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2回目の決戦日前哨戦! 前編

 今日は5週目2日、明日は決戦日だ!

 今日もメイリアさんと一緒にディアブロへ転移した。 メイリアさんはシアさんに昨日のお礼を言ってからエルドラドへ向かった。

 メイリアさんの体調は大丈夫そうに見える。 無理してないといいけど。


「メイリアさん、メイリアさんのユニークスキルって高級ポーションで治る位までの発動だと、どれくらいの範囲かルルさん教えてくれましたか?」


「……範囲に関する情報は聞いた……でもポーションは主に物理的損傷を治すもの……あの時私は広域展開により自分の魔法でダメージを負ったから、魔王様は治癒魔法も必要と判断した……」


「えっ⁉ 広域展開する時点でポーションだけじゃダメって事ですか⁉」


「……物理ダメージと魔法ダメージは違う……魔法ダメージはポーションじゃあんまり治らない……。 ……昨日は実験だから無理してみただけ……だからポーションだけで済めばいいけど……」


「メイリアさん……。 というかそもそもなぜ私達魔族に治癒魔法が効くんですか? 治癒魔法も聖属性ですよね?」


「……確かに魔族は聖属性の攻撃魔法に弱い……でも治癒魔法は特殊で、魔族でも一応効く……。 ……ただ物凄く気持ち悪くなる……身体が治りつつ同時に聖属性攻撃も受けるようなもの……シアさんにかけてもらったのが上級治癒魔法だったらまだ私は寝込んでいたかも……」


 そうなんだ、私は治癒魔法をかけてもらったことが無かったから知らなかった。

 確かに聖属性魔法は気持ち悪い。 アーニャがおネエの洗脳を解くとか言って魔王様に使った時に実感した。


「そうなんですね。 シアさんが初級しか使えなかったのは不幸中の幸いでしたね」


「……ん……だから魔族はほとんどポーションしか使わない……魔王様が国立錬金施設を作って下さった功績は偉大……」


 そういいながらメイリアさんは実験場の結界に入った。

 魔王様って魔界の発展にものすごい寄与しているんだな……ひっそりとまた忠誠心が上がった。


 メイリアさんは生い茂った雑草を土魔法で掘り起こし、亜空間にしまってから殺虫剤や小麦と何かの種を()いた。

 私の結界は昨日のメイリアさんのユニークスキルを防がなかったようだ。 「メイリアさんだけオッケーな感じ」にしたからかな。

 そばにある飛蝗(バッタ)用の結界を見たけどまだ孵化(ふか)していないようだ。


「そうだ、キキューの採集や運搬の手配はまだしなくていいんですかね? あ、まだ見積もりが出てないからいいのかぁ。 ……今日は私お仕事が無いのでお店に出ようかな」


「……多分魔王様は、変異種の実験が終わったら一気に動かすおつもりだと思う……覚悟しておいた方がいい……」


「ぎゃぴっ! うう……せめて決戦日だけは専念させてぇ!」


「……魔王様はその予定で組んでると思う……きっと決戦日が終わったら勇者探しと潜入……」


「ひぃ!」


 メイリアさんに先に聞いておいてよかった。




 そして今日は前哨(ぜんしょう)戦でお店が忙しくなりそうなので久々に出勤してみた。

 あ、ルルさんがフロアに洗浄魔法をかけてる。 メイリアさんの魔術式を作り終わったからお店に復活したのかな?

 私はバックヤードに行って売上表を見てみた。 ……ナンバー順位は変わっていないようだ。


「あっ! ニーナ! お仕事がいっぱいあってよかったね!」


「……何でだろう、クビって言われてないのにアーニャに呪いをかけたい気持ちでいっぱい」


「やめて!」


「あ、そういえばアーニャ治癒魔法あみ出せたりしない? ちなみに初級でお願い、それ以上だと反動が大きいんだって」


「あーメイリアちゃんの事は聞いたよ! でも私の聖属性魔法はなぜか効かないんだよね! まぁ今日誰か酔いつぶれたらちょっと試してみよっか!」


「きっと今日明日はヴァンさんが死ぬと思うよ」




 そんなこんなで早速ミミリンさんとララさんが来店した。


「ミミリン! もしかして……」


「明日の決戦日に来るのはカリンちゃんとマリンとキキだよ!」


「何でだよぉーーー! 俺今ナンバー4なんだよぉー! 決戦日にミミリンいなかったら絶対アレンとセシルがまくってくんだよぉー! 二つ名くれよぉおおおー!」


「よっ! 『絶倫の男根』!」


「せめて『ちんちん魔法』にしてくれぇーーー!」


「カリンちゃんとキキは負けられない戦いがあるらしいから諦めな!」


 ひぇ! 明日はみゅエルさんと対決する気⁉ やめてぇ!


