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【まおホス!】魔王様のホストクラブ作り!……に振り回されて大変です!【表紙挿絵有】  作者: つーちゃん
第五章 ちょっと戦争ブッ飛ばそうぜ
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ブラックムーバーイーツ

沢山のブクマ評価感想ありがとうございます(´TωT`)

「タダより怖いものは無いというのが商人の常識です」


 わ、私がアントンさんを守らねばっ!


「あん? それがなーちゃんと理由があんだよ」


 理由? えっと、アレイル北部に食糧が行き渡ってないから私が魔王様にお願いして……あああっ! そうだった! 魔王様、疑ってごめんなさいぃいいい!

 また忠誠心が上がりました! 私の魔王様名刺の予算をアップして豪華なのを作りますから許してください!


「理由とは?」


「アレイルで虫害が発生したからオルガが輸出を増やした事くらいは商人なら耳に入ってるだろ?」


「お、おお……そのおかげでオルガは儲かっていますな! はっはっは!」


 違うのだ……お姫様は言っていた、「本来オルガの分の小麦と香辛料をため込んでいるとも言える」と。魔王様は戦争準備だと言っていた。アーニャの言った通りアレイルがオルガへのカケ、つまり借金を踏み倒す可能性すらある。


「でもよ、アレイル北部までは食糧が運ばれてねぇんだ。だから俺ら魔族が輸送する、そして魔族の好感度アップ! するとアレイルでホストクラブが開ける! こういう算段だ! ははは!」


「おお……なるほど、魔王様は他国にまで出店計画を? オルガでは魔族も受け入れられてきていますが他国では敵視されるでしょう、だからその下地を……。ふむふむ……魔王様は豪商になれそうですな!」


 本当は人界征服のためだけど……アントンさんが勝手に納得してるからいっか。


「おう! 俺様はホストクラブ経営が本業だからな! 世界中に作るぞ、任せろ!」


 ……魔王様、本気で魔王が副業だと思ってるの? 人界征服のためだよね⁉ アントンさんの前だからそう言ってるんだよねっ⁉


「頼もしいですな! はっはっは!」


 そして魔王様とアントンさんは話を詰め始めた。


 エルドラドとの取引は最初はクレイドさんが仲介するらしい。獣人さんは純粋だから、クレイドさんが交渉の仕方を徐々に獣人さんに伝授していくんだろう。リサさんなんて名刺1枚描くのに100ディルって言ってたし確かに心配だ。


 食糧輸送に関しては、食料品を扱う各商会に城が指示を出しているから「国王の書状でも持って各商会で食糧を受け取るか」などと魔王様が(おっしゃ)っていた。

 ……王様の書状なんてそんな簡単にもらえる物じゃないと思うんだけど……王様にその場で一筆書かせた実績のある魔王様には何も言うまい。アントンさんも途中から思考を放棄していた。


「よし! じゃあそろそろ行くわ! 食糧の準備よろしくな!」


「は、はい……。私はディアブロのクレイドさんを訪ねに行きますのでこれで!」


 アントンさんは魔王様の「国王」発言に、私達が来た時とは打って変わって早く帰ってほしそうだ。食糧だけ準備してくれればいいから大丈夫だよ……。




 モンテナ商会を出た。


「魔王様ぁ……また王様に一筆書いてもらうんですかぁ?」


「おう! 『魔族に輸送させろ』って国内の一般人に命令するだけだから問題ないだろ!」


 そういう問題じゃないんだよぅ! 商会の人達が王様の書状とそれを持った魔王様にビックリするんだようっ!


「ムーバーイーツは人手が欲しいからディメンションメンバーで行くぞー! コーディは店があるから留守番だな」


「……ムーバーイーツって食糧輸送の事ですか?」


「おうそうだ!」


「ネーミングに関してはもう諦めましたけど、無料なんですよね? 私達タダ働きですか?」


「系列店出店のためだ! 魔族がオルガと悪さしようとしてると勘違いされたら他国で出店できん!」


 ……やっぱりブラックだようっ! 鉱山奴隷の次は輸送奴隷⁉


「魔王様なんて……魔王様なんてぇ! 『漆黒の傀儡(くぐつ)使い』の二つ名を付けてあげますうっ! アレイル出張手当もくださいぃいいい! 今日だってお休みなのに働かされてますしっ!」


 魔王様名刺の資金くらいもらってもいいと思う!


「あん? ホストの帝王って意味か? ……しょうがねぇな、可愛い娘に小遣いをやるか」


 可愛い娘⁉ ……えへへ。


「魔王様! やっぱり魔王様は太っ腹です! 尊敬してます!」


「おう! 夜の世界でホストを操る俺様は『漆黒の傀儡(くぐつ)使い』だ! ニーナも俺のセンスが分かってきたみたいだな。嬉しいぞ、うん! 在住してる魔族みんなにも100万ずつやるぞ!」


 意味を勘違いしてるけど、魔王様がご満悦だからいっか! そして100万ディルゲット!


「じゃあパウリーんとこに行くぞ!」


「ぎゃぴっ⁉ か、看板の件ですか?」


「今日はすぐ終わるから安心しろ」


 違うんです! 生き残っているパウリーさん達の人数が安心じゃないんです!




 そして仕立て屋パウリーへ着いた。……どうかみなさんご存命でありますように……。


 カランコロン……。


 入口ドアの鐘が心地よく店内に響き渡った……つまり静寂……。店内を見渡すと誰もいない……まさか本当に全滅⁉


「パウリー! いないのかー?」


 魔王様が呼びかけると奥からヨタヨタとパウリーさんが出て来てくれた。

 よかった……生きてた……けど瀕死の重傷だ! そんなにラウンツさんの人口が増えるベビードールのダメージは継続効果が高いの⁉


「ま、魔王様……お願いです……お願いです……ウチを贔屓(ひいき)にしないでくださいぃ……ッ!」


「あん? 魔族だからなんか迷惑かけちまったか?」


「違います……ラウンツさんが……ラウンツさんが……ああああああああーーー‼」


 パウリーさんはガタガタ震えながらそう言った後、走って奥へ戻ってしまった……。


「ま、魔王様……魔王様のせいですよ……パウリーさん達全滅してるじゃないですかぁ! 人族への攻撃は禁止って言ってたのにぃ!」




パウリーさん達のご冥福をお祈りして7/27(火)はお休みします。

最初は名前も無いモブだったのに……ごめんなさい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔王様、とうとうホストクラブが本業と言ってしまいましたね!やった! そして、まさかのご冥福をお祈りされたパウリーさんで吹いてしまいましたw
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