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四天王会議(ただのランチ)

「アーニャ……髪が黒くなってる……」


「そうだよニーナ! 闇との共鳴(リンク)にはやっぱり黒でしょ⁉」


「好きにしたらいいと思うよ……」


 アーニャの髪はいつものサイドポニーテールではなく、全部下ろして縦ロールに巻かれていた。お嬢様みたいな髪だ。引っ張ったらバネみたいにびよんびよんってしそう。私の装備と同じようなヘッドドレスも着けてる。

 服は……すごく十字架です。

 シュリエルさんみたいな白黒のフリフリ膝上ワンビースで、スカートはパニエが入っているのかボリュームがすごい。きっと私のミュリエルさんみたいな服も着たらこうなんだろうな……。


「アーニャ、十字架の刺繍で聖ダメージ受けたりしないの?」


「ただの刺繍だから大丈夫だよ! 聖魔力のこもった糸で縫われてたら気持ち悪いけど!」


「そ、そう……十字架の眼帯はもしかしてお兄ちゃんから借りた?」


「そうだよ! 隠し持ってたレイスターも闇の世界(コッチがわ)の住人だったよ! 私の髑髏(ドクロ)の眼帯と交換したんだー!」


「アーニャが好きそうだから昔買ったのを、忘れてただけだって!」


 ……お兄ちゃんはそう言ってるけど、自分用に買ったものの着ける勇気が無くてずっと亜空間に保管していたことを私は知っている。


「そんな事言ってー! レイスターだって眼帯着けてるじゃーん!」


「バッ! こ、これは設定でだな!」


 今二人は四天王装備を着て、お揃いで十字架と髑髏の眼帯も着けている……でもそれ意味あるの? 仮面も着けるんだよね? まぁいいや、きっと眼帯を着ける機会が今日しかないんだろう。


「あ、あのさ、それが例の仮面?」


 テーブルの上に置かれたお兄ちゃんの髑髏の仮面の横にある、虹をぐちゃぐちゃにかき混ぜたような目に毒々しいヴィッド蝶はもしかしなくても……。


「そうだよ! キャロルちゃんが仕上げてくれたよ! ……どう⁉」


 アーニャが仮面を着けた!


「ぎゃぴっ! 鱗粉(りんぷん)とか足とか顔に付かないのっ⁉」


「ニーナ! 『はみゅっ!』だってば! えっと、体部分はキャロルちゃんが処理してくれたよ! 羽はなんか透明のコーディング? がしてあるからツルツルで大丈夫!」


 ……そっか。それでも私はアレを装着したくはない……。

 そしてお兄ちゃんが左腕をチラチラとアピールしてる……はぁ、しょうがない。


「あとさお兄ちゃん、包帯してるけど怪我したの?」


「フッ……気付いたか。でもこれも演出だからな⁉」


 うん、知ってる。だって包帯が真っ黒だもん。これはアーニャの染毛剤でついでに染めたな……。


「ハンデってやつだぜ! 俺が怪我してるフリすればすぐ負けても大丈夫だろ?」


 ハンデのために怪我してる設定、っていう大義名分がないと恥ずかしいんだね!


「あーうん、演出に余念がないね、すごいすごい」


 ルルさんコーディさんは生暖かい笑みでアーニャとお兄ちゃんを見守っていた。

 誰か私以外にこの二人の相手をしてようっ! いつもならラウンツさんが──あれ? ラウンツさんがぼーっとしてる、珍しいな。


「ラウンツさんどうし──」


「レイスター! 作戦会議しよっ!」


「おう! ラウンツさんも作戦を聞いてください!」


「……ああ! そうネッ! 作戦は大事よぉっ☆」


「じゃあ、ニーナちゃんとコーディは私とお昼ご飯を作りましょうか?」


 ルルさんにそう言われ、私は四天王お披露目会から逃れた。




「よう! お疲れ! あ、昼メシ出来てるな!」


 あっ! 魔王様とメイリアさんが帰ってきた! ……相変わらずメイリアさんは肩で息をしており顔色も悪い。でも私に出来る事は何もない……。


「メイリアさん、今日はメイリアさんの好きな香草パスタですよ。食べられますか?」


「……ん、ありがと……」


 みんなで着席しお昼を食べながら四天王戦の作戦会議だ!


