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卵狩り遠足

 今日は4週目3日、卵採りにアレイルへ行く日だ……やだよぅ! 私は見てるだけの簡単なお仕事でありますようにっ!


「よう! みんなおはよう!」


「おはー!」


「おはようコン!」


 ぎゃぴっ! 朝食中に魔王様がダイニングに転移して来た! キャロルさんとリサさんもいる。 なぜリサさんまで?


「あ、食ったままでいいぞ。 ちょっとメイリアとキャロル、リサ、ニーナを連れてアレイルに行って来る! 潜入楽しみだな~」


 は? え? 潜入?


「魔王様っ! 卵ですよねっ⁉ 今回はまだ街に潜入するなんて聞いてませんよ⁉」


「今決めた! ついでだ、ははは!」


「キャハハ! 魔王様ウケる! あ、みんなお土産何がいい?」


 あああああ! 魔王様とキャロルさんはノリで生きてるよぅ絶対!


「潜入⁉ 魔王様! 俺も行きたいです!」


「はいはい! 私もアレイルのイケメン見つけに行きたい!」


「アタシも行きたいわぁ☆」


 お兄ちゃん達前衛組がワクワクだ……。


「なんだお前らヒマなのか? じゃあ行くか!」


 ぎゃぴっ! こんな大所帯で行くのっ⁉ お兄ちゃん達が喜んでる……もう決定事項になっちゃったよぅ!


「ルルとコーディは留守番よろしくな!」


「任せてちょうだい」


「ディメンションはお任せください! 皆さんが他国へ進出した後のいい予行演習です、フフフ……」


 コーディさん……バレットさんレオさんジルさんだけでどれだけお店を回せるか試すつもりだ。




「よし、食い終わったか? じゃあ行って来る!」


 ぎゃぴっ! アレイルのどこへいくのぉおおお⁉ 心の準備がっ!


 ……着いた先は畑らしき場所だった。 足元にあるワラがぐっちゃぐちゃになっている。 ここは虫害があった場所?


「魔王様、もうアレイル⁉ イケメンがいないよ!」


「アレイルだ。 いきなり人のいる所に転移するわけないだろアーニャ。 メイリア、先に卵採るか?」


「……はい、問題ありません……」


 ひぇ! 卵っ! マッドサイエンティストの2人だけでやってぇ!


「メイリアー! 飛蝗(バッタ)の卵って土ん中じゃね? どやって探すー?」


 キャロルさんが早速しゃがみこんで地面を見つめている。


「……それらしきものを片っ端から……」


「おけ!」


 メイリアさんとキャロルさんが早速素手で土をまさぐっている……ひぃ!


「ギャー! 私は見学してるっ!」


「はぁ……卵の事忘れてた……女だけにやらせるわけにはいかねぇか」


「アアン! アタシ虫ちゃんはコワイわぁっ! でもしょうがないわネッ!」


「リサも手伝うコン!」


 お兄ちゃん達も探し始めた……。 しょうがない、私も探そう……しくしく。




 直接手で触れたくなかったので、土魔法で土を軽く掘り起こす作業をしばらくしていたらメイリアさんがもう終わったと言った。 あ、よ、よかった。

 卵がうじゃうじゃあったからすぐ終わったらしい。 ……決して探すフリをしていたわけじゃないからねっ! もっと時間がかかると思ってたんだよぅ!


「にしてもここら一帯の畑メチャクチャだな! よく見たらワラが虫食いだらけだぞ……」


「虫害の虫は紙とか小屋までかじるらしいよ! マジパないよねー! ウケる!」


 お兄ちゃんとキャロルさんが虫の被害について話してる。 こ、小屋までかじるってどういう事⁉


「あっ! ヴィッド蝶じゃん! 激レア! ちょっと採って来る!」


 キャロルさんが〈飛行〉でどこかへ旅立ってしまった……自由過ぎる。


 その間、みんなでアレイルの城下街にどうやって潜入するか話し合いながら、キャロルさんが帰って来るのを待った。


「おまたせ! 見て見て! 3匹も採れたしヤバい! 冬にしかいない珍しい蝶なんだよねー!」


 そう言ってキャロルさんが見せてきたのは……ひぃいいい‼ 両手以上の大きさがある蝶々だようっ!

