表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
212/285

四天王準備

新章開始!

「ニーナー! 起きてー!」


 ドンドンと私の部屋のドアを叩きながら叫ぶアーニャの声で目が覚めた。

 ……朝かぁ。


 昨日は魔王様とディオルフィーネお姫様と「ご飯食べてください作戦」で沢山の町を回ったんだった。

 どの町でも初めは私がお話ししたら攻撃されて、でもいつの間にか町の人はお姫様のお話に感動していた。

 ……疲れたようっ! もうお芝居はこりごりだ!


 今日はえっと、二週六日目か……先月の決戦日が終わってから十日足らずで色々あったなぁ。


「ニーナー! 魔王様とメイリアちゃんが魔界に行っちゃうから早くご飯!」


「は、はみゅ……」


 アーニャに急かされ、急いで準備してダイニングへ向かった。




「よう! ねぼすけニーナ!」


 ……魔王様までいる。


「朝メシ食いながら今日の予定を話すぞー! 昨日も言ったけど、午前中はいつも通り俺とメイリアが魔界に行って来る。昼メシ食ったらムーバーイーツと四天王戦だ!」


 ……そうだった! 三国会談結果報告の最後に魔王様が言ってた! すぐに拉致られてお姫様と町を回ったから忘れてたよぅ!


「俺の出番ですね! どこで戦うんですか⁉」


「ん~、四天王の登場をアレイルに知らせたいから、レイスターがアレイル都市に出現して、勇者を探してから挑発して開けた場所に移ろうぜ! 追いかけっこだ、ははは!」


「都市に出現! 追いかけっこ! 作戦を考えておきます!」


 お兄ちゃんが両手でガッツポーズしてワクワクしてる……。


「はい! 魔王様! 私の出番も今日⁉」


「アタシはいつかしらぁっ⁉」


「勇者次第だな! レイスターだけでへロっちまったら次の日とかにするし、大丈夫そうだったらアーニャと連戦だ! 三番手のラウンツは早ければ明日、ニーナは最後だ」


「ぎゃぴっ! あ、明日私も戦うかもしれないんですかぁ⁉」


「ニーナ! 『はみゅっ!』でしょ⁉ もうっ!」


 あうっ! アーニャにダメ出しされた!

 くっ……まだはみゅはみゅ語をマスターしてないのに! ってかはみゅはみゅ語で喋りたくないよぅ! あの服も着たくないようっ!

 ハッ⁉ そういえば仮面!


「ルッ! ルルさんっ! 私の仮面は……」


「安心して、バッチリよ! 時間があり過ぎてむしろ……いえ何でもないわ」


 ルルさんが鋭い横目で私を見ながらニヤリと笑った。なんだろう、悪い予感が……。


「あ、ありがとうございます……」


「じゃあ髪染めなきゃ! メイリアちゃん!」


「……ん……」


 メイリアさんがテーブルの上にビンを取り出し、アーニャとルルさんの方にすすす……と移動させた。

 アーニャの言ってた染毛剤かな? なんでルルさんにも?


「ありがとね!」


「ニーナちゃん……とびっきり可愛くしてあげるわ……うふふ」


 ひぃ! ルルさんのは私の分だった! 妖艶な笑みが怖いっ!


「みなさんの戦いを僕も見たかったです! くっ! 頑張ってくださいね!」


「コーディさんの分も戦ってきます!」


「任せて! ねっ、ラウンツさん! ニーナ!」


「……えっ? あっ、そうネッ! 勇気で立ち向かうわよぉ☆」


「……はみゅぅ……」


「そうそうニーナいい感じ!」


 くっ! もうお芝居はお腹一杯なのにっ! アーニャの前では定期的にはみゅらないと怒られるから仕方ない……ハッ! これってもしかしてアーニャの新しいイジメじゃない⁉ ムキー!


「ぶはは! ニーナが言うとブヒエルより可愛いぞ!」


「嬉しくありませんんん! そしてそれって褒め言葉になってるんですかっ⁉」


「ニーナちゃんはアリアちゃんより可愛いわよ!」


 私の声は魔王様に無視され、パンを持つ手でグッと握りこぶしを作ったルルさんのフォローが入る。……パン。


 そして魔王様は朝食を食べ終わるとメイリアさんを連れ魔界へ転移して行った。


「アーニャ! 早速着替えようぜ!」


「あ、レイスター先に着替えてて! 私は髪を染めなきゃ!」


 四天王最弱と二番手がバタバタと部屋へ戻った。


「あのうルルさん、私の仮面ってどんな……」


「本番まで秘密よっ!」


「ひぃ!」


 なぜ秘密⁉ ルルさんのギラギラした目が怖い!

 と、とにかく、今日出番のない私はお昼まで自室で過ごそう……。




 自室のベッドに横になってボーッと頭を整理する。


 そういえば明日はエルドラドでリサさんが看板を描く日だなぁ。

 魔王様は、ナイトさんしかエルドラドに来ないから警備はクレイドさんとローテの魔族だけでいいって言ってた。でも私も行きたかったよぅ! ……そしたら四天王戦が延期になるのに。


 昨日回った村と町は……ご飯食べてくれそうだけど、それ以外の村とかはどうなるんだろ……結局私の考えた「ご飯食べてください作戦」なんて微々たるものでしかない。やっぱりメイリアさんはすごい、アレイル全部救っちゃうんだから。


 魔王様も……会談に乗り込むなんて無茶苦茶だと思ったけど、たった一回お話しただけでオルガとアレイルを仲直りさせるなんてやはり偉大だ。

 ……本当に()便()()お話ししたのだろうか。まぁいいや。


 それにしても次の出店はルーガルかぁ……。アレイルは虫害から復興するまで出店しないって魔王様が言ってた。てっきりアレイルに出店するために虫害を終わらせるんだと思ってたけど。

 でもまぁアレイルは魔王様に借りが出来るし? もう属国みたいなものだし! ふふふ……ルーガルに出店したら国を三つも配下に置くことになる、魔王様さすがです!


 あ、そしたら……春にはルーガルへ行くんだろうな。ということは二号店のみんなとお別れ? ……ナイトさん達は知ってるのかな?

 カリンさんはラウンツさんがいなくなったら寂しがるかな。ジルさんはメイリアさんに魔法を教えてもらうのを毎日楽しみにしてたのに。バレットさんとレオさん……二人とおしぼりをくるくるしながらバレットさんの武勇伝を聞くことももうなくなるんだ。


 ミアさん……アレンさん……ルフランさん……ナイトさん達全員との思い出がぽわぽわと宙に浮かんだ。


 寂しい……。

 ……寂しい? いや、配下であるみんなは一応仲間だし? うん、そうそれだけ!

 あ、そういえば物盗りが入った時にアレンさんが私の事を「仲間」って言ってたな。弟さんも「いい魔族」って。

 ……あれ? 私が「いい魔族」のフリをしたのっていつからだっけ?


「ニーナ! アーニャの準備も終わったぞ! 来いよ!」


 ハッ! お兄ちゃんが呼んでる。仕方ない、ダイニングへ行こう……。




10/3(日)はお休みします(∩´ω`∩)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