーーーんっ!


 ……お兄ちゃんの魔力が消えた。どこにいるの?

 魔力感知! ……ディメンションらへんに魔力を感じる。この木の下に転移石板が設置してあったのかな?

 眼下は土埃が舞い上がっていて、その中に赤いモノが見える。……仕込みのキャロルさん特製血糊(ちのり)と鶏肉だ。

 四天王は転移する前に血糊をまき散らす手はずになっている。血も何も無いと逃げたって疑われるからね!


 それにしてもお兄ちゃんとアーニャ、念話無しで消滅演出の連携が取れるなんてどれだけ事前打ち合わせしたんだろう……。

 

「はぁっ⁉ 仲間殺したんか⁉」

「ふふっ……『残夢の呪縛』はもう用済みよぉ? 四鬼を封印していたあのコは私達が利用していただけ! さぁ、『風鬼(ふうき)』を宿したわたくしに勝てるかしらね……ッ!」


 アーニャが胸の前で邪龍クロウをクロスさせ、カスに向かって跳んだ!


「解・縛・印ッ!」


 四天王戦第二弾開始! もうお腹一杯! 帰りたい!




10/12(火)はお休みします(∩´ω`∩)


【ラウンツさんの装備一覧】

プレートアーマー、大剣、モーニングスター

ネグリジェ(七色)

ベビードール(三色)

人口の増えるベビードール(未開放)

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