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【まおホス!】魔王様のホストクラブ作り!……に振り回されて大変です!【表紙挿絵有】  作者: つーちゃん
第五章 ちょっと戦争ブッ飛ばそうぜ
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勇者探し

 はぁ、今日も食糧輸送かなぁ。 あ、聖剣を準備したって事はもしかして勇者育成計画……?


 そんな事を考えながらダイニングへ行くと、ぐったりとした魔王様が椅子に座っていらっしゃった。あとはメイリアさんだけキッチンにいる。


「ま、魔王様、おはようございます……お疲れですね?」


「はよ……ちょっと寝不足でな。今日はさ、勇者探しに行こうぜ~」


「ぎゃぴ!」


 やっぱり勇者!


「ディオルにも会いに行かねーとなぁ」


 ……あああ! そうだった! 忘れてたよぅっ! アレイルへ嫁いだディオルフィーネ第一王女様への接触は私のお仕事だった!


「……魔王様……魔界のキキューは……」


 メイリアさんの声でキッチンへ振り返る。


「あ、その件もあったなー……メイリアはそろそろキキュー育成を始めるか。魔界は色々と調整しとく」


「……ありがとうございます……」


 メイリアさんユニークスキルを使うのかぁ……大丈夫かな? まぁ魔界なら魔王様が治癒魔法使いを準備してくれているだろう。


 とりあえずメイリアさんと朝食を作り始めた。私もたまにはお料理しないと!

 ちなみにメイリアさんが、今日はもう出かけるだろうという事で飛蝗(バッタ)の観察はエルドラドのコナーさんにお願いしたと言っていた。

 私もリサさんの名刺受け取りはまとめて明日にしよう。念話で伝えておいた。

 って……魔王様名刺の素描を選びに行きたいのに魔王様が邪魔ぁ! 自由時間をください!




 そしてみんなが次々とダイニングへやって来た。

 魔王様から今日の予定を聞いたアーニャとお兄ちゃん、ラウンツさんルルさんが「四天王の服を着ていくかどうか」を話し合っていたけど、魔王様が「俺らの姿は見せないからさっさと飯食って行くぞ」と一蹴(いっしゅう)して下さった。

 ホッ……。さっそく魔王様名刺に貢いだご利益が!


 ルルさんが「そうね、準備に時間がかかるしまだ装備が揃っていないもの……」と言ってたけどラウンツさんの服の事かな?

 そういえばラウンツさんはどんな服を準備するんだろう? ……仕立て屋パウリーだけはやめてあげてっ⁉ こ、ここは私があの惨劇の再犯を食い止めねばっ!


 そっとラウンツさんの前にベーコンスクランブルエッグを置きながらさりげなく話しかける。


「ラ、ラウンツさん……仕立て屋パウリーは看板で忙しいので、発注しないであげたほうがいいかと……」


「アッ! そうねぇ……もうパウリーちゃんには発注しないから大丈夫よっ☆」


「そ、そうですか」


 良かった……他の服屋さんに飛び火するかもしれないけど、仕立て屋パウリーのライフはゼロだ! むしろマイナスだ! 仕方ないのだ!


「いただきまーす! そういえばラウンツさんどんな服にするのー?」


 ひぇ! アーニャ余計な事を! ……でも事前に心構えをしておいた方が衝撃が少なくて済むかもしれない。


「イメチェンすればいいのよネッ⁉ まだ秘密よぉっ☆」


「「「…………」」」


 みんなのゴクリ……という音は、朝食を飲み込んだ音には聞こえなかった。


「……ラウンツ、ちゃんと対・勇者用の装備で頼むぞ?」


「魔王様任せてっ☆ 勇者に対峙するに相応しい装備よネッ⁉ バッチリよっ!」


 魔王様が釘を刺してくれた。ラウンツさんが女物を着るのは寝巻だけだし、公衆の面前で着る「装備」指定なら大丈夫……大丈夫……。


「……じゃあ今日はまず勇者を探しに行こう!」


 うう……勇者探しってどうするのぉ? ワイワイキャッキャしだしたお兄ちゃんとアーニャを尻目にとりあえず朝食をほおばった。




 ハイ、魔王様の転移で着いたのは間違いなくアレイル。遠くにアレイル城のあるアレイル都市が見えるもん。

 ぐるりと周りを見渡すと昨日と同じメンバーだ。コーディさんはお店があるから、アレイルの事は今ここにいる人界進出メンバーでやるのだ。


「さて、どうすっか~! また上空で待機かな。んで魔力感知でとりあえず魔力の高い人族を見つけようぜ!」


 勇者育成計画という名の作戦が無計画なのは魔王様だから諦めよう。


 みんなでアレイル都市の遥か上空へ〈飛行〉した。……人族から認識されないかなぁ? 急に攻撃されるのはビックリするから苦手だよぅ怖いよぅ……。


「じゃぁみんないい感じによろしく!」


 ……指示がフワッとしすぎている。まぁいいや、魔力感知しよう。


「……ねぇお兄ちゃん、一つだけ強い魔力がない?」


「あ、あるな、俺でもわかる。それ以外の魔力は弱くて俺は区別がつかないな」


「飛び抜けてんのは一人しかいないな、あいつにするか決めるからちょっと会話を盗み聞きしようぜ!」


 魔王様、ついに「状況把握」じゃなくて「盗み聞き」って言った。

 ともあれ、悲しきかな集音魔法を使い慣れている私達は、強い魔力の主の声を拾う事に成功した。




「やっかましいわ! 俺ぁ毎朝蜂蜜ミルクを飲む決まりなんや!」


「アカンて! 蜂蜜は高いんやから頼まんとって⁉ 自分、昨日カジノであんだけ負けたのに眠たいこと言うんもええ加減にせぇよ⁉ まだおねんねしとんのかいな! おーよちよちオシメも替えたろかぁ~?」


「なんやて⁉」


「あ、昨日おっぱい飲んどったんは赤ちゃんやからかぁ~?」


「う~るっさいわ! 自分かてヒィヒィ鳴いとったやん!」


 ……魔力が強いのは巻き舌で変な(なま)りのある男性。話しているのは連れの女性かな……。


 というかギャンブル狂で下品な(やから)! ダメだっ! もうこの時点で「悪の魔王を倒す勇者」っぽくない! 聖なる香りがしない! 邪でしかない!




「ははは! 面白そうだからアイツにしようぜ!」


「ぎゃぴっ⁉ 魔王様正気ですか⁉」


「おう! 魔眼で若いイケメンなのも確認した!」


 ……そうだった! 魔王様は「面白そうだから」って理由だけでラウンツさんを近衛隊に入れたお人だった……。

 もぉおおお! これ以上濃いキャラはやめてよぉおおお! そしてやっぱりイケメンは必要な要素なのっ⁉




他の強い冒険者は真面目に朝早くクエストへ出かけたので、こんなやつしか都市に残っていなかったのです……。

関西弁おかしかったら誤字脱字報告でください!

8/6(金)はお休みします。

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