宴ニャ!
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「これミア! すぐに飛びつくでない! だから人族に騙されるんじゃ!」
「ニャ……でもハイド様は騙さないニャ!」
「そうじゃろうが……ところで何でお前らが人界でダンジョンを管理しているんじゃ? 必要なかろう」
「あのね! ホストクラブで人界征服するためだよ!」
「アーニャ、話が飛びすぎだよぅ」
その後、魔王様が順を追って話した。
ホストクラブを人界に出店してひそかに人界征服する事、出店の許可を取るために人族の信頼を得る事、そのために今ダンジョン経営をしている事、ホストクラブを開けたらゆくゆくはドワーフさんと獣人さんにダンジョンを任せたい事など……。
「なんじゃ、またハイドの遊びか」
遊びとは失礼な。 魔族念願の人界征服なのだ!
「面白そうニャ! 僕もダンジョン経営で人族を征服するニャ!」
ミアさんとは気が合いそうだ。
「ハイドは遊びに本気を出すからのぅ、まぁそういう意味では信頼できるの」
「ははは! じゃぁ決まりだな、よかったよかった。 それでいつから何人くらいで来る?」
「全部で200人ほどいるからの……あとダンジョンの中に家も作らにゃならんじゃろ」
「家や鍛冶場なら亜空間に入れてそっくりそのまま持ってくぞ?」
「お前はほんに規格外じゃな……。 今日は泊まっていくのか? 宴を開いて皆に聞いてみるかの」
「お祭り⁉ 楽しそうだね!」
「わぁ! 楽しみです」
「魔王様! ぜひお言葉に甘えましょう!」
夜は急遽宴になったので、ラウンツさんにお泊まりすると念話しておく。
ドルムさんがダンジョン内の人に大声で呼びかけると人々が集まってきた。
みんなが魔王様に挨拶している、久しぶりに会えて嬉しいらしい。 魔王様はここの人達と仲良しなんだな。
「アーデルハイド様! 会えてうれしいー!」
赤茶色のストレートの髪の小さい子がぴょんぴょんしてる。 魔王様のお名前を呼べて羨ましい。
「カルム! 綺麗になったな」
「えへへ」
「ハイド! 余計な事を言うな!」
「ごめんごめんつい……」
ドルムさんの娘さんだった。 すごく可愛い子だ、失礼だけどドルムさんとは似ても似つかない。
魔王様とドルムさんが内緒話をしてる……何だろう?
「ふん! その手に乗ってやろう!」
「じゃあこれで水に流してくれるな! あーよかった」
また魔王様の悪だくみだ……!
ダンジョンの外に狩りに行っている人達が帰ってきたら宴を始めるらしい。
その間、私やお兄ちゃん、アーニャはドワーフさんや獣人さんに挨拶をした。 はじめましては緊張するけど、これから仲良しになるからがんばってお話した。
アーニャがカルムさんとミアさん、ミアさんのお姉さんのシアさんに話しかけた。
シアさんもミアさんと同じ毛並みだ、目元が優しい感じで語尾が伸びるから見分けがつく。 というか、服装で違いが一目瞭然だ……なんでビキニアーマー⁉ 防御力大丈夫なの⁉
「カルムちゃんシアさんよろしくね! 私はアーニャだよ!」
「ににに、ニーナですっ!」
「ニーナの兄のレイスターです、よろしくお願いします」
「あっ! アーデルハイド様に育てられた子だぁー、 いいなぁ」
「は、はひぃっ!」
カルムさんから羨まし返された。
「ハイド様から聞いているニャァ、すごい強いニャァ。 戦うニャァ!」
「ひっ! シ、シアさんと戦うんですか⁉」
「僕たち獣人は戦って仲良くなるニャ!」
「ニーナ、いい機会だからたまには戦えよ。 腕が鈍るぞ」
「久しぶりにニーナの攻撃魔法見たいよ!」
ミアさんお兄ちゃんアーニャまでぇ! 魔王様に助けてもらおう……。
魔王様に助けてとお願いしにいったら「お! 俺が死なない結界を張ってやるから思いっきりやれ! ははは!」と言われた……。 そうだった、魔王様はこういう人だった。
諦めてとぼとぼとみんなの所に戻る。
「魔王様に、結界を張るから思いっきりやれって言われました……」
「宴の演し物にするニャ!」
どうしようどうしようと思っていたら、魔王様のいらっしゃるあたりがザワザワし始めたのでみんなで見に行くことに。
……邪龍の素材が出てる。 ドワーフさん達はよだれを垂らしそうな勢いで食い入るように見たり触ったりしていた。
「邪龍だ!」
「うぉぉぉおおおお! 早く作りたいぞ!」
「お前に邪龍はまだ早い! 俺からだ!」
「俺、オルガに行ったらこの素材で武器を作るんだ……!」
約1名フラグを立ててるけど……ドワーフさん達がディアブロに来てくれるなら何よりだ。
「また闇堕ちした龍が出たら素材を持ってきてやるぞ」
「「「ぉぉぉおおおお‼」」」
魔王様の闇堕ちって単語にアーニャとお兄ちゃんがソワソワしてた。
そんな事をしている間にかがり火が焚かれ、料理が運ばれてきた。 ドラゴン酒は目立つ所にドンッ! と置いてある。
飲めや歌えやの宴が始まった。
「なんじゃこの酒は! こんなに強い酒飲んだ事ないぞ⁉ それに体が熱くなってくるのぅ!」
あっ! それは錬成用のアルコールです! ドルムさん死んじゃったりしないかな? ドキドキ……。
「ニーナ! ちょうど夕暮れだ、シアと戦え」
「えっ! あれも使うんですか?」
「死なないから大丈夫だ」
「ニーナ戦うニャァ!」
ひいぃ……みんなが期待に満ちた目で見てる……緊張するよう!
広場の空いている所に魔王様が結界を張ってくださった。 その周りにギャラリーが座り、私とシアさんが結界の真ん中に入って戦闘態勢に入る。 魔王様が審判らしい。
「よし! 準備はいいな? 3、2、1、始めっ!」
「〈紅霧〉!」
夕暮れ時にだけ何故か使える魔力増幅魔法をまず使い、とりあえず結界を……!
「ニャァーーー‼」
シアさんが四つん這いになって飛び出し引っかき攻撃をしてくる! ひぇ! 間に合わない!
「〈影移動〉!」
シアさんの後ろに移動し彼女が振り向く前に
「〈結界〉!」
「ッ! 弾かれるニャァ!」
「〈炎天〉!」
辺り一面に爆炎が広がった! ひぃ! 私も熱いぃい!
「ニャァッ‼」
「〈水竜〉!」
炎に怯んだ所へ水魔法で弾き飛ばす!
「ニャンニャのニャァーーーーーー‼」
魔王様が張った結界の外にシアさんがドサッと落ちた。
「ニーナの勝ち!」
「「「うぉぉぉおおおお‼」」」
「シアが手も足も出んかったぞ⁉ なんじゃあの娘は!」
「フッ、あれは俺が育てた」




