2回目の決戦日 ラストオーダー合戦! 開戦
カリンさんのモエリブラックのコールが始まった!
ルフランさん、コールを2回に分けようとするラウンツさんとそれに乗っかったカリンさんを止められなかったんだろうな……。
でもついにルフランさんの快進撃が始まる!
「ニーナ一緒に観戦しようよ!」
「や、やだよぅ!」
アーニャに引っ張られて満面の笑みのルルさんにガシッと腰を掴まれ、無理やり観戦させられた……。
「「「さーディメンションのナイト全員集まったところで! 『オイ!』 乾杯の! 『オイ!』 準備! 『オイ!』 できた! 『オイ!』 ところで! 『オイ!』 コールいきまっしょーい! 『オーイ!』
素敵な 『素敵な!』 思い出を! 『思い出を!』 姫様! 『姫様!』 ありがっとーーーい! 『ソレソレソレソレ!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『イェイ!』 シャンパン! 『イェイイェイ!』 みんなで! 『みんなで!』 頂きます! 『ハイッ!』 『スリー、トゥー、ワン、GO! かんぱーーーい!』」」」
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「今月こそルフランがテッペン取るからっ!」
「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」
「前祝いで私が飲む!」
お、お客様のカリンさん自らビンダ⁉ なぜっ⁉
「バッ! やめろぉ!」
カリンさんがナイトさんから奪い取ったモエリをルフランさんが取り戻そうとしたが時すでに遅し!
カリンさんは立ち上がって勇ましく片手でシャンパンビンダしてる……。 ってか飲むスピードがナイトさんより早いぃ!
「「「……ご指名! 『ご指名!』 姫様! 『姫様!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」
「カリンちゃん飲んじゃったの……暴れないでね? グラス割らないでね?」
キキさんの意見には激しく同意だ。
「今日は酔いたい気分なの!」
酔っぱらい戦争はやめてっ!
「くすくす……しゅり、モエリブラックだってぇ~たった30万っ!」
「にゃふふっ! それでしゅり達に勝てるわけにゃいのにぃ~♡」
カリンさんに聞こえるようにそう言ったはみゅエルさんはカリンさんの戦闘能力を測り違えている……。
カリンさんの目の前に築かれたユニコーンらの城塞は飾りであって飾りでは無いのだ。
カリンさんは目を細め、はみゅエルさんに不敵な笑みを浮かべながらフルーツを摘んだ。
「「「いーよいしょ! 『いよいしょ!』 こちらも始まりました! 『始まりました!』 素敵な! 『素敵な!』 シャンパン! 『シャンパン!』 ぶち込んで! 『ぶち込んで!』 くれたのは! 『くれたのは!』 こちら! 『こちら!』 素敵な! 『素敵な!』 姫と! 『姫と!』 王子の! 『王子の!』 お席に! 『お席に!』 なんと! 『なんと!』 なんと! 『なんと!』 なーんと素敵な! 『なーんと素敵な!』 ジュエルブラック頂ました! 『ありがとうございます!』 ディメンション全員集合! 『集合ー!』」」」
「ニーナ! マーガレットさんジュエルブラックだよ!」
「うん、シャンパンだけはコーディさんが復唱したから卓番で分かってたよ。 50万だから看板はほぼ確定だね。 マーガレットさん……そんなに看板見たいの……」
「さすが私の魔眼審査を突破したイケオジだね! やるぅ!」
マーガレットさんの隣に座っているバレットさんを見ると、その目は完全に光を失っていた……。
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「わたくしどうしてもバレット様の看板を見たくってよ! 皆さまごめんあそばせ!」
ああ……マーガレットさんにここまで言われたら「内勤だから看板には載せない」とはできないよね……。
ナンバー11になるナイトさんのフォローが必要だ。
「次はマリンちゃんもジュエルブラックだよ!」
「うん知ってる。 アッシュさんが後ってことはバレットさん抜いたね」
「ニーナよくコーディさんが言った卓番覚えてるね! 楽しめなくない⁉」
「一応キャッシャーだもんっ! 楽しめなくていいよぅ……」
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「……アッシュはわたしがもらった」
……看板をって意味? 童貞をって意味?
「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」
「……ヴァ」
「私私‼」
「バッ! ……」
あああっ! カリンさんが飲みたがりになってるぅ! やめてぇ!
「「「ご、ご指名! 『ご指名!』 姫様! 『姫様!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」
……デジャヴじゃないのにデジャヴを見た。
ディメンションの中でカリンさんを止められる者はいない。 魔王様と一緒だ。 このお店の覇者はカリンさんでいいよもう。
そして次にシャンパンが開けられたのはルフランさんの席だった。 最終兵器セリーヌさんも投入! 同じくジュエルブラックだ。
「一瞬で消えるのに皆さんなぜ大金を……もう慣れたけど」
「ニーナ分かってないな」
魔王様が椅子にふんぞり返りながらチッチッチと人差し指を左右に振った。
「毎日念話したり店外デートしたり、その積み重ねた関係性と思い出や未来に客は金を払うんだよ。 夢を売る商売だって言ったろ?」
「な、なるほど……。 あれ? そう言えばセリーヌさん、先月のダルフィンより金額下がりましたね」
「今月通ってた分ですでに使ってるからもうジュエルブラックで限界だって! 来店した時にルフランくんに謝ってたよ!」
アーニャが教えてくれた。
「そもそも限界値が一般人のそれじゃないんだよぉ……。 そして大金を使うのに逆に謝るってどういう事なのぉ……」
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「縁起が悪いからナンバーワンおめでとうを言うのは後にするわ、うふふ」
普段おしとやかなセリーヌさんは相変わらず決戦日だけ挑発的だ。 非日常なこの空間だとアーニャみたいに封印を解くのかな?
「「「『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! っあーいやそれ!』 『ッハイ! ッハイ! っはいはいはい! ッハイ! ッハイ! ワンツーいやほい!』 た・の・し・いナイトの遊び方ァ!『ハウトゥー!』 す・て・き・なお酒を卸してよ! 『ギヴミー!』 愛・情・表・現飲めるならァ! 『OK!』 いくぜーディメンション! 『集合ー!』」」」
ついに来た! 飾りボトルのコール!
「ニーナ! アルディナちゃんの席だよ!」
「えっ⁉ もう⁉ まだルフランさんアレンさんネフィスさんの席でお酒入るよね? ミアさん4位⁉」
飾りボトルは内勤がボトル棚から直接運ぶからコールが始まるまで分からないんだよぅ!
ブランデーの飾りボトルの場合、キッチンの出番はアイスとミネくらいしか無いからコーディさんは復唱しないで念話で内勤にボトルの指示を出すのだ。
「アイス! ミネ!」
いつも敬語のレオさんですらラストオーダー中は最低限の単語しか発しない。
バックヤードへ来たと思った瞬間には疾風と化してフロアへ戻って行った。
……風魔法使えるようになってるんじゃないかな?
ミアさん……ナンバースリー維持できなかったのかな……。 先月より泣いちゃうな。
ミネ=ミネラルウォーター
まだまだまだまだ続くよ!




