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【まおホス!】魔王様のホストクラブ作り!……に振り回されて大変です!【表紙挿絵有】  作者: つーちゃん
第五章 ちょっと戦争ブッ飛ばそうぜ
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今日の当たりは誰

お待たせしました(∩´ω`∩)

ブクマ評価感想等いつもありがとうございます、励みになります!

 今日は二週目一日。うう……昨日のムーバーイーツの転移酔いがまだ残ってる気がする……。


「ハッ⁉ これが二日酔いってやつ⁉」


 ダイニングテーブルからガバッ! と顔を上げた。


「何言ってんだ? ニーナ」


 お兄ちゃんが呆れ顔で私を見てる……。


 ラウンツさんとルルさんが朝食を運んで来てくれたので、みんなで食べながらワイワイと今日の予定を予想し始めた。「メイリアさんとコーディさん以外はムーバーイーツ」が濃厚だ。


「次はどの街に食糧を取りに行くんだろうね! イケメンいるといいなー!」


 アーニャの後半の言葉はスルー。

 そうなのだ。オルガ街からばかり食糧を調達するわけにはいかないので、昨日はオルガ国内の他の街からムーバーイーツをした。……お休みの日だったのに。

 こ、これ……いつまで続けるんだろう……私とんでもない事言っちゃったようっ! みんなに謝罪を!


「あ、あの……皆さん、私が言い出したばっかりに巻き込んでごめんなさい……休日出勤までさせてしまって……」


「んもうっ! ニーナちゃんったら気にしないでっ☆ アタシは色んな人族のコが見れて楽しいわぁ!」


 ラウンツさん優しい……。でもラウンツさんが探している男性はアーニャのとは意味が違う! ガチムチの人族さん逃げてっ!


 そして他のみんなも「気にしてない」「楽しい」と口々に言ってくれた。……良かった。


「僕も人界を見て回りたかったです! ……そういえば今日はナイトのお給料日ですね。振り込みは僕がしておきますが、魔王様ミーティングにいらっしゃるかな?」


 コーディさんが首をかしげた。あ、そうだお給料日だ……。


 なんて話をしていたら魔王様が転移していらっしゃった。

 コーディさんが魔王様に予定を聞いたら、今日はお給料日なのでミーティングは全員参加との事だった。


「ん~、しばらくの間みんなのスケジュールはこうするか。午前中は自由時間、午後からムーバーイーツだ。ディメンションの営業はコーディだけで回す。あ、メイリアは午前中魔界のキキュー育成、午後からはずっと休んでろ」


「……はい……」


「そういえば魔王様、勇者はどうするんですか?」


 お兄ちゃんが魔王様に聞いた。……勇者、いたなぁ。カスすぎて記憶から消してしまっていた。


「あん? 髪が伸びるまで放置だ放置!」


「でも魔王様、会談で交渉のカードに使うのではないのかしら?」


 ルルさんの言う通りだ。勇者の登場によってアレイルが武器輸入をしなくても済むようにするって魔王様が言ってた気がする。


「あ、ヤベェ……メイリアー! 毛生え薬とか無い?」


「……キール会長ですら未開発……」


「そうだったぜ……」


 ツルピカのキール会長が研究中って言ってたな……。


「短髪でも、せめてストレートならイケメンに見えるんじゃないかしらっ⁉ ヴァンちゃんだって短髪だけどイケメンよぉ☆」


「うーん、イケメンなら何でも似合うからイケる……か? よし! 今日ムーバーイーツのついでに勇者の様子を見に行ってみようぜ! ちゃんとラウンツの啓示通りパンチをストレートにしてるか確認だ!」


 えぇ……またカス勇者を見に行くのぉ⁉ そしてイケメンでもパンチパーマは似合ってなかったよね……?


「私の魔眼の審査は厳しいよ!」


「ウィッグの準備をしておこうかしら……」




 そして私とメイリアさんは魔王様に断りを入れ、急いでエルドラドへ行く事にした。メイリアさんは午前中魔界に行かなければならないからだ。


 いつものルーティーンをサクッとこなして、最後に卵をじっと観察する。……ただの土しか無い。


「卵、孵化(ふか)してないですねぇ」


「……ん……魔界から帰って来たらまたここで観察する……」


 え、メイリアさん午後は休まずずっとここで土を見てるの?


「あ、あの……メイリアさん、私も空いてる時間に観察に来ますから、出来るだけ休んでください……」


「……ありがと……」


 土に熱視線を浴びせていたメイリアさんが私を見て少しはにかんでくれた。


 メイリアさんの身体が心配だから早く孵化してほしいな……。

 ハッ⁉ そういえば! この小さな結界内に飛蝗(バッタ)がうじゃうじゃ(かえ)るのっ⁉ ぞわぞわするっ! 孵ってほしいけど孵ってほしくない!