 ってかそれ魔物じゃないの⁉ 原色でカラフルなその姿は思いっきり「危険です! 毒があります!」と主張しているように見える……。


「これ頭に付けたらバリ目立つし! マジ可愛くなーい?」


 すでにこと切れているのか、ピクリとも動かないヴィッド蝶なるものをキャロルさんが頭に添えながら「どぉ? 超エモくね⁉」などと感想を求めている……。

 すごく気持ち悪いです……。 キャロルさんの感性はわからないよぅ! そしてお土産にするらしい。 ……誰にあげるの?


「キャロルは昔のギャルかよ……」


 魔王様も呆れている。

 ギャルって若い子の事だよね。 昔? 古風って事かな? 魔物の蝶を付けるのが流行ったことがあるの? ……まぁいいや、絶対違うだろうから。


「リサ、先に虫害地域を調べるぞ」


 魔王様が仕切り直した。


「おまかせコン!」


「俺とリサで飛び回るかーどうすっかな」


 あ、リサさんには千里眼があるから連れて来たんだ。


「魔王様には魔眼がありますもんね。 虫害の地域が分かるんですか? 魔眼ってどういう風に見えてるんですか?」


 魔王様に聞いてみた。


「千里眼と魔力感知を足したようなもんだ。 何となくわかるんじゃね?」


「さすが魔王様、ちーとですね」


「チート言うなニーナ! お前らも調べて来い! メイリアとキャロルの二手に分かれろ」


 魔王様によるとここはアレイルのど真ん中らしい。 とりあえずみんなで上空に飛び上がった。

 ……どこからどこまでが虫害のあった地域か全然見分けがつかないよぅ!


「メイリア、肉眼で分かるか?」


「……すみません……無事な畑との明確な見分けが付かないと思います……冬なので、種まき後なのか麦踏み後なのか虫害で放置されているのか……」


「リサも分からないコン!」


「……俺の魔眼でもよくわからん!」


「ええっ! まっ魔王様ぁ! さっき魔眼で見えるって────ぎゃぴっ!」


 魔王様にほっぺをつねられたっ!


「どうすっかな~! 俺が分かんないんじゃ魔力感知も役に立たないな……」


 ……やっぱり私が来た意味無かったよぅ!


「あっ! 村だ、村を探せ。 集音魔法で村人の話を聞けばその地域で虫害があったかわかるだろ。 農民には死活問題だからな、絶対に虫害の話をしているはずだ」


「あ……なるほどですね。 魔王様の着眼点は流石です」


「魔王様あったまいい~!」


「魔王様パない!」


 私達みんなに褒められて魔王様は得意顔だ。




 そして配置が決まった。 魔王様は魔眼と転移でちーとができるので一人で南側担当。

 魔力感知が得意な私は、村人を探すためにメイリアさんとお兄ちゃんと北西を飛び回る事になった。

 キャロルさんグループは北東、千里眼を持つリサさんが一緒に行くらしい。


「お兄ちゃあん……もし人族に見つかったら騒がれるよぅ!」


「上空まで上がれば見えない。 メイリア地図描くんだろ? 先導してくれよ!」


「……ん……」


 メイリアさんはアレイル北西を右回りにぐるりと調べるみたいで、まずは西方向へ向かった。 ちなみに西にはアレイル都市があるらしい。


「……ニーナ……町や村の場所を教えて……」


 お兄ちゃんとメイリアさんはあんまり遠くまで人族を感知できないらしい。 よぅし! メイリアさんのために頑張るぞー!


 垂直と真っすぐにしか飛べない私は2人の足を引っ張りながら何とか付いて行く。

 魔力感知をしながら飛んでいるうちに人の気配がしたのでメイリアさんに伝え、近づいて行くと遠くに村らしきものが見えたので上空で止まった。


「……ニーナ……上空からでも聞こえる?……」


「集音魔法は毎日嫌でも使っていましたから任せてください!」


 はみゅはみゅを聞くのに比べたら簡単なお仕事だ! 〈集音〉っと。




 ……はみゅはみゅなんて平和の象徴でしかなかった。




6/29(火)は夜更新です。

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