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印刷所!

「おーいブブゼ! 早速追加の注文だ!」


「おお、もう売り切れたのか?」


「いや、本にして売る事になった。 まあ姿絵だけでもすぐ売り切れそうだけどな。 ニーナ」


 ひぇ! 魔王様がまた「交渉しろ」と目で訴えかけてきてるぅ!


「本にするのか、売れるのか?」


 ……よぅし、ブブゼさんを魔王様だと思って……。


「はい! 売れます! うちのお客様はお金に余裕のある方ばかりですから!

 それでですね、100冊作るので100枚ずつ追加で刷ってほしいんです。 あと、姿絵単品も追加注文するので1枚800ディルでお願いします!」


 今は1枚850ディル、プラス急ぎの料金で950ディルだ。


「う~ん? 製本するなら1枚1枚住所とかいらないだろう? そうすると1人2種類刷ることになるから値段は変えられんな」


 あうっ! そうだった。 しかもベロニカさんに奥付、つまり発行者や発行日などを記載したページも頼まれてた!


「そうですか……ちなみに製本するから奥付も必要です……」


「奥付くらいなら100枚8万ディルでいいけどなぁ」


「あ、あの……急ぎの料金無しならおいくらですか? 前回の倍発注するので……。 納期はいつですか?」


「結局100枚単位だから8万5千ディル、納期は1週間だ」


「そうですか……」


 金額は変わらなかった。 でも人気の4人の姿絵が売り切れるまでにギリギリ間に合うな。

 これで魔王様納得してくれるかなぁ。 これ以上は何も思いつかないよぅ!

 またチラリと魔王様の顔色を(うかが)うと魔王様は真剣な顔をしていた。


「まあ印刷代の値引きは難しいよな。 ニーナお疲れ」


 ほっ。 今回もギリギリ合格点だったようだ。


「ブブゼ、製本用の活字印刷は名前だけでいい、納期も後回しで1ヶ月以内でいい、これなら100枚8万ディルでどうだ?」


「ふむ、手間のかかる活字がほぼ無くなるし、仕事が暇な時にできるから8万3千ディルでどうだ」


「なるほどな。 じゃあ今まで通りの姿絵、つまり名前と店名、住所が書いてあるやつは17人分で合計3千枚発注するから、これは1枚800ディルにしてくれよ」


「3千枚?」


 ひぇ! そんなに売れるのっ⁉


「おう、3千枚。 大口取引だろ?」


「ううむ……しかしな、実際は17種類だからやはり1枚830ディルだな」


「よしわかった! じゃあ姿絵も製本用も830ディルでよろしく! 今一括で前払いするぞ?」


「お、おお……話が早いな」


「決まりだな!」


「うむ」


 魔王様に支払いを(うなが)され、4700枚分プラス奥付100枚の料金合計398万1千ディルを支払う。 ひぃ! 大金貨だよぅ!


「じゃ、早速ニーナの発注通り印刷よろしくな!」


 ぎゃぴっ! また私に話が戻って来た!


「あ、あの、ではまずアレンさんルフランさんミアさんバレットさんの姿絵を1週間後にお願いします……」


 ブブゼさんの片眉が上がった。 ひぇ!


「見事にやられたな……納期は1週間か。 200枚ずつでいいか?」


 えっ⁉ 何々? ……魔王様を見るとニヤニヤしてる。


「おう! 別に17人一気に1週間って言ってるわけじゃないからな! ブブゼの都合でいいぞー!」


「食えない魔王だな……。 まあ姿絵は活字を並べる手間が少ないから(だま)されてやる」


「ははは! 仲良くしようぜ! あ、奥付は初版と第2刷で50枚ずつだからサービスでよろしく! じゃーまたな!」


 えっ⁉ もう終わり⁉ ブブゼさんの返事を聞いてないよぅ!

 またまた急いでブブゼさんへ挨拶し魔王様へ付いて行く。 ブブゼさんは口を開けたままポカンとしていた。




「ま、魔王様ぁ……ブブゼさんを騙したんですかぁ?」


「違うぞ! ブブゼから納期1週間、830ディルっていう話を出したからその通り依頼しただけだ!」


「……実際は納期1週間で依頼すると細切れの依頼と変わらないですね」


「そういうことなんだな! でも結果としてブブゼは大口取引を取ったことに変わりはない」


「……魔王様って詐欺師の才能があるのではないでしょうか」


「バカだなー! 曲芸師だって客を驚かせて喜ばせてるだろ? 俺はブブゼを交渉で喜ばせただけだ! ブブゼが嫌な奴だったらブブゼの都合で1週間後に1人の姿絵だけを200枚納品するとかって言ってきたはずだぞ? ニーナの希望が通ったのは俺様の人柄と金払いの良さのおかげだな、うん!」


「う~ん……確かに魔王様のお人柄でオマケしてくれた感じはありますね」


 魔王様ってどうしてこう人を()きつける魅力があるんだろう?


「ブブゼの要求になかった一括前払いをしたからな! ブブゼも断りづらいだろ。 人付き合いって大事だよな~! あ、うちの店に着いたぞ。 次はリサんとこだ!」


 えっ⁉ まだお仕事⁉ っと思ったら魔王様の転移でリサさんのお家らしき前にいた。




「リサー! 仕事だ! 例の名刺だ!」


 リサさんが笑顔でお家へ招き入れてくれた。


「リサの看板と姿絵はめちゃくちゃ好評だぞ! よかったな!」


「わぁ~嬉しいコン! 名刺も頑張るコン!」


「おう! それでだな、まずは一人10枚ずつ作るんだけど、ナンバリングしてほしいんだよ」


「ナンバリング……コン?」


「うん、1枚1枚手書きだろ? 右下にちっちゃく数字だけ彫ってほしい。 つまり何枚目に作成されたか数字で分かるんだな。 だからナンバー0から4までの5枚と、ナンバー101から105までの5枚ずつをまず作る」


 ……魔王様、名刺でも初版みたいにプレミアを付けようとしてる!


「? わかったコン。 5から100は後で作るコン?」


「おう、ナンバー100までの101枚は価値が付くからな! とりあえず客に配るのはナンバー101からだ。 ナンバー100までは太客にだけ配る」


「なんだかよく分からないけど100までは特別ってことは分かったコン!」


「そそ、そういう事! とりあえずナイトのナンバー順に作ってくれよ、アレンからだ。 文字は名前とナンバリングだけでいい。 1枚いくらくらい欲しい?」


「1枚5分で描けるコン! 100ディル欲しいコン!」


 リ、リサさん……大安売り過ぎる……獣人さんは本当に純粋だなぁ。


「バカだなリサ、お前の絵はもっと価値があるぞ? 1枚500ディルやるよ!」


「わぁ! ありがとうコン! さすがハイド様コン!」


「まあな! じゃあ名刺用の金属板はドルムに依頼しとくからドルムとやり取りしてくれ、またな!」


 あっ! もう終わりだ! 急いで立ち上がりリサさんへ挨拶する。

 そしてドブグロへ……。 疲れたよぅ!




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