☆はみゅはみゅイベント♡
今日は疲れてるからはみゅはみゅを聞きたくないのにぃ!
「アレンきゅんっ! 騎士服かっこいい~! さすがみゅうのデザイン~☆」
「うん、ありがとう! ナンバー5は全員騎士服を仕立てたんだよ」
「え? あ、ほんとだぁ~! でもみゅう達の騎士服が一番っ☆」
「ホントだにぇっ♡ ……ねぇアレンきゅん、ネフィスきゅんまだぁ?」
「ネフィスは今席を回ってるからもうちょっと待っててね」
「むぅ…………あっ! あの席ネフィスきゅん指名だぁ! しゅりのネフィスきゅんなのにぃ〜!」
キキさんの事だ。 うちのお店はダンスのためのホールが一般席のど真ん中にあるからソファは壁沿いに設置されている。
一般席同士とVIP席同士はお客様が丸見えなんだよぉ……。 今までキラキラミミマカリンさんとはみゅエルさんは来店時間帯がすれ違ってたから被らなかったのに。
「シュリエルちゃん! とりあえずネフィスが来るまで僕とお話ししよ! 今日も可愛いね、新作のお洋服?」
「…………」
「…………」
ひえぇ……はみゅエルさんってアレンさんネフィスさんとしか話さないんだよね。 ヘルプのアッシュさんがアセアセしてるよぅ!
「魔王様ぁ……なんで被り丸見えの配置にしたんですかぁ?」
「被りがバレバレの方が嫉妬心を煽れるからだ! わざとだ!」
「魔王様はえげつないね!」
ええ……アーニャの言う通りえげつないよぅ!
「ネフィスきゅんまだ来ない…………ねぇみゅう、あの子達の服下品じゃなぁーい?」
「……きゃははは☆ 下品ー! みゅう達はあんなの着なぁい!」
ぎゃぴっ⁉ はみゅエルさんが大声でキキカリンさんを「下品」って言っちゃった! 確かに2人はいつも露出度の高い服を着てるけどっ!
もう冬なのに上着を脱ぐとなぜか薄着なんだよね……。
「みゅう……しゅり……プリンセスにそんな言葉は似合わないよ……」
アレンさん何とかしてぇ!
「ぷーんだ!」
「ぷんなのだ!」
キキカリンさんを見ると……凍ってる! バッチリ聞こえてる!
ひぃいいい! 勘弁してよぉおおお!
「……は? なにあのブス」
ほらぁ! カリンさんが怒ったよぅ! 目と声が据わってる! 怖い! グラス投げるのだけはやめてっ!
「カリン気にすんな。 お前が一番美人だ、服も似合ってる」
「キキ、カリンちゃんわりぃ、アレの躾がまだ終わってねんだ」
ルフランさんネフィスさんカリンさんを鎮めて!
「う、うん……カリンちゃん! ゲロデブスの言う事なんて気にしないで! 私の被りだから嫌味言ってるだけだよ!」
キキさんまでサラッと「ゲロデブス」って言ってるぅ! 2人共怒ってるよぅ!
ってか「ゲロデブス」って何っ⁉ デブでブスの最上級形⁉
確かにはみゅエルさんはぽっちゃりしてるしお世辞にも可愛いお顔とは言えない……。
真っ白に塗られた顔に鼻ぺちゃ、シジミみたいな目は子供が炭でぐりぐりしたかのように真っ黒に縁取られ、そしてまつ毛は生えてるんじゃなくて描いてある……。
前に怖いもの見たさで目を身体強化して細部まで観察してしまった時は後悔した。 エタフォ案件寸前だった。
悪魔達のきわどいメイクの方がまだ絵心があるよぅ!