「魔王様! 作戦ですがこういうのはどうですか⁉ まず──」


 お兄ちゃんの作戦が発表された……魔王様ノリノリでやるんだろうなぁ。


「なるほど鬼か……それいいな! やろうぜ! あとは俺達がどこで見学するかだなー上空はレイスターで注目されるし……ニーナの影魔法の中にみんな入れたら楽なんだけど無理だし……」


 見学しなくていいようっ! そして私の〈影移動〉は私しか影の中に入れないのだ。昔魔王様に「俺様も入れろ!」と無茶を言われ実験済だ。


「よし! 物陰で闇魔法に隠れるか!」


 魔王様、物陰とか路地裏とか好きだな……。


「闇魔法とは具体的にどのようなものを使うのかしら?」


「なんか闇属性魔力を全身に(まと)えば黒くなるだろ!」


 フワッとしすぎている……。

 と思ったら魔王様が黒いもやに包まれた!


「ああなるほど、黒い(きり)を発生させればいいのね」


「おう! 〈黒霧(くろきり)〉って名前にしようぜ! 黒霧懐かしいな~。あ、お前らも発動してみろ! メイリアは休んでていいぞ」


 ルルさんの説明で何となくわかったので、今見ている魔王様の黒い霧をイメージし闇属性魔力を放出してみる。

 ……あっ! やばい!


 ガシャガシャガシャーーーンッ!


「ニーナストップ!」


「ひぃ! ごごごっごめんなさいっ!」


 霧が噴出したせいで食器が吹っ飛ばされちゃったようっ! ごめんなさい! みんなが急いで洗浄魔法をかけてくれた。


「ニーナは魔力調節ヘタだからな、ははは! えっと、出来てるのはレイスター、アーニャ、ルル、メイリア、コーディか。ってなんでメイリアとコーディまでやってんだよ」


「…………」


「僕も少しでも参加をと思いまして!」


「ははは! それで、っと……じゃあラウンツとニーナは俺様が発動してやるから任せろ」


「ひゃい……」


「アアンッ! アタシ魔法は苦手よぉっ! 悔しいわっ!」


 あれ? ラウンツさん魔法苦手だったんだ、魔族なのに珍しい。

 そういえば身体強化と〈縮地〉と〈飛行〉しか魔力を使ってるとこ見た事ない……でも〈馬鹿力〉と〈女子(おネエ)力〉で全て解決できるから問題ないと思うよ!

 あっ! もしかしてラウンツさん、今日様子がおかしかったのは魔法が苦手だから四天王戦のプレッシャーを感じて……?


「ラウンツはもうちょっとで出来そうだけど、まぁこんなショボい魔法使えなくてもいいだろ! お前にはお前だけの武器がある!」


「そうネッ! いつか魔法の練習の成果を魔王様にお見せするわぁっ☆」


「ラ、ラウンツさんは最強ですから尊敬してます! 四天王戦もきっと大丈夫ですよ、頑張りましょう!」


「ニーナちゃん……っ! アタシと一緒に頑張りましょっ☆」


「は、はい!」


 ラウンツさんが両手をほっぺに当て、キラキラの眼差しを送ってくれた……元気が出たならよかったです。


「じゃあ行くか! コーディとメイリアは留守番よろしくな」


「お任せください!」


「……魔王様、ルルさん、連れて行ってください……」


 えっ⁉ メイリアさん行くの⁉


「メイリアちゃん分かったわ! 楽しみにしていたものね!」


「あん? メイリアそんなに見たいのか? 平気ならいいけどさ」


 ルルさんがうんうんと(うなず)き、魔王様の許可が下りた。


「メイリアちゃんも闇の世界(コッチがわ)に憧れてたんだね! 言ってよもうっ!」


「メイリアも眼帯が欲しいんならアーニャが薔薇のやつ持ってるぜ! 薔薇好きだろ⁉」


「……私は情報収集で……いや何でもない……」


 メイリアさんはアーニャとお兄ちゃんに何か言いたげだったけど諦めたみたい。何の情報収集だろ?


「じゃあムーバーイーツに行くか。メイリアは四天王戦まで休んでろ」


 魔王様のお声で、まずはムーバーイーツを終わらせることになった。




 ……あの村どうなってるかな?




短いけど明日10/5(火)も更新します(∩´ω`∩)

アーニャとニーナの四天王装備はゴスロリですね!

黒霧とは芋焼酎の商品名の略です。

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