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名刺作成!

「ドルムー! 名刺だ!」


 ドルムさんが奥からバッ! と顔を出した。 ドルムさんはいつもこうやって出現するな。


「待っておったぞハイド! ほれ、こっちで選べ」


 ドルムさんがカウンター奥のテーブルへと案内してくれた。

 そしてドブグロのドワーフさん達が薄くて小さい金属板を1枚1枚テーブルに並べ始めた……いつの間に試作品を。


「おいドルム! なんだこの金ピカは! まさか純金じゃないだろうな⁉」


「フフン! 純金じゃ! どうじゃ豪華じゃろう?」


 ド、ドルムさんの美的センスは素材ありきだ……。


「あのなぁ! 純金じゃ原価が高すぎる! ってかそもそも金粉を埋め込むんだから元が純金じゃただの金の板になるだろうがっ!」


 魔王様の言う通りだ……。


「む、そうじゃったの……」


「確かに()びにくいやつって依頼したけどよ……。 一番安いのはどれだ? いくらだ?」


「これじゃ、1枚500ディルじゃ」


 ドルムさんが銀色の金属板の中からひとつを指した。


「……絶対500ディルじゃ足らねぇだろ! それ素材代だけだろ⁉ 加工代も上乗せしろよ!」


 ドワーフさんも純粋だ……。 自ら値段を上げるくらい魔王様が心配してる。


「お? おお…………いくらじゃ?」


 あっそうだった! ドルムさん達はお酒換算でしか値付けが出来ないんだった!


「知るか!」


 その後、魔王様がドルムさんとお話をして、170枚一気に作るのにどれくらい時間がかかるなどを聞いて値段を決めた。

 金粉の素材代と加工代もあるので1枚2000ディルになった。 これでも破格のお値段だと思う。


「リサが使う金属ペンもよろしくな!」


「うむ、任せるのじゃ」


 ドルムさんにも先にお支払いをしてドブグロを出た。


「よし、ニーナお疲れ! もうダンスの時間だな!」


「あっ! もうそんな時間ですか?」


「おう、お前1人だったら今頃まだ本屋で茶をすすってるな」


「うう……」




 そしてディメンションへ転移するとナイトさん達が出勤してきた。


「ぶはははは!」


「くそぅ……」


「ヴァン笑わないでよ……」


 あ、ヴァンさんルフランさんアレンさんだ。 お兄ちゃんが話しかけてる。


「何でヴァンは爆笑してんだ?」


「レイスター聞いてくれよ! アレンとルフラン、街の子供から『あっ! 螺旋(らせん)階段だ!』とか『放火魔ー!』とか呼ばれてるんだぜ!」


「ぶはははは! それは笑う!」


「やめろよヴァン! くそー! 俺が本物の放火魔みたいじゃねぇか! 憲兵に捕まったらどうすんだ!」


「僕は螺旋階段でまだよかったよ……」


 おおう……ルフランさんが放火容疑で逮捕される日は近いかもしれない……。


 そして着替え終わったナイトさんの一部が新しい騎士服を着ていた。 ナンバー5陣だ。


「アラッ! ルフランちゃんたち騎士服出来上がったのネッ⁉」


「そうです、どうですか? ラウンツさんから見て」


「イイわぁっ! 目立ってるわよっ☆」


「僕もアンナ達に作ってもらったニャ! カッコイイかニャ?」


「ミアちゃんもすごくイイわよぉっ!」


「やったニャー!」


「いーなー! 俺も作ろっかなー!」


 ヴァンさん達ほかのナイトさんが(うらや)ましそうに見ている。


「その前に金のかかる件で話があるからとりあえずダンスの練習しろー!」


 魔王様のお声にみんなハテナ顔をしたけどダンスの練習を始めた。 何だろ?




 そしてダンスの練習と昼食が終わり、営業前のミーティング開始だ。


「えっとな、名刺を作るぞー! こういう薄くて小さい板に姿絵と名前を彫る」


 そう言って魔王様がドルムさんから借りてきた手のひらより小さい金属板を出して、姿絵名刺の説明を始めた。

 ナイトさん達は首をかしげている。


「んで何に使うかだけど……説明が難しいな。 まあ太客とかに配れ! あとは指名くれたらあげるとか、営業に使え!」


 ナイトさん達は姿絵を想像したのか、ほうほうと(うなず)きはじめた。


「んで、これは1枚2500ディルするから10枚単位で注文を受けるぞ。 給料から天引きの自腹だ!」


「えっ⁉ た、高いっす……売り物にしないんですか?」


 お金のかかる話ってこれか!


「売り物なら姿絵があるからな。 そもそも名刺は売りもんじゃねぇ。 って言ってもわからないか。 要は客へのプレゼントだ!

 考えても見ろよ、客にプレゼントするっていったら何が思い浮かぶ? アクセサリーとか食いもんだろ? 名刺ならこの世に1つしかない! 1枚1枚手書きだ! そしてな、フッフッフ……」


 魔王様がナンバリングとそのプレミア価値の話をしたらナイトさん達の目の色が変わってきた。

 ……魔王様って悪徳商法でも儲けられそうだな。 しないけど。


「アレンとかルフランは作るだろ?」


 ってか魔王様、すでにリサさんにアレンさんの分から作るように言ってあるし……。


「そうですね、プレゼントと考えれば安いと思います。 30枚お願いします」


「アレンが作るなら俺も作るわ」


 やはりアレンさんルフランさんは売れっ子なだけあって決断が早い。 すでに配るお客様が頭の中に浮かんでいるんだろうな。

 そしてそれを見越していた魔王様はいつもどこからその自信が来ているんだろう? 謎だ。


 で結局、「2万5千ディルなら試しに……」とみんな作ることになった。

 ……バレットさんまで。 マーガレットさんが震えながら喜ぶ姿が目に浮かぶ。


「ナンバー0は記念で自分用にとっとけ! それにしても新しい騎士服いいな! こうやって個性を出していくのも大事だぞー! みんなで頑張ろうな!」


 という魔王様のお声でミ-ティングは終わった。




 さぁ営業開始だ! 今日は本の件で色々な所へ行ったから疲れたよぅ!


「新しい騎士服いいね! キラキラカリンちゃんがルフランくん達にメロメロだよ!」


「今日も元気だねアーニャ。 うん、かっこいいね」


「もー! ニーナ元気ないね!」


「製本と名刺の件で大変なんだよぅ!」


「お仕事が出来てよかったじゃん!」


 くっ! 何も言えない!




 そしてしばらくは、ローテで来たディアナさんがミアさんの騎士服に(もだ)え死ぬといういつも通りの営業をしていた。


 でも今日はキキさんカリンさんが長くいる。 ララさんだけ先に帰った。 2人はお仕事お休みなのかな?


「あっ! はみゅエルちゃんが来たよ!」


「ぎゃぴっ! 今日も⁉ 今日は疲れてるからはみゅはみゅを聞きたくないよぅ!」




 そしてまさかはみゅエルさん自らイベントを起こすなんて、この時の私には予想出来なかった……。




明日6/12(土)はお休みします。

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