はみゅエルさん、可愛いのはお洋服だけなんだよね……。
「あ~ムッカツク〜‼ ルフランッ! モエリ白!」
「マジかよ! やめてくれ……!」
「ダメッ! ラウンツさーん! モエリ白ーーー!」
「バッ! カリンやめろぉ!」
なんかカリンさんが叫んでる……。
「はぁ〜い! かしこまりましたっ☆ 素敵な素敵な姫よりモエリ白頂きましたァー!」
「「「アッザース!」」」
「〇〇頂きましたァー!」の声でナイトさん達が「アッザース!」と言うのはもはや条件反射だ。
ラウンツさんがニコニコしてる……確かにシャンパンはお店的に嬉しいけどなんかマズイ予感がっ!
「魔王様ぁ! カリンさん何する気なんですか⁉」
「ははは! 姫の一言で殺す気だな! いいぞーやれやれ! シャンパン合戦しろ!」
「ぎゃぴっ⁉ 姫の一言じゃフロア中に聞こえちゃいますぅ!」
「それが姫の唯一の権利だからな! 金で買ったカリンは立派なホス狂いになったな〜! 俺は嬉しいぞ!」
そんな子供の成長を喜ぶかのように言わないで⁉
「魔王様の予言通り痛イベント発生だね! カリンちゃんはイベントの時こそ輝くね!」
そんな予言いらなかったよぅ! 魔王様もアーニャもイベント発生を楽しんでる……もうイヤァアアアアア!
そしてお兄ちゃんがニヤニヤしながらシャンパンを取りに来た。
「お兄ちゃんっ! なんとかして! 姫の一言は無しにしてぇ!」
「ぶはははは! 無しにするわけないだろ! 俺はカリンの味方だぜ!」
ひぃ! ダメだこの店っ!
アーニャがウッキウキで音楽をかけ、シャンパンコールは始まってしまった……。
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
「なんかゲロデブスがブヒブヒうるさいんだけど私より高い酒入れてから喋ってくんない?」
ひいぃ! また暴走化カリンさんだっ! カリンさんの目の前にドドン! と置かれているユニコーンやフュリコ、シンデレラ達が城塞のようで眩しいっ!
はみゅエルさんは「みゅ?」「はにゃ?」とか鳴きながら段々顔が真っ赤になってきてる……気がする。 白塗りで分からないけど。
「「「ア……アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」
「ネフィスいつから養豚場始めたの? 臭くない? 酒で消毒しな」
そこまで言っちゃったぁあああ! はみゅエルさんの顔がオークみたいになってるよぉ!
「「「ご、ご指名! 『ご指名!』 ネフィス! 『ネフィス!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」
アレンさんが猛ダッシュではみゅエルさんの席に戻ってる! アレンさんー! 頑張ってー!
「カリン……俺は知らねぇぞ……とりあえずネフィス死んだな」
ルフランさんははみゅエルさんの直接的被害が無いもんね。 問題は被ってるネフィスさんだ。
「……うおぉ……」
あのオラオラのネフィスさんが手で顔を覆い唸ってる……。
「ネフィスごめんね!」
「でもスッキリしたね! カリンちゃんありがとう!」
キキカリンさんは落ち着いたみたいだけど……あああ! やっぱり! はみゅエルさんがジュエル白って叫んでる!
「ブヒエルちゃん鳴いてるね~!」
「アーニャ失礼だよぅ!」
「「「アッザース!」」」
ひぃ! ナイトさん達がお礼を言ったって事はジュエル入った!
「ニーナ! ジュエル入ったぞ!」
バックヤードのカーテンをジャッ! と開けてキラッキラ☆笑顔のお兄ちゃんが入って来た!
「お兄ちゃんが率先して取りに行ったね⁉ なんてことするのぉ!」
「あははははぁぁぁぁぁーーー!」
シャンパンを受け取ったお兄ちゃんは笑い声をこだまさせながらホールへ戻って行った……。 地 獄 が 始 ま る……。
「あっ! ニーナ、アンナちゃんとルナちゃんが来たよ!」
「ぎゃぴっ⁉」
絶対ディアナさんが面白がって呼んだ! 頼むから参加しないでね⁉
今まではみゅエルちゃんをロリ美少女で脳内変換していましたか?
残 念 ! あははははぁぁぁぁぁーーー!




