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オルガ軍の査察

いつも読んでくださってる方ありがとうございます!

 魔王様との念話が終わったあとは、軍が来るのに備えて色々と準備する事にした。


 人界のお金の単位はディルというらしい。 10ディルで9ルインくらいなんだって、人界のお金の方がちょっと安いと覚えておけばいい。


 まずはポーション類や救援魔道具の価格を決めた。 救援魔道具は軍が来たら無料で渡そうということになった。 お試しサービスってやつだ。


 本来なら1万ディルを保証金として預かって、使わずに返却されたら半額を返す仕組みだ。 10階層以降も解放するようになったら値段を上げるらしい。


 あとこのダンジョンの売りとして、スタンピードが起きても私達が殲滅(せんめつ)するので、救援魔道具や地図、魔物情報と合わせて「安心・安全なダンジョンです!」と(うた)うらしい。


 ダンジョンなのに安心安全っておかしい気がするけど……魔族のアピールのためだ仕方ない。 人界征服への道のりは険しいな。


 そして1つの問題に気付いた


「……このダンジョンの名前はどうするのかしら?」


「はい! ディストピアとかナイトメアとかどうかな⁉ 暗黒世界、悪夢って意味だよ!」


「アーニャ、それじゃ人族が怖がるだろ」


「カッコイイのに!」


「カッコイイけどさ……」


 お兄ちゃんも厨二病なのかな?


「ルルさん魔王様に聞いてみたらどぉ?」


「そうね、念話してみるわ」


 ルルさんが魔王様に念話したところ、ディアブロにでもしとけとの事だった。 悪魔という意味らしい。


 アーニャの案とほとんど変わってないよ! 魔王様も厨二病なの⁉

 そういえば魔王様、冬にドアノブがバチッとしたら「チッ……結界か……」って言うのが厨二病上級者だって言ってたな……魔王様は上級者なのかな。


 お店の建物の上部に「ディアブロ」と彫り込んで、準備バッチリだ!




 そういえば軍はいつ来るんだろう? と思って魔力感知したら大勢の魔力が近づいて来ていた。


「あ! もう軍が来ますよ!」


 みんながお店の中に入って少し待つと、ガサガサッとけもの道をかき分けて沢山の軍人さんがやって来た。


「……本当に店がある」

「あれがダンジョン入口か?」


 あの偉そうな人を先頭にしてお店へと近づいて来た。 やっぱりお偉いさんだったみたい、装備も違う。


「一応名乗っておこう、ライオットだ」


「リーダーのラウンツよ。 よろしくねっ」


「あ、ああ。 早速だが調査だからな、店で販売している物を説明してもらおう」


 ルルさんがすいっと前に出て説明する。


「フン、わかった。 救援魔道具というのは斬新(ざんしん)だな。 だがスイッチを押したら我々が爆発したりしないだろうな」


「そんな事をするつもりなら、その前に今ここで殺せますわ」


「確かにな……だがダンジョン内なら魔族の仕業と分かりにくい」


 ああ! もう! 信じてよぅ!

 するとメイリアさんが並べてある救援魔道具の全部のスイッチを押した! 軍人さん達がビクッとなる。


「……こっちで音が鳴るだけ……」


「あ、ああ……そのようだな」


「……ポーションも疑うなら私が飲む……」


「……とりあえず我々の力だけで中へ入ってみる。 では」


 そう言ってダンジョンへと入っていった。 30人くらいはダンジョンの外で待機するみたい。


「メイリアさんのおかげでちょっと疑いが晴れたよありがとう! でもせっかくみんなが用意してくれたのに何も売れなかったね……」


 しょぼんだ……。 ちょっと涙が出てきた。


「……気にしない……」


 メイリアさんが頭をなでなでしてくれるので余計に涙が出てくる……。




「魔族が泣いてるぞ」

「1日で頑張って用意したんだな。 可哀想になってきた……」

「本当に店をやりたいだけなのか……?」

「……なあ、野営になるかもしれないから広場を拡張しないか?」

「これから冒険者が来るならどの道必要だな、やるか」


 ぐすぐすと泣いてたら、なんだか軍人さん達が騒がしい。


「アタシも手伝うわよぉ!」


 広場を見ると、軍人さんとラウンツさん達男性陣が木を切り倒していた。


「みんなが広場を拡張してくれてるよ! ニーナも行こうよ!」


「あっ、引っ張らないでよアーニャ!」


 無理やり広場に連れてこられた。 切り倒された木が散乱し、切株がたくさんだ。


「あっ、ニーナちゃん! 昨日みたいにお願いできないかしらっ!」


「あ、はい、いいですよ」


 切り倒された木を空間魔法で遠くへ投げ飛ばし、切株も昨日と同じ要領で引っこ抜いてあっちへポイ。 仕上げに土魔法で地面をならして、ちょちょいのちょいだ。


「すげぇ……」

「魔族の魔法初めて見た……」

「どんだけ魔力があるんだ?」


「ねぇあなた、なんで人界に来たの?」


 ひぇっ! 女性の軍人さんが私に話しかけてきた!


「ええええっと、まっ!街で酒場を開きたいんでしゅ……」


「酒場?」


「は、はいっ。 人族と仲良くなって、人族のイケメンさんを雇うんです」


「イケメン……? ちょっと詳しく教えてちょうだい!」


「はい! イケメンの話ならまかせて!」


 ほっ……アーニャが話を代わってくれた。

 女性軍人さんはアーニャの話に目を輝かせて聞いていた。 この人もイケメン好きなのかな?


「恋物語のお店……面白そうね。 兄さんに言っておくわ。 あ、ライオットの事よ。 私はベルラ」


「魔界では大繁盛だよ! 私はアーニャでこの子はニーナ、よろしくね!」


「よろしくね。 さっきは泣かせちゃってごめんね。 兄さんは疑うのが仕事だから……。 何となくあなた達は大丈夫そうな気はするんだけど、どうしても昔の魔族のせいでね」


 ……魔王様ぁ!

 でも昔人界征服をはやしたてたのは周りの魔族だからなぁ。


「ま、魔王様は人族と仲良くしてお店を出せって言ってました」


 ひそかに人界征服するのは内緒だ。 誰も殺さないしいいよね?


「魔王が? ……私達と交流を持つ方へ方向転換したということかしら」


「そうだよ! ホストクラブでみんなハッピーになれるんだって! 人族への攻撃は禁止されたよ!」


「そう……それが本当ならもう魔族に怯えなくてよくなるかもしれないわね」


 こういう時は裏表のないアーニャがいてよかったなと思う。




 私達とオルガ軍がそれぞれ野営の準備をし始めた頃、ダンジョンからライオットさん達が帰って来た。


「ベルラ! 秘薬は持ってきてないか⁉」


「持ってきてないわ! ……まさか⁉」


 ひぃ! 腕を引きちぎられてる人がいる!




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