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アーニャのお手柄

「魔王様ぁ……アレイルとお話なんで出来るんでしょうか?」


「ん~……交渉のカードが欲しいな、アレイルの事を調べるか。 卵を採りに行くしちょっとアレイルの城下街にも行ってみようぜ!」


「ぎゃぴっ⁉ なんでまたそういう突飛な事を思いつくんですかぁ! もっとコッソリしましょうよぅ!」


「コッソリすればいいんだな? よし、コッソリ城下街に潜入だ!」


「そういう意味じゃないですぅ!」


 なんで男子って潜入とかが好きなのっ⁉


 魔王様は「卵を採りに行く時期が決まったら教えろ」と言い残し1階へ降りて行った。 もうすでにディメンションの営業は始まっている。 私は見積もり作成の続きをしよう。


 ……お仕事ができてアーニャにバカにされなくなるのは嬉しいけど、どんどん話が大きくなってきてるよぉ!




──────────────


 翌日、今日はお休みだ!

 前衛組はいつも通りダンジョンへ行くらしいので、ルルさんコーディさん以外のみんなでディアブロへ。

 コーディさんはディアブロの経営が落ち着いてきたので行く頻度が下がったようだ。


「あー寒い! ディアブロからダンジョンの中に行く間だけ寒いんだよね!」


 アーニャが外の寒さに文句を言ってる……。 転移陣があるだけでも有難いのに。


「なあメイリア、俺らもメイリアのユニークスキル見てみたいんだけど付いて行っていいか?」


 お兄ちゃんがメイリアさんに話しかけた。


「……ん……」


「アラッ! 楽しみネッ☆ アタシはユニークスキルが無いから(うらや)ましいわぁっ!」


 ラウンツさんには〈馬鹿力〉と〈おネエ〉っていうユニークスキルがあると思う。 物理攻撃も精神攻撃も最強だ。


 みんなで1階層へ入った時にアーニャが言った。


「あーあったかい! ダンジョン内はいつも春だよね! あ、秋かな?」


「エルドラドは住みやすいよな! でも季節が無いのに畑って育つのか? あ、でもキャラリアでは────」


「春っ‼ 春だ‼」


 メイリアさんが叫んだ! えっ⁉


「ニーナ! 春だよ! 卵が孵化(ふか)する!」


 メ、メイリアさんがハキハキしゃべってる! ただ事じゃないらしい! 私のローブをくいくい引っ張っている。


「えっ? ふ、孵化(ふか)?」


「エルドラドなら卵が自然に孵化(ふか)する! アーニャありがとう!」


 突然大声で話し出したメイリアさんにみんなビックリしている。


「なんかよくわかんないけどどういたしまして!」


 メイリアさんの話によると、飛蝗(バッタ)の卵は気候が暖かくなれば勝手に孵化(ふか)するらしい。 だからエルドラドに持ってくれば時間操作魔法は不要だと。


「なるほど……メイリアさんやったね!」


「……うん!……」


 リサさんのお家へ向かう道中でメイリアさんがお兄ちゃん達に突然変異種の実験の話をした。 みんなやっと合点がいったらしい。


「卵採りは誰が行くのかしらぁ?」


「ギャー! 私は行きたくないっ!」


「俺も卵は気持ちわりぃぜ……」


 あ、そっか……魔王様なら誰かを一緒に連れて行って「じゃあよろしく! ははは!」って言いそうだ。 私は連れて行かれませんようにっ!


 リサさんから名刺を受け取って、2階層の実験場まで来た。

 みんなメイリアさんのユニークスキルを見て目を輝かせている。


「ねぇメイリアちゃん! 詠唱は無いの⁉」


「……無い……」


 メイリアさんにキッパリと言われたアーニャが「えーせっかくのユニークスキルなのにー! 私が考えてあげよっか⁉」と言っている……ありがた迷惑だ。 絶対アーニャが温めてきた厨二詠唱が火を噴くよぅ!


 そして人面トマトを見た前衛組3人は満足して火竜さんとの訓練へ向かった。 ……まだ60階層出来てないのかな? 火竜さんが辞表を出すのは時間の問題だ。


「……ニーナ、ディアブロに行くけど来る?……」


 メイリアさんに気を使われてる⁉ しくしく。


「はい、行きます」


 私は魔王様に情報収集を頼まれているのだ! ちゃんとお仕事があるのだ!




 ディアブロのお店へ戻って来た。

 メイリアさんがキャロルさんにエルドラドで卵を孵化(ふか)させる作戦を話した。


「あーっ! 盲点だった! 灯台もと暗しってヤツ⁉ メイリアに負けたし! やるじゃん!」


「……アーニャのおかげ……」


「じゃ早速魔王様と卵採りに行くの?」


「……これから相談する……」


「あたしも行きたいなー!」


「……伝えておきます……」


 ぜひぜひメイリアさんとキャロルさんの2人で行って来て頂きたい!


 そしてキャロルさんとシャナさんの雑談が始まったあたりで私とメイリアさんはそっとおいとました……。




 自室へ戻りベッドに横になった。

 今日はもうやる事が無いなぁ。 見積もりは新しい情報が無いとこれ以上書けないし。 卵の件はメイリアさんが魔王様に念話する。 あ、そういえばもうすぐ決戦日だ、仕立て屋パウリーの看板に載る10人が決まる。 あとは……姿絵の納品がもうすぐ、次の発注のために在庫を確認しなきゃ……。


 気付けば夜になっていた。 ……しまった、寝ちゃった。 せっかくのお休みがぁ! もう寝れない……あああああ!




──────────────


 朝方何とか寝て、メイリアさんがドアの下の隙間から伸ばしたツタで体をくすぐられ起きた。

 ……大きな声を出して起こすのは嫌だったらしい。 起こしてくれただけありがたく思おう。


 そして今日もメイリアさんとエルドラドへ行ってディアブロに戻って来た。

 キャロルさんシャナさんと4人でテーブルを囲む。


「……魔王様が明後日アレイルに行くって……」


 えっ⁉ 早い!


「マジ⁉ メイリア! あたしは行けんの⁉」


「……ディアブロが大丈夫ならいいって……」


「そんなこともあろうかとポーションの在庫はバッチリだよ! シャナさんとシアさんに薬草買取は任せたし!」


「私も行きたいですけれどお店があるから仕方ないですわ」


「……あとニーナも……」


「ぎゃぴっ⁉ やっぱり⁉」


「……役に立つって魔王様が……」


「……魔王様、正確には『色々便利だし! ははは!』って言ってませんでしたか?」


「…………」


 無言の肯定!


「虫の卵はメイリアさんの亜空間に入れてくださいね⁉ 絶対ですよ⁉」


「……ん……」


 その後、キャロルさんがおじいさんから仕入れてくれた魔界のキキュー群生地域の情報をもらったので、私は自室に帰って見積もりに手を加えた。




 そして翌日、4週目2日は姿絵の納品があったのと、見積もりがいったん落ち着いたのでディメンションに出勤してみた。


 ……おかしい。 売上表がおかしい。 何でえええええ⁉




6/26(土)はお休みします。

次回! 「ナンバー途中経過!」

決戦日までのナイト達の売上推移の計算が大変なんです……φ(:3」∠)_

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