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【まおホス!】魔王様のホストクラブ作り!……に振り回されて大変です!【表紙挿絵有】  作者: つーちゃん
第五章 ちょっと戦争ブッ飛ばそうぜ
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魔界国立錬金施設

 もう魔界へ行くの⁉ 確かに早く行きたかったけどぉ……それより先に休憩したいようっ! カス勇者のせいで疲れたよぅ!


「魔王様、魔界へ何をしに行くのかしら? この二人はちょっと疲れてるみたいよ?」


 ルルさんが私とメイリアさんをチラと見ながら言ってくれた。もっと言ってください救世主(ルル)様!


「メイリアがキキュー育成を始めたいって言うからよ、錬金施設に挨拶だけでも行っておこうかと思ってな。そこで茶でも飲みながら休もーぜ! たまには魔界でのんびりもいいだろ!」


「……国立錬金施設……行きます……」


 う……メイリアさんの目がキラキラしだした……私だけノーとは言えない!

 ……ハッ! そうだ、お母さんに「ルルさん応援隊」の相談もあるんだった!


 久しぶりの魔界だ魔界だとキャッキャしているお兄ちゃん達と共に、私も魔界へ行きたいと魔王様へ申請した。

 そういえば……錬金施設のお偉いさん、「そのうち貸切るからよろしく!」って言った魔王様の無茶振りで心労がたたってないといいなぁ。


「よし、全員で久しぶりの里帰りだな! 明日はパウリーの看板の打ち合わせがあるから長居できないけど」


 ひぃ! お客様が一堂に会する看板作り! 私、絶対に行かないんだ! 魔王様不在のエルドラドを狙って秘密裏に魔王様名刺作製を進めるのだ!




 ──────────────


 そして魔王様が転移した先は何やら大きな門の前だった。遠くに見える建物は、無駄をそぎ落としたかのようなデザインのレンガ造りだけどコの字型で魔王城くらい大きい!


 って、何で門の向こうに魔族が大勢集まってるの? と、思った瞬間、門が開き大歓声が上がった!


「「「うおおおおおおお!!!!!」」」

「「「魔王様万歳ーーー!!!!!」」」


 ぎゃぴっ! な、何事⁉

 すると一人のおじいさんが魔王様の前へ出てきた。


「魔王様……ッ! 一週間と6日振りのご訪問っ! 誠に光栄でございます! これも魔王様がこの施設をそれだけ重要視されているという証! 我々錬金術師一同、心よりご訪問お待ちしておりました……ッ!!!!!」


 お、おじいさんが涙を流しながら魔王様に両手でブンブンと握手している……。下げた頭と角はツルツルピカピカと(まばゆ)い。たった二週間前に来てるのにこの歓迎ぶりは一体⁉


「おう! いつも急で悪ィな! ちょっと茶でも出してくれていいぞ! あ、あと腹も減ってきたな」


 ま、魔王様図々しい……。


「おお! 皆さまお疲れで⁉ すぐに用意させましょう! ついでに殺虫剤の製造もすぐに始めましょう!」


 それは昼食のついででやる規模のものじゃないよぅ!


「いやそれは花の採集が終わってからだろうがよ……」


「おお! そうでしたな! いやぁ皆、魔王様のお力になれる日を今か今かと心待ちにしておりまして! 早まってしまいましたな、ははははは!」


「キール会長! 早く魔王様のご案内を!」


 ボサボサ頭の若い錬金術師らしき人がおじいさんへ声をかけた。

 え? このおじいさんが会長? もしかして施設のお偉いさん⁉ 私の予想では心労で倒れているはずだったのに……!


「む、そうだったな。ささ、魔王様、いつもの客室へ!」


 魔王様が、「見学がてら歩いていこうぜ」と(おっしゃ)ったので、みんなでコの字型の建物の真ん中にある庭園を通りながら建物へ歩みを進める。

 ちなみに会長さんによると、この庭園には錬金素材の薬草や魔植物が植えられているらしい。……ものすごく納得した。


「あ、あの、魔王様……なぜこんなに歓迎されているのですか?」


「ん? ああ、それはなー」


「錬金術研究所兼、錬金術師育成機関としてこの施設を設立してくださった魔王様は偉大。この施設で行われる研究にかかる費用を魔界の予算で組む事を制定してくださった魔王様は偉大。この施設の設立によって錬金術師人口が増え錬金術だけでなく医療分野まで発展させた魔王様は偉大。つまり魔王様は全錬金術師の神といっても過言ではない。むしろ錬金神として(あが)めるべき」


 メ、メイリアさんが早口で(よど)みなく喋ってる! 興奮してる! ただ事ではないらしい!


「あ、あー……なんかそんな扱いになってんな……。俺はただ、いつの時代も研究者は不遇なのを何となく知ってたからちょっと作っただけなんだけどなー。研究って結果が出るまでに時間と金がかかるけど、結果が出なきゃ金がもらえないっていう詰みスパイラルだからな」


「昔は裕福な生まれかパトロンがいなければ錬金術師になる事は難しかった。全魔族に錬金術を学ぶ機会を与えてくださった魔王様は偉大。そもそも錬金術を学ぶには基礎学問が必要でその基礎学問を無償で学べる学校をお作りになりさらに義務教育化──」


「メイリアわかったわかった! 客室で会長と思う存分語り合え!」


 メイリアさんの暴走を魔王様が止めてくれた。四天王(三人)は魔王様スゴいスゴいとキャッキャしている。


 とりあえず魔界の全錬金術師が魔王様を崇め(まつ)っている事は分かった……。施設のお偉いさん、キール会長は「はい」か「イエス」しか言えなかったんじゃなくて、むしろ魔王様が引くくらい前のめりで協力したがったんだろうな。


 ハッ⁉ もしかして……錬金術師がうじゃうじゃいるこの施設にいる限り、錬金術師の皆さんが唱えるこの魔王様を崇める呪文を聞かせ続けられるの⁉

 私も魔王様について語るのは好きだけど、錬金術師さんの魔王様語りは次元が違うから付いて行ける気がしない! ちっとも休めないよぅ!




錬金術師……みんなオタク気質ですw 興奮すると早口になりますw

魔界の学校(義務教育)=小学校です。中学校はありません、この世界は成人が早いので魔王様は作りませんでした。

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[良い点] >ひぃ! お客様が一堂に会する看板作り! 私、絶対に行かないんだ! そ、それはフラグというんだよ、ニーナ!
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