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四天王戦 第一弾!

「だから……我ら四天王がこの国を奈落の恐怖へと陥れてやろう……。まずはこの俺、『残夢の呪縛』様がな! クハハハハ……ッ! だが安心しろ家畜ども。俺はお前らなど一瞬で消せる……でもそれじゃあつまらないと思わないか? つまり、この国で一番強い奴! ソイツから順に……殺すッ! お前らの希望となる奴を先に潰していってやるぜ! 俺が強い人族を殺していく度、その顔を絶望の色に染めろ!」


 勇者としか戦っちゃいけないもんね! お兄ちゃん優しい!

 ……でもわざわざ飴を口から出して舌でペロリと舐める演出はこっちまで恥ずかしいよ! 「強キャラ感」って何⁉ 何の効果があるのっ⁉


「それならば私が戦おう! 私はプラチナ冒険者だ、この街で一番と言っても過言ではない! 残夢の呪縛とやらよ、さぁかかって来いッ!」


 何者かの声が聞こえたので広場へ目を落とす。

 ザッ! とオブジェの前に出てきたのは……。


 イッ……イケメンさんだぁ! サラサラで長い金髪に、アレンさんみたいな少しタレ目のイケメンさんんん!


『キャーーーッ! イケボイケメンだよっ! 私戦いたい!』

『魔王様っ! いました! いましたよ! 勇者にふさわしい人物が! この人を勇者にしましょう!』


 今ならまだあのカスを返品交換できます!

 隣にいる魔王様へ必死に念話と視線を送る!


『あん? あー……アイツにしとけばよかったな。でももうリューに聖剣をやっちまったからチェンジ不可だ! デリヘルじゃねぇんだぞ⁉』

『そ、そんな……人族の未来はあのカス勇者に託すしかないんですかっ⁉』

『ニ-ナ……リューの事カス勇者って呼んでたのか? まぁ気持ちは分かるけどよ。ってか人族の未来も何も、四天王は負けるから大丈夫だ!』

『あ、そうでした……』


 カス勇者呼びがバレてヒヤッとしたけどお(とが)め無しだったよかった! でもやっぱり返品は出来ないらしい、無念。




「はぁ? お前誰だ? ……いや、そんな事はどうでもいい。お前からは強そうな魔力を感じないな、わざわざ戦うまでも無い。……おや? どうやら俺の探し──」

「なんだと⁉ この都市は私が守る! みんな! 避難を!」


 お兄ちゃんがカス勇者より勇者っぽい人の思わぬ出現に焦ってる! イケメンさんがやる気満々だようっ!


「話を最後まで聞け! ……おや? どうやら俺の探していた人物がこちらへ向かって来ているようだ。お前に構っている暇はない! 後で殺してやるから神への祈りでも済ませておくんだな! ククッ……」


 お兄ちゃん、台詞を言い直してる……。


「待てっ! 私と戦え!」


 台詞を言い終えたお兄ちゃんはイケメンさんを無視して〈縮地〉で真上へ移動し、〈飛行〉でさらに上空へと飛んで行った。


「ぶはは! 回収するぞ!」


 魔王様の転移が来る!




 ……あ、お兄ちゃんの逃げた先に転移したんだ。お兄ちゃんは都市から少し離れた上空に待機していたみたい、お疲れ様。


「どうでしたか魔王様⁉」

「ははは! 中々よかったぞレイスター! さて、知り合いが念話したのか勇者が猛スピードで都市に向かって来てる。もう一仕事だ!」

「はいっ!」


 返事をしたお兄ちゃんはすぐさま〈飛行〉で勇者の方へと向かって行った。


「俺達は観戦だ! 行くぞ!」


 次に魔王様に転移させられたのは平原にある木の上。アレイル都市と街道らしきものがすぐそばに見える。

 みんなが再び〈黒霧〉を発動してくれた。


 お兄ちゃんはどこかな……あ! 左前方にお兄ちゃんと勇者とミルムさんが見える! もうすぐ対峙しそう!

 ……ちゃんと金髪カツラを被ってる勇者は律儀だな。アホなだけだと思うけど魔王様に従順なのは褒めてあげる!