「じゃあマリンちゃんと交代して来てくれよぉ!」


「マリンは看板のためにアッシュをナンバー10にしなきゃいけないんだって!」


「くそぉ~なんで俺の姫はみんな決戦日前日に来るんだ……」


「だってヴァンに『ちんちん魔法』以外の二つ名なんて似合わないし……」


 ヴァンさんとミミリンさんの会話は終始ちんちん魔法だ。

 ヴァンさんのお客様はみんなヴァンさんに二つ名を与えたくないらしい。 イジられキャラにはこんなデバフが……。

 というか、ミミリンさんが「二つ名もらえるように頑張るね!」とかってタイプじゃなくてよかった。 大金を使ったのに二つ名が『ちんちん魔法』のままだったら暴動が起きる。


「セシルくんごめんね。 マリンが看板だけは譲れないって……」


「大丈夫です、ララさんがいないからといって僕が負けるとでも?」


「セシルくん……っ! きょ、今日はヴァンを抜かそうね!」


「ちんちん魔法使いには負けません」


 セシルさんとララさんの会話も結局ちんちん魔法だった。




「ニーナ! アルディナちゃんが来たよ! 先月と同じで決戦日前の偵察だね!」


 アーニャに言われてミアさんの席を(のぞ)く。

 もう見慣れた光景だけど、アルディナさんの席にはシンデレラ一式とくまさんがドンドンドン! と並んでおりカリンさんに次いで風格がすごい。 今月は何の飾りを入れるんだろう……。


「ミアくんっ! このままナンバーワン取ろうね!」


「頑張るニャー!」


「看板はもう決まったようなものだし楽しみっ!」


「推しの顔面が街に……くっ! うかつに外を歩けないっ!」




 そして前哨戦が始まった。


「よし! じゃぁモエリ白から黒持ってきてー!」


「ミミリンありがと! マジ神!」


 ひぇ! モエリ白・赤・黒って事⁉ 60万プラス謎のサービス料で78万!


「始まったね! 音楽いっくよー!」


「「「いーよいしょ! 『いよいしょ!』 始まりました! 『始まりました!』 素敵な! 『素敵な!』 シャンパン! 『シャンパン!』 3色! 『3色』 ぶち込んで! 『ぶち込んで!』 くれたのは! 『くれたのは!』 こちら! 『こちら!』 素敵な! 『素敵な!』 姫と! 『姫と!』 王子の! 『王子の!』 お席に! 『お席に!』 なんと! 『なんと!』 なんと! 『なんと!』 なーんと素敵な! 『なーんと素敵な!』 シャンパン三発頂ました! 『ありがとうございます!』 ディメンション全員集合! 『集合ー!』」」」


「「「さーディメンションのナイト全員集まったところで! 『オイ!』 乾杯の! 『オイ!』 準備! 『オイ!』 できた! 『オイ!』 ところで! 『オイ!』 コールいきまっしょーい! 『オーイ!』

 素敵な 『素敵な!』 思い出を! 『思い出を!』 姫様! 『姫様!』 ありがっとーーーい! 『ソレソレソレソレ!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『イェイ!』 シャンパン! 『イェイイェイ!』 みんなで! 『みんなで!』 頂きます! 『ハイッ!』 『スリー、トゥー、ワン、GO! かんぱーーーい!』」」」


 ポンッ!


「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」


「ヴァン今日も(つぶ)れてね!」


「相変わらずヒデェ! でもありがと!」


「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」


「聞くまでもなくない⁉」


「「「ご指名! 『ご指名!』 ヴァン! 『ヴァン!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」


「「「まだまだ行くぞ! 『まだまだ行くぞ!』 ご指名! 『ご指名!』 ヴァン! 『ヴァン!』 モエリ赤! 『モエリ赤!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」


「死ぬ‼ 死ぬ‼」


「「「ラストー! 『ラストー!』 ご指名! 『ご指名!』 ヴァン! 『ヴァン!』 モエリ黒! 『モエリ黒!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」


「トイレーーー‼」


「逝ってら~!」


 うん、やっぱり今日ヴァンさん死ぬと思った。


「セシルくんっ! クリスタルハートだよねっ⁉」


「はい、行きましょう!」


 ぎゃぴっ⁉ ララさんそんなに使うの⁉ 80万プラス謎のサービス料で104万!




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