 どうしよう! 飛蝗(バッタ)が孵ったらそれを目撃しなきゃしけないのぉ⁉ やだようっ! また早まった事言っちゃったよぅ!


「……ニーナ、帰ろ……」


 カクカクと首で返事をし、エルドラドの出口へ向かった。どうかメイリアさんが観察している時に孵化しますようにっ!


 私とメイリアさんは卵を埋めてから毎日エルドラドに来てるから、3階層へ向かう冒険者と頻繁にすれ違う。

 ダンジョン・ディアブロも沢山の冒険者が来るようになったなぁ……。冒険者は最初から魔族がいる事を知っているから私達を見て逃げ出すような者はいない。

 そういえばお兄ちゃん達四天王(三人)もよく午前中ダンジョンに潜ってたけど、ディアブロのお店にある転移陣で50階層へ直行だからここではあまり会わないな。


「……あ! 四天王! メイリアさん、私の仮面ってどうなりましたか?」


「……ルルさんが仕上げてくれてる……」


「ありがとうございます! ルルさんならキャロルさんと違って生き物の素材を使わないから安心です!」


「……………………ん……」


 多分四天王の出番は近い気がする……。私は四天王最強の設定で最後らしいから、その前にアーニャかラウンツさんが手加減を誤ってくれたりしないかな……。




 ディメンション二階に戻ったらすぐメイリアさんは魔王様と魔界へ転移して行った。

 私は例の「いいまぞくより」というメッセージを大量に書いた後はお昼まで自室でゆっくり過ごした。

 魔王様とメイリアさんが帰って来て昼食を食べたら営業前ミーティングだ!


 今日はお給料日だから、ミーテングではナイトの皆さんがホクホクした顔をしていた。

 ミアさんとアレンさんだけは亜空間魔法を使えるから現金支給。魔王様から渡された二人の大金貨を見て、周りのナイトさんがやる気を出していた。やっぱり現生は効果が抜群だ。




 ミーティングが終わったのでメイリアさんコーディさん以外でムーバーイーツへ。

 オルガの大きな街の商会で魔王様が得意げに王様からの書状をババーン! と見せ食糧を半ば強奪したら、アレイルに転移して食糧の仕分けとメッセージの仕込み。その後は魔王様の連続転移でサクサク食糧を落としていく。


 そして陽が落ちた頃に終了。最後に配った村だけ遠くから反応を見て終わりだ。

 相変わらず手を上げるおまじないは効かなかった……転移酔いで気持ち悪いぃ!


「よし! 今日も村人の会話を聞いてみようぜ!」


「オッケーだよ魔王様! 集え、鎮魂歌(レクイエム)──」


 魔王様のお声によりみんな一斉に集音魔法を発動。


「今日も食糧が来た! 村長ーーー!」

「わーい! きょうはおかしとかないかなぁ?」

「今日の手紙はハートと……キスマーク?」


 絶対ラウンツさんのメッセージだ!


「アタシのラブレターが当たったわぁ!」


 やっぱり!


「私のが当たらないよ! みんなズルい!」


 アーニャは相変わらずクジ運が無い。


「……なぁ、これやっぱり俺らを油断させてから毒入りの物が紛れ込んでくるんじゃないか?」

「だよなぁ……」

「また食糧が来たとな! 皆の者、警戒せよ!」

「あ、村長……」


 あ、あれ? 疑われてる……? ヒドいようっ! みんなで頑張って運んだのに!

 ハッ⁉ もしかしてラウンツさんのメッセージがおネエからだってバレた⁉


「……おいニーナ、村長っぽい人が持ってるのってあのビラじゃないか?」


 お兄ちゃんがボソッと(つぶや)いた。その顔はいつになく真剣だ。


「……え? ビラ?」


「アレイル都市に撒かれてたビラだよ……オルガと魔族が手を組んだとかなんとかっていう……」


「ぎゃぴっ⁉ こんな田舎まで回って来たのぉ⁉」


「あっホントだ! 身体強化したら見えたよ! 乗っ取リゼッタさんのビラだね、だから村人は警戒しちゃったのー?」


「どどど、どうしよう⁉」


 ラウンツさんごめんなさい! 私のせいでした!

 助けを求め魔王様とルルさんラウンツさんを見ると、三人とも何やら考え込んでいた。


「……別に俺らは何も悪い事はしていない、食べる食べないは村人の自由だ。そもそも俺らがいなきゃ届かなかった食糧だからな、好きにすればいい」


 魔王様は無表情でそう(おっしゃ)った。


 そもそも無かった食糧……確かにそうだけど……。あの食べ物、捨てられちゃうのかな……。

 私の視線の先の村はぼやけ、オレンジと紫で染まった空の色が視界に(にじ)む。吐いたため息は白い輪郭を持った。


「さて! 勇者の様子を見に行くかー! 楽しみだな、ははは!」


 ぎゃぴっ! 魔王様勇者の事覚えてた!




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