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昨日の村は今

 作戦会議という名のランチが終わり、変装済の二人とメイリアさん以外のメンバーはムーバーイーツの準備を開始した。


 オルガの街で四天王の姿を見られると後々問題になりそうなので、食糧を調達しに行くのは私と魔王様、ルルさんラウンツさんで行き、お兄ちゃんとアーニャを回収してからアレイルで仕分けをすることに。


 箱には野菜と乾燥肉をまんべんなく……ん?


「あれ? 魔王様、この()れ物なんですか?」


「ヤギの乳だ、俺が依頼しておいた」


「なぜですか? 中身が漏れたり容器が割れちゃいますよぅ……」


「赤ん坊用にな。実は災害時に一番必要な物はこれだ」


「あっ赤ちゃんのですね! 魔王様さすがです! ふふふ……人族よ、魔王様の寛大なる御心に感謝するがよい! ……なのだっ!」


 アーニャの視線を感じたのではみゅった。


「……母乳だろうとヤギの乳だろうと生きてりゃガキも母親も満点なんだよ。母乳神話なんかクソ喰らえ」


 魔王様がボソッと(つぶや)いたけど何だろ……? 栄養満点の事かな? 母乳の神話なんてあったっけ? ……まぁいいや。


 そして仕分けとメッセージの挟み込みが終わって、魔王様が私達をアレイルの村近くへ転移させてくれた。

 ……昨日最初に行った赤ちゃんがいた村だ。


「よし、転送したぞ」


 魔王様が食糧を置いてくれたので身体強化と〈集音〉で村の様子をうかがう。


「あっ! ごはんだ! ボビー! ダニー! きたよー!」

「うおーーー! やった! ニーナちゃんか⁉ ニーナちゃーん! どこだー⁉ ありがとなぁー!」


 ひぃ! ボビーさんが空に向かって叫んで私を呼んでる!


「ニーナ人気だね! 行ってくればー?」


「はみゅっ! むむっ無理だようっ! アーニャが行って来て!」


「いい感じにはみゅってきたね! いやー私が行くとさ、(ヤツ)が封印を破って人族を殺しちゃうからやめとくよ! イケメンもいなさそうだし!」


 アーニャは無視し、ともかく私は行かない事にした。別にお礼を言ってほしくてやってる訳じゃないもん!


「おいダニー……これ……この匂い……乳か?」

「ッ⁉ ホントか⁉」

「……これはお前が持って行け」

「……ありがとう……っ!」

「早く行け! 食いモンは後で持って行ってやる」

「悪い! ジーナ! ジーナーーー! 乳だ! 乳が来たぞー! ニーナちゃんが運んでくれたぁあああーーー!」


 あ、赤ちゃんのいるお兄さんだ。よかった、魔王様のお心遣いが届いた。

 ……フッ、人族よ、肥えて働き、稼ぎ、その赤子もろともいつかアレイルに出店するディメンションへ貢ぐがよい! ふはははは!


「やっぱニーナはへっぽこいいまぞくだな。……ブフォッ!」


「みゅぅ! お兄ちゃんっ! これはフリだってばぁ! ……なのだっ!」


「フリね……ブッ! ナイトに恋物語の本を貸してやった時からニーナはいいまぞくだったけどな!」


「人界に図書館が無いって最初に気付いたのはニーナちゃんだったわネッ! んもうっ! 優しいんだからっ☆」


「え……?」


 あ、あんな前から⁉

 くっ……! 私は魔族としてあるまじき行為を! でもでも……あれは魔王様のディメンション二号店を成功させるためで……!


「あー! あったねそんな事! ニーナはあの頃からアレンくんがお気に入りだったよね!」


「アーニャ! 違うってば! 私はアレンさんの事なんか魔王様の忠実な配下としか思ってないもんっ! ……みゅっ!」


「はいはい、ニーナは怖い怖い!」


「おーい、お前らもう次の村行くぞー」


 魔王様が呆れてるっ! ちちち、違うんですっ! 私は魔族っぽい悪いこと沢山頑張ってますぅ!


 あああ! 魔王様に弁解する前に転移させられ──




10/6(水)はお休みします(∩´ω`∩)

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