『レイスター、今アレイル国王から念話が来た。都市の兵士がこちらへ向かってるから結界を張るぞ、バトルフィールドだ! タイミングを見てやるからお前が張った事にしろ。後は打ち合わせ通りな!』

『了解ですっ!』


「リュー⁉ アイツや! アメドクロが上におる!」

「なんやて⁉ 都市にいるんやないんか⁉」


 いつの間にか「アメドクロ」と名付けられたお兄ちゃんが空から勇者とミルムさんの前に降り立ち、その行く先を塞いだ。


「ククク……ッ……見つけた……」

「なんやお前!」

「フッ……俺は魔王直属精鋭部隊、四天王が一人! 『残夢の呪縛』様だ!」


 お兄ちゃんがバッ! とマントを脱ぎ捨て──亜空間にしまった。


「……お? なんやて?」

「……『残夢の呪縛』だ!」

「よぉわからん! アメドクロでええやろ⁉」

「ぐっ……!」


 お兄ちゃんがずっと温めてた二つ名は勇者にとって難解らしい。


「リュー! はよ戦闘態勢! ウチは逃げる! ほな!」

「アカン! ミルム助けて!」


 カス勇者がカスだ! ミルムさんのローブを引っ張ってる!


「おい、お前……勇者とか言われているな? 俺と戦え! まずは俺を捕まえてみろ! クククッ!」

「今や! 逃げるで!」

「はよ隠れよ!」


 お兄ちゃんが二人に背中を向けた途端、カスとミルムさんは都市方面へダッシュで逃げてしまった……。

 この二人……お兄ちゃんを倒すために走ってたんじゃなくて隠れるために急いでたの……?


「……え? おいっ! ふざけんな! 待てっ!」

「走れ走れー!」

「ミルム! 他のプラチナ呼ぼや!」


『ぶはははは! レイスター、もうそこで戦え!』

『はいっ! すいません!』


 四天王に立ち向かわないゴミカスの逃走により、魔王様が急遽作戦を変更してくださった。

 ああ……街道の復旧大変だろうな。魔王様のお心遣いを無下にしたカスは許さないっ! ムキー!


 お兄ちゃんが〈縮地〉で一気にカスとの距離を詰め、再び二人の行く手を阻んだ。


「ヤベッ!」

「クックック……俺から逃げられるとでも思ったか? ああ……どうやら兵士も集まってきたようだな。今からお前の屍を以ってアレイルを絶望と恐怖に染め上げてやる! 〈黒獄闘技場(バトルフィールド)〉ッ!」


 お兄ちゃんがわざわざ黒い包帯を巻いた方の左腕を振るうと、魔王様が大きなドーム状の結界を張った。

 結界の中はお兄ちゃん達と私達のみ。少し遠くで人族が結界を叩いているのが見える。

 ……通常透明なはずの結界の外周は無駄に黒い柵を模しており、お兄ちゃんの好きそうな十字架や髑髏のおどろおどろしい装飾がなされている。魔王様ノリノリだなぁ。


「んなあああ! アッカーーーンッ! ウチも閉じ込められた⁉ (なぐさ)み者にされるっ!」

「ククク……閉じ込められただけだといいな?」

「どーゆーこっちゃ⁉」


 勇者が聖剣を抜きやっと戦闘態勢に入った。ミルムさんも覚悟を決めたのか何やらブツブツ詠唱してる。

 そしてお兄ちゃんが包帯を巻いた左腕に視線を落としながら話し始めた。


「ここには強力な呪いが封印してあった……水鬼(すいき)風鬼(ふうき)金鬼(きんき)陰形鬼(おんぎょうき)──」

「──ここに捧ぐ! 〈女神の抱擁〉!」

「え? 何? す、すいき? あとなんやったっけ?」

「女! 俺が今喋ってるのにバフを掛けるな! あと水鬼(すいき)! 風鬼(ふうき)! 金鬼(きんき)! 陰形鬼(おんぎょうき)だっ!」


 お兄ちゃんが魔王様と一生懸命考えた呪いを説明してたのに遮られたから怒ってるよぅ!


「アホ! 戦闘中にのんびりお話しする奴なんかおらん! リュー! 殺しぃ!」

「おう!」


 ミルムさんの言う通りだ!


「待て待て待て! もうお前に呪いを掛けた! 解呪方法を聞かなくていいのか⁉」

「えっ⁉ ウチら呪われてるん⁉」

「マジか⁉ 解呪教えてや!」

「フッ……いいだろう……」


 お兄ちゃん、設定を聞いてもらうために解呪方法をエサにした。


 はぁ……なんかもうどうでもよくなってきたなぁ……。




10/10(日)はお休みします(∩´ω`∩)